14番「糸に絡まる。みずはの裁縫途中」(午前)
糸に絡まる。
みずはさんは裁縫が得意である。なんてたって、一人でマフラーを編み込み、フェリコミに商品として出品しちゃうほどに手つきが良い。そんなみずはさんの編みかけのマフラーが待合室の机の上に無造作に置かれていた。
そして、私は興味本位からそのマフラーに手を出してしまったのが最期だった。アーメン。
奈子「おはよー。って、アカリちゃん何やってるの?」
アカリ「奈子さぁーーん」
私は奈子さんにすがるように泣きつく
奈子「どうしたの。私の息子」
アカリ「息子じゃないです、アカリです。じゃなくて助けてください」
奈子「ど、どした」
アカリ「いや、その、あの。マフラーが」
奈子「あ、その色合いはみずはさんのマフラーね。で、どした」
アカリ「いやぁ。出来心で触ってみたら、糸が絡まりまくって。その元に戻らなくてー」
奈子「あらあら。しょうがない子ね。私に貸してみなさい」
奈子さんはアイドルもしながら、コスプレもするという超美形美少女なのです! コスプレもこなす奈子さんにはマフラーの絡まりなんてお手の物ですよね!? ですよね!?
私は奈子さんに期待の眼差しを送る。
奈子「ここをこうして。こっちはこうで」
奈子さんが私が絡ませた糸の口をあれよあれよという間に元に戻していく。
アカリ「さすがです。奈子先輩!」
奈子「こんな時だけ先輩って呼ぶんじゃないの。はい出来た」
アカリ「おお」
奈子「これからはあまり人のモノには触らないこと。いいわね」
アカリ「はいっ。ありがとうございます!」
奈子さんは頼りになる先輩だ。好き
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