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【かわむらという生き物】僕の人生②

ル〇シア時代


「何屋だ?あの店」と思い、店内に足を踏み入れた僕は、店員さんに接客され、ここはいろんな種類の茶を扱う専門店だと知りました。

この頃は、なんとなくカッコいいからコーヒーをカッコつけて飲んでいたけど、正直美味しいと思ったことは一度もないし、なんだか飲んだ後体調が悪くなるなるから、あったかい飲み物で刺激が少ないのが飲みたいと思っていたので、


「ほーん、こんな洒落てる茶屋があるのか、ちょうどいいじゃん」と思い、


確か「ほうじ茶フルーツ」という、マリーゴールドや花の蕾が入ったフルーツの香りのほうじ茶と、「ピッコロ」というハチミツみたいな甘い香りを付けたルイボスティー。そして1リットルのル〇シアオリジナルのハンディークーラーという筒形の茶器を購入しました


そして家に帰って、早速淹れて飲んでみたところ、


「全然美味しくない。。なんか、香りが甘いのに味はドライだ。。思ってたのと違う。。」とがっかりしました。


今思えば、父の実家が静岡の清水で、正月に帰省した時は「静岡のお茶だよ。美味しいお茶だねえ」と母や、父の母に言われて出されていたのだけれど、飲んだことはなかった。

でも小さい頃って、熱い飲み物ってごくごく飲めないから苦手じゃないですか。だから、「自分で淹れる」という行為も「淹れたてを飲む」ということも、きっと人生でこの時が初めてだったと思います。

それなのに、自分の淹れ方がよくなかったとか考えもせえず、「美味しくない!」と真っ先に思いました。今思うと笑えます。

気を取り直して、今度は教わった水出しを試しました。そしたらまあまあ飲めたので、どっさり茶葉を使っていきました。美味しくない茶は水出しで消化する、お茶あるあるですね。


すぐに茶がなくなった僕は、今度は何となく美味しそうだな~と思い、トワイニングの「Lady Gray」という紅茶を買ってみました。


そしたらこれにはまって。

ずーっと飲んでました。少し砂糖を入れるのが美味しくて、勉強のお供でした。当時はものすごくおいしかった記憶があるのですが、今飲むと、まあそんなもんか、といった感じなのです。でもあの時はほんと美味しかったです。


なので今振り返っても、トワイニングの Lady Gray は自分の中でやっぱりなんか特別です。たまに飲みもしないのに買いたくなります。別の意味で僕の茶の原点なのかなと思います。ル〇シアじゃないんかい。


そんな感じなので、ル〇シアでアルバイトしだしたのは本当に気まぐれでした。


大学での卒業・就職にもうあきらめがついた僕は、社員登用をしている仕事を探していました。

その時にル〇シアのレジ横にスタッフ募集をみて、働いてみようかな?と思い、履歴書をメールで送って面接、ちょうど新人研修の開催日近くだったらしく、面接の帰り道に電話がかかってきて採用を言い渡されました。

そして新人研修では朝から晩まで五日間ほどみっちり、マナーやルピシアのシステム、レジ打ちから、商品の扱い方、商品の詳細や茶の勉強。そして定期的にやってくるテスト。


今考えると、「詰め込みすぎだろ!」と突っ込みを入れたくなるようなハードスケジュールでしたが、当時の僕は「こんなにたくさん、丁寧に仕事を教えてくれるなんて、なんていい会社なんだ!」と社畜の鑑のようなことを思っていました。


下手に感が鈍かったおかげで不満などを感じることもなく、妄信的に、余すことなく研修に打ち込んだ結果、無事高評価で店舗にぽーいと放り込まれていきました。



僕が送り込まれ店舗は、大阪。

難波でした。

ル〇シアには店舗のスタイルが昔のものと最近のものがあり、最近の店舗は白い照明に白い什器、引き出しにサンプルの茶葉が入った、すっきりした感じですが、古い店舗は木目調の棚に、壁一面に茶箱がおかれた木箱棚、サンプルの茶葉が入った缶が敷き詰められた通称「サンプルカウンター」のあるレトロな感じのするスタイルで。


難波のお店はレトロな方のお店でした。


木箱のお店はかっこよくて、本当に木箱の中に茶葉がストックされているんです。箱の配置もほとんど把握しているので、お客さんから注文を受けて、秒で箱を取るとお客さんの驚く顔が見えるのが好きでした。


最初はいろんな種類の茶の、何がどう違うのかさえ分からず、困っていたのですが、店舗では「接客するために、勉強をしてください」と言われ、茶葉のサンプルを時間に余裕があれば試飲していいことになっていたお陰で何がどう違うのかだいぶ分かるようになってきました。

接客をしまくり、ギフト包装をしまくり、レジを打ちまくり、試飲しまくる。めちゃくちゃ忙しくて、毎日くちゃくちゃになりながら帰っていましたが、楽しかったです。

弓道を終えて、何に夢中になっていいかわからなかった僕は、茶と接客にぐんぐんのめりこんでいきました。


そのかいあってか、先輩たちに可愛がってもらいながら、店長候補生として楽しく働いていました。(店長候補生はなりたいですと言えば誰でもなれます。店長に店舗の業務以外のことも指導されるので大変です。百貨店に店を構える店舗の繁忙期に補助スタッフに送り込まれたりなど)グランマルシェという大きな販売会で、会社上層部が気に入ったスタッフを表彰するベストスタッフ賞に選ばれたり、先輩に称号もいただいたり、充実していました。


先輩からいただいた称号↓

撃墜王:接客したお客さんに告白されてはフッてを繰り返す僕を見て、先輩が「川村君さ、撃墜王じゃん」と一言。

鶯丸:「難波 ル〇シア」でエゴサをかけた先輩が、「難波のル〇シアにいるメガネの男性スタッフ、私の好みの茶ばっかり言い当てるし、持ってくるし、彼は鶯丸なの?」という投稿を見つけ、「川村君、刀剣乱舞のキャラになっちゃってるよww」と、知らない間にゲームのキャラクターになってました。


ル〇シアには緑茶・白茶・青茶(烏龍茶)・紅茶・黒茶(プーアル茶のように有機物的発酵を加えたもの)ハーブティ。そして、シーズンになればダージリン・アッサム・ウヴァ・ネパール・ニルギリ・日本新茶・台湾茶の春茶や冬茶などその年の新茶がどっさり入ってきます。

当時好きだったのが、「新茶 五ヶ瀬釜炒り茶」「台湾茶の杉林渓」「ニルギリのフロストティー」「ダージリンのサングマ茶園」とかでした。


店舗では試飲カウンターというのがあり、お客さんが購入を迷っていたら試し飲みできます。

ここが本当に好きで、もう悩んでいるお客さんを見つけたら「飲みましょう!飲まないとわかんないですよ!」と言って試飲カウンターに軒並み連れ込んでいってました。(ちゃんと売り上げに貢献していたので怒られませんでした。シーズンの茶などは高価なので購入率が低いのです。のっぱら僕が飲ませて売ってました)

この試飲カウンターが僕の夢のスタートでした。


「いつか自分のお店をもって、こんな感じでお客さんに茶を出せたらいいな」という夢です。そんなことができたら楽しいだろうなぁと思っていました。

そして、この店舗でしばらくがんばろ。と、



しかしその一年後、

僕は、軽バンで爆走していました。

雪原を。

毎日。

場所は北海道、ニセコ。

「どうしてこうなった。」そんなことを思いながら。




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