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性被害のこと~性暴力救援ダイヤルへの電話~

被害が被害だと気付くことができてから、ただ毎日生きているだけだった。

皮が剥げてぐちゃぐちゃになった肉片を、無理やり人間の形にしているみたいなそんな感じ。自分は人間じゃないと思った。

脳みそのキャッシュがいっぱいいっぱいというか、脳みそのある部屋に四角い真っ黒な箱があって脳みそが充分に働かないというか、脳みそに中華屋の床みたいな脂がこびりついてる感じというか、、、とにかく頭がまわらなかった。

漠然とした不安感
自分が分からなくなってしまった
脳みそが働かなくなってしまったこと
毎日悪夢を見て夜中目が覚めることと
いきなり涙が止まらなくなること
いっそ死んでしまえばらくになれるかと

色んなことが私を襲っていた。
それでも、毎日、生きようと頑張っていた。
毎日、頑張りすぎてしまっていた。

それが、ある日ぷつりと切れてしまった。
恋人から夜中かかってきた「信じられないし、許せない。もうあんたとはセックスする気にもなれない。つかれた。」という電話がきっかけだった。

もう、どうしていいかが全く分からなくなってしまった。恋人にもうどうしたらいいかわからないと伝えた、なんて返事があったかは覚えてない。

次の日、一睡もできずに仕事に向かった。

午前中当番があったし、繁忙期で仕事を抜けるとみんなに迷惑かけてしまうと思った。電車ギリギリまで休んじゃおうか悩んだけど、迷惑掛けられないなとおもって仕事に向かった。

接客したお客さんが、仲の良さそうな夫婦だった。その姿を見ると、もう叶わない自分と恋人の姿が重なってしまった。そう思った瞬間に涙が出てしまい、とてもじゃないけどこれ以上は無理だなと思った。

当番が終わったら、頭が痛いことにして仕事を休んだ。
チームの先輩達が「全然無理せず、明日も休んで大丈夫だよ」「なにやっとけばいいか伝えておいてくれればどうにかしておく」と言ってくれたので、お言葉に甘え、仕事を投げてつぎの日も休んだ。

午後、家には帰らず、家のちかくの神社でぼーっと座っていた。わたしは、あるところに電話を掛けようとしていた

性暴力救援支援センターへの電話である。

私は以前、いまの状態をどうにかしたいと思い、性暴力支援センターにメールを送っていた。その返信に、一度電話をくださいと書いてあったのを思い出したからだ。メールを送ったときには、電話をするまでの勇気がでなくて、電話はかけられなかった。

もうどうしようにもないと思ったときに、メールの文章を思い出して、電話してみようと思った。スマホにダイヤルを打ってから電話を掛けるに至るまで3時間くらいかかったと思う。

神社の敷地で遊んでた小学生が帰宅してから電話をかけた。

電話にでたひとは、口調のやわらかな女性だった。言葉に詰まりながら、いままであったことと、自分の体調のことと、恋人との関係のことをできるだけ簡潔に伝えた。

返答は警察に相談するなら〜とか、法テラスなら初回は無料で相談が〜とか、具体的な方法についてで、当時の私にはそこまでの判断が出来なかったので、アドバイスはしっくりこないものばかりだった。

ただ、被害のことを否定せずに受け入れてくれたのがとても大きかった。

私自身、被害を被害と認識できるまで何ヶ月もの時間を要したし、恋人には、被害っていうのは勝手だけど〜とか、レイプしましたって相手から証言とってこいと言われたりしていたので、被害が被害であったことを受け入れてくれたのが、この相談員のひとがはじめてだった。

わたしはここ毎日、noteやそれ以外のsnsなどで性被害について調べている。自分に似た境遇のひとが、どのように回復しているのかが知りたくて、探している。
後にそのなかで、性暴力ワンストップ支援センターに相談したものの、ひどい事を言われたり適当な対応をうけた人達がいるのを知った。

なので、この相談員のひとにはとても感謝している。きっとここで否定されたら、わたしはもうすべて諦めてしまったと思う。

体調のことについて、心療内科や精神科にかかったほうがいいとアドバイスをされた。心療内科や精神科なんて、いままで通ったことをなかったので、どこに通えばいいか分からないと相談員のひとに伝えたが、それは調べられないとのことで、女医がいるところ〜とか、トラウマケアができるところで調べるといいと言われた。

結局、1時間ほど話をして電話を終えた。
これが心療内科・精神科への受診を決めたきっかけだった。

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