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「人事が聞けない社員のホンネ」から学ぶ社員とのコミュニケーションのポイント

Scrum Inc. Japanで人事兼アジャイルコーチとして活動しています、庭屋と申します。
人事兼アジャイルコーチとして活動する中で、アジャイルのコミュニティ等で広まっている仕事の進め方を人事の領域に活用するともっと良い組織が増えるのではないか?と日々思うことがあり発信をしています。
今回はリクルートワークス研究所から発行された「人事が聞けない社員のホンネ」というレポートから、人事の抱える「社内のメンバーとのコミュニケーション」に関して取り上げました。

本記事のまとめ

1:人事は組織とのコミュニケーション不足が課題と指摘されている
2:人事施策を進めるにあたり、ユーザーストーリーマッピングを活用することが有効と考えている
3:ユーザーストーリーマッピングを活用することで、施策の[Why]と[What]を確認しながらコミュニケーションをとり、随時更新していくことで必要とされているものを早く実行することができる。

問題提起

リクルートワークス研究所から「人事が聞けない社員のホンネ」というレポートが2023年の10月に発行されました。

そこでは「社員個人」と「マネージャー」から人事に対して期待すること、がまとめてありました。

そこで、このレポートの終わりに人事が解決すべき課題として
1:現場と対話できているか
2:個人やマネジャーに情報が伝わっているか
3:その制度の意味は何か
4:自社を客観視できているか
とありました。
1~3は人事の考えが適切に伝わっていない「コミュニケーション不足」によるものと考えられます。
この課題に対して、「アジャイル」や「スクラム」で使われている手法を使って解決のヒントを見つけようと思います。

人事を取り巻く環境について

人事の活動は「採用」「評価制度」など様々ですが、それぞれの人事施策の価値提供先は社内のメンバー(マネージャーも含む)、そしてステークホルダーとして経営陣がいる、という形がほとんどかと思います。
対象が社内なので、社外向けにサービス提供をしている部署と比較すると顧客、ステークホルダーにアクセスはしやすいですが、実際に対面のコミュニケーションだけで意思疎通を測るのは対象者も多く現実的には難しい状況です。
「コミュニケーションが不足している」という課題に対して、何を伝えれば良いのか。
それは人事施策の
[Why]なぜそれを実現したいのか、と
[What]何をするのか
2点と考えます。これが伝わっていれば顧客、ステークホルダーに人事施策が何をやろうとしているのか理解してもらいやすくなると考えます。

活動の全体像と取り組む優先順位の共有をする「ユーザーストーリーマッピング」を活用する

ユーザーストーリーマッピングとは?

「ユーザーストーリーマッピング」とは何か?短い文章で表現すると
「ユーザーの活動の流れをストーリーとして書き出し、優先順位が明確になるように並べることで顧客と共通認識を作る手法」(庭屋理解)
※ユーザーストーリーマッピングを一言でまとめるのはとても難しいので他に重要な要素も抜けているかもしれませんが本記事で伝えたい要素を理解するためにこのようにまとめました。

ユーザーストーリーマッピングの概要
参考:https://speakerdeck.com/kawaguti/userstorymapping?slide=42

ユーザーストーリーマッピングの活用法

一番大事なのはユーザーストーリーマッピング自体が銀の弾丸ではなく、ユーザーストーリーマッピングを使って社内のメンバーとコミュニケーションを取ることで共通の認識を作っていくことが重要、ということです。

新規ビジネスを進めるための組織編成、というテーマ(=Why)があった際のユーザーストーリーマッピングのサンプルをお見せします。

人事部門でのユーザーストーリーマッピングの活用サンプル

大項目をどのチームが担当するか分類し、そこから少しずつ具体的な達成すべきことに大項目を詳細化していきます。
縦軸を見ることにより、実際に行うこと(=What)とテーマ(=Why)とのつながりを確認できます。
また、小項目の中で優先順位を縦軸に表現することにより、何から着手するのか、今後何を実行するのか、という今後の計画も見ることができます。
人事部門の中でも横軸を見ることによって、他の部門とのつながり、整合性を見ていきます。

このように、ユーザーストーリーマッピングを活用することで、人事施策に関する必要なコミュニケーションの全体像と詳細部分、今と今後の計画を視覚的に認識ができるようになります。
また、活用するための有効な行動として「顧客、ステークホルダーとともにユーザーストーリーマッピングを作る」ことがあげられます。
主要な部門のマネージャーの方などに参加してもらうと良いでしょう。作った後に方向性の大きな見落とし等があると手戻りが発生します。それを防ぐためには始めからステークホルダーを巻き込むことが有効です。

また、ユーザーストーリーマッピングははじめに作って終わり、というものではありません。進めていく過程で随時更新(新規要求の追加、優先順位の変更)をしていくことで、最新状況を常に表示していくことが重要です。

まとめ(再掲)

1:人事は組織とのコミュニケーション不足が課題と指摘されている
2:人事施策を進めるにあたり、ユーザーストーリーマッピングを活用することが有効と考えている
3:ユーザーストーリーマッピングを活用することで、施策の[Why]と[What]を確認しながらコミュニケーションをとり、随時更新していくことで必要とされているものを早く実行することができる。

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