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石田衣良『4TEEN』3/20の読書感想文

石田衣良といえば『池袋ウエストゲートパーク』で、最初の数冊は読んでたし、振り返ってみると『美丘』『シューカツ!』『明日のマーチ』とそこそこの数を読んでいた。

そのほとんどが若者の爽やかさと脆さを描いていたような印象があって、文体も柔らかくとても読みやすい。
『4TEEN』は中学生という他作品よりもグッと若い少年たちの物語で、爽やかな短編の数々にとても懐かしく羨ましく感じた。

中学生は子どもから大人へ成長し始めるタイミングだと思っていて、自分も自転車で冒険をしていたような記憶がある。
冒険といってもせいぜい自宅から十数キロの範囲内なのだが、それでも知らない街並みにワックワクしていた。

『4TEEN』でも様々なところへ冒険をしているが、俯瞰してみると都内の小さな範囲をちょこちょこと移動しているだけだったりする。
それでも本人たちにとっては大冒険で、“いけないことをしている”という感覚さえ覚える。

この感覚は中学生の頃しか味わえないもので、読んでいてとても羨ましくなった。
自分たちの世界を広げていくあのワクワク感はもう一生感じることができない。

あとは結構性的なエピソードが多かったことに驚いた。
思春期真っ只中の中学生にとっては、それこそまさに“未知の世界”であり、あまりに刺激的なものでもある。
そっちの意味での大冒険は読んでいてワクワクするし、ハラハラもする。ストリップに大人のフリをして入るシーンでは「中学生で?!」という驚きと少しの羨ましさを覚えた。
色んな意味での背徳感が自分にも襲いかかってくるようで、思春期の頃の自分を思い起こしてしまった。

とにかくどのシーンでも情景が爽やかで、読後感が心地よい。勇猛果敢ながらも少し危うい少年たちの大冒険に、自分の中に潜む思春期野郎が顔を出した気がした。

続編の『6TEEN』も今年中に読みたい!アイツらの成長した姿を見たい!

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