見出し画像

Chara「命のまつり」その31~離婚届の証人をコンビニの店員に頼むしかなかった自分

トーンの低い日々が続いていた。
表面的には取り繕い仕事を続けていた。
多分、人生で一番しんどかった時期、感情のバロメーターがエンプティ―で
チャージするすべもなかった。

患者さんにはうつの時は大事な決断は先送りした方がいいですよ。
考える余裕がある時にした方が、後悔がないですよなんて言ったいた。

そんな私が、離婚を決めた。
夫は本当にいい人だったけれど、子どもの事もあり心の距離が縮まることはなかった。

誰にも相談せず、一人で決めたことだった。
離婚届の証人・・・・・どうしよう。

ぼ~っと、車を運転してコンビニに入った。
いつも行くコンビニだった。

藁をもすがる思いで・・・・・、
店員さんに「迷惑はかけませんから」と証人を頼んだ。
店員さんはもう一人の店員さんを呼んで来て、2人で証人になってくれた。

しばらくして、
仕事にも行けなくなりベッドの中で一日過ごすようになった。
仕事も休んだ。
抗不安薬や睡眠薬、軽い抗精神薬を飲んでは寝て、目がさめたらまた飲んで寝る・・・そんな生活をしていた。
職場の同僚が時々、食事を買って玄関のドアにかけてくれていた。
ありがたかった。

そして、もう自分一人ではどうにもならななくて、このままでは
本当に消えてなくなるかもしれないと思った。
その時、ふと田舎の海が懐かしくなって、昔家族と暮らした家が恋しくなって、18年ぶりに実家に帰った。

人生で一番しんどかった時期、
人は何のために生まれてきたのかとか、
どこから来てどこに行くのかとか、
生きる意味とか、考え出したら無限ループの蟻地獄のような毎日だった。

だけど、あの頃があったから今の私がいるわけで、
あの頃のしんどさがあるから、人の痛みを感じることができるようになったような、時期だったのだと思う。

当時、知人から紹介してもらった宮台真司の本
終わりなき日常を生きろ』、内容はあまり覚えていないのだけど
強いメッセージを感じて故郷に帰った。

やっと、しんどかった時期を振り返ることができてほっとしている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?