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6.3 sat あなたの手が私を

 歯を食いしばるのはストレスを感じているからだそうだ。たしかに懸案事項が多い最近である。数日後には出張があるし、職場に新人さんも入った。思わぬところで抜けていることも多い。まあ楽しく暮らしている。

 髪を切った。まつ毛エクステもした。毎回同じ人に頼んでいると「この人に私を作ってもらっているのだ」と感じる。私の髪はあのおじさんに全て任せているし、まつ毛はあのお姉さんに。そうやって人に作られたものなら「いいね」と言われて「ありがとう!」と気持ちよく言える気がするのであった。
 誰かに自分の一部を作ってもらっている。そういう感覚は私は心地いいと感じる。荷が軽くなるというか、何かを委託できる開放感というか。本を読むのも音楽を聴くのも、そこから自分に何かを吸収するということは、誰かが自分のささやかな一部になるということである。自分の大体ってそういう感じだ。あー、軽くなった。

湯をかぶり息をした時あなたから「少し軽いね」と言われおり

魂を垣間見た気がする正午あなたは彼になりたいと言う

此岸にはマーガレットが咲き乱れ手を差し伸べぬあなたの背中

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