書籍_人事制度の基本
この本は、フォーノーツ社長の西尾氏によって書かれ、私の人事制度に対する理解を深めるきっかけとなった。多くの人事制度に関する書籍が出版されているが、この本は人事制度の歴史と全体像を概説し、各制度の具体的な内容をサンプルと共に提示している。人事制度を体系的に理解しておらず、多くの人事制度の運用経験がない私にとって、非常に参考になった。
この本の目次は以下の通り。
1. 人事制度の「目的」をあらためて考える
2. 人事制度設計における「考え方」の確認と制度の全体像
3. 「会社の社員に対する考え方(人事ポリシー)」を確認する
4. 等級制度と職位制度の設計
5. 評価制度の設計
6. 給与制度の設計
7. 人事制度の運用
8. 評価者の育成
当社で運用されている人事制度を改めて見直すきっかけになった。改めて認識したのは人事制度の目的や人事ポリシーの重要性。私が過去経験した人事制度は形骸化したものがほとんどだったが、正直形だけの人事制度ならない方がいいと思う。時間の無駄。
この本では人事制度がそもそも何なのかを提示してくれている。幅広い企業の人事の中で人事制度は以下2つの要素から構成され、本書で論じられるのは①だとされている。
①基幹人事制度:行動指針、等級制度・職位制度、評価制度・目標管理制度、給与制度、基幹教育体系
②人事諸制度(例):表彰制度、インセンティブ制度、育児・介護制度、自己申告制度、提案制度、各種教育施策、法定外福利厚生、社内公募制度
そして、人事制度の目的を以下のようにあらわしている。
・人事制度の目的:
・社員の成長のステップを示す
・気づきによる社員の成長をうながす
・パフォーマンスと給与を比例させる
・理念を浸透させる
各制度についても詳細に述べられており、人事制度の理想的な姿について具体的なイメージを持ちながら読み進めることができる。特に企業における「人事ポリシー」の重要性が強調されている。これは、企業がその社員に対して持つ考え方を指す。人事ポリシーは以下のような内容を含む。
・何を大事にして評価するか
・何に対して給与・賞与を払うか
・職業観
・モチベーションリソース
・代謝概念
・企業の成長ステージ
・人材に対する考え方
・採用の方向性
・組織形態と重視される志向性
・心と能力
・その他求める人材像
この人事ポリシーに基づき人事制度の各構成要素は設計されることになる。悩んだ時の判断基準だ。
この本をここで紹介しながら、改めて当社における人事制度の目的を振り返っている。当社における人事制度導入は、社員の不満の解消だった。不満の解消=社員の満足度向上を狙ったものだったと言える。自身の権限がどこまであるのかわからない、自分のキャリアパスが見えない、自分のパフォーマンスがどのような判断基準によって評価されているのかわからない、等々。導入してしばらく経つが、本当にこれら社員の不満は解消されたのか?今一度振り返る必要性を感じた。人事制度の導入は社員を幸せにするという自分のミッションへ向けた1施策。本当に社員がこれによって幸せになっているのか今一度見直したい。
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