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1.10 sun まだしばらく子供。安物買いの銭失い。

 ベルトが壊れた。特に負荷をかけたタイミングでもなく、ストーブの前でしゃがんで暖をとっていると「ぽにゃ」くらいのライトさでバックル部分が折れた。アクセサリーみたいなベルトを酷使しすぎたせいか。普通にしっかりしたものを買わなければ、と20代も半ばになってようやく思う。
 傘も壊れた。コンビニで買った500円のビニール傘だ。骨が一本折れて、開くと目の前をぷらぷらするようになった。こっちは地元に比べて暴風雨が多かったり、すぐ盗まれるので、かれこれ5年間ビニール傘しか持ったことがない。無理をしなければ案外壊れないし、対策していれば盗まれないと気付いて、次はちゃんとした傘を買おうと思っていたところだった。
 どうせ壊れるからと安物を買うけど、ものを乱雑に扱うのに自ら拍車をかけているんじゃないだろうか。濡れないようにしたり、髪が乱れないようにしたり、服に毛玉ができないようにしたり、人前に出る仕事に就いてから、それらを保つことは自分のためではなく人のためなんだなあという責任を感じる。しっかり食事を摂ることもそうだ。そういう義務感を煩わしく感じたり、だけど果たしたときはなかなか気持ちがよかったりする。そう思うところが子供だなあと思う。仕方ない。きっとそのうち慣れて当たり前になるんだろう。

 連日の大雪。初めて雪かきを手伝わせてもらった。
 「やらせたら時間かかりそうやしいいわ」と他の仕事に回らされ続けることにソワソワしていると、「ためしに俺の車掘り出してきていいよ」と上司から許可が出たのだ。(雪をかいたことのない私と北陸育ちの人は赤子と黒帯保持者くらいの差がある。らしい。本当かは分からん)
 天気も良く雪も柔らかかったおかげですんなり車は発掘されて、上司から「筋肉あったんだね」と目を丸くされる。あるわ。柔らかい肉しか持っていないと思われていたらしい。「これから雪かき手伝っていいですか」「いーよお」
 こんなことで喜んで、やはり子供だなーと思う。まだ新鮮に思える雪に「きれーい」と大声を出して子供だなと思う。それに笑ってくれる人がいると分かっているから喜べるしはしゃげるのだ。そう気付けるまでは喜びをどう示せばいいか分からなかったから、今はしゃげるのがとても嬉しい。
 「甘やかされてますねえ」「は?働かせてんじゃん」
 きっとそのうち、この嬉しさにも慣れて当たり前になるんだろうな。それまでは、甘えていいところは、目一杯子供でいたい。

光だと信じて賭けよ がりがりのチャリがあなたを守るため来る
(2020.10)

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