深夜のかりすま名画座:Wの悲劇

Wの悲劇

 映画鑑賞しました。実は初見です。主題歌、Womanはよく歌いますが、本編は一部有名なシーンを知っている程度でした。

 女優志望で劇団に所属する静香。劇公演で滞在中のホテルで思わぬ機会が訪れます。看板女優、翔の客室で起きた事です。翔のパトロンの腹上死体に遭遇した静香は、スキャンダルを恐れた看板女優に身代わりを依頼されます。代償として、主役として舞台に立たせる事を提示され、この話は承諾されます。
 夢と現実の間で揺れ動きながら、Wの悲劇に、彼女も周囲の人々も翻弄されて行きます。
 本作は、静香の物語。ただ、森口や翔の物語の先にある世界でもあります。言動に人物造形に、その説得力が感じられます。
 有名な記者会見の場面は本編の文脈もあり、より印象的に感じられました。「素人」が担がれ責め立てられる「リアリティ」が、役者の演技から生まれたものだと想像し鳥肌が立ちました。
 蜷川幸雄さんみたいな方が出演されていると思いきや、まさかのご本人で驚きました。梨元勝さん等もご本人役で記者会見シーンで登場されているんですよね。劇団や芸能の「リアル」を描こうという気概。細部への徹底があり益々、静香や翔の人間性が肉感を帯びているのでしょう。
 羽鳥翔のセリフには、多くのファンの胸に語録が存在する事が頷ける、パワーと存在感がありましたねえ。三田佳子さん、凄い。

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