忖度でもイージーでも軽やかに

自分のことを割と勝手気ままに生きていると思っていて、だから、いつも酒を飲ませるだけ飲ませて行方眩ます奴からの「おまえの嫌いなとこは忖度だよ」のひとことは、酔っ払っていたとはいえ、多少衝撃だった。自分としては忖度からは程遠い場所にいると思っていたから。

どこかでその忖度がひっかかっていて、意味をあらためて調べてみると「相手の気持ちを推し量って配慮すること」だそう。どちらかというとポジティブな意味合いに聞こえるが、彼が皮肉として発していることくらい鈍感なわたしにも容易にわかる。

そもそも彼とは行きつけのbarが一緒でたまに飲むくらいで、わたしの何を知っているのだって話だが、だからこその鋭さみたいなものってたまにある。

そして、自分のスタンスみたいなものを振り返ってみたときに、彼がわたしに向けた忖度の意味は要するに「てめぇの意思はどこにあるんだよ」とか「自分から動けよ」ってことなんだと思い、胃がきりっとなる。

わたしには、自分の意思より相手の気持ちやその場の空気の方を圧倒的に優先してしまう節がある。これを優しいと言ってくれる人もいるけど、わたしにとっては自分を守る術でしかなかったりもして、ときどきちょっとだけ心がくたびれる。

だからなのかなんなのかわからないけど、わたしはひとりが好きで、買い物もご飯も、散歩も美術館も映画もライブも、思い立ったらひとりでスタスタ出かけてしまう。

それはそれで楽しいのだが、誰かといっしょに体感したり共有するっていうのをしてみようと思って、今年は自分から誰かを誘うことを密かな目標にしていた。

結果、片手分も数を打たないまま早々に挫折したのだけどね。

ただひとつ、とってもよかったなーと思うことがあって、それは自分から誘うのが苦手な分、誰かからのお誘いには全力で飛び乗ってきたこと。とくにサーフィンが楽しかったなー。あたらしい友だちもできてうれしかった。

そんなわたしに彼は「イージーかよ」と言い、わたしは「軽やかなのよ」と返す。最後は「言葉で遊ぶな」って言われたけど、いいじゃん、遊ばせてよ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?