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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記

はじめに

毎年恒例、クレヨンしんちゃんの映画の季節がやってきました。
公開初日に観てまいりました。
その感想を、モヤモヤしているという方に届け~~~という思いで書きます。結論レイトショーで見てよかったです(通常より安いし、人混みが嫌いなので空いている映画館で観られる、という点のみで)。

自己紹介として、私とクレヨンしんちゃんの関係を少し。
幼少期から2018年くらいまではほぼ毎週テレビアニメを見ており、大学生になって引っ越しなどもあり、そこからは毎年の映画のみ鑑賞しています。原作漫画は読んでいません。
映画は今作含め全32作すべて鑑賞済み。
一番好きな作品はユメミーワールドです(影が薄い気がしますが、本当に大好きで、数年間感想noteの構想を考えています)。
久々に見たのですが、売間久里代って人気キャラクターになっているんですか?登場回はすごく面白いので好きですが。
では、本作の感想を。
※ここから先重大なネタバレ含みます。


全体感

まあ、恐竜たくさん出てくるし、迫力が感じられる画面構成は作られているし、カタルシスも(私的には許せない形だが ※後述します)あるし、夏休みに子どもと一緒に観る娯楽作品としてはいいのではないでしょうか、という感じです。

良い点

良い点という見出しでざっくりまとめてしまうほど少ないのですが、画面の作りは総じて良かったのではないかと思います。そこはさすが今までの結晶ですね。
恐竜も福井恐竜博物館が協力で入って、姿かたちや動き方含めとてもよかったのでは!と思いました(恐竜の番組を見てワクワクするけど、専門知識などは全くないです)。序盤、ビリーが恐竜に襲われているシーンや、しんのすけたちが見学しているシーンはハラハラしたりワクワクしたり、文句なしでした!
同様に、事件が起きるまでの前半は悪くなかった。最初の野原家のシーンこそ、少し笑いのテンポに違和感を抱いたものの、そこからはシーンの切り替わりのテンポや、ギャグの軽快さなどクレヨンしんちゃんの映画だな、と楽しく鑑賞していたんです。
あとアンジェラのキャラクターデザインめちゃくちゃ好き!!!超かわいかった!!!!ヒロインや登場するお姉さんのキャラデザは本当に信頼できます。
そしてLOVEマシーンはみんな大好きです!!後半で唯一テンション上がった瞬間でした。

モヤモヤする点

この映画で子どもたちに伝えたいことって何?

モヤモヤとぼかして書いてますが、怒りで何度席を立とうと思ったか!!
そもそも、クレしん映画を「感動もの」としてジャンル分けしていないか?という話から私は語りたい。
ストーリーの結果として、「感動」があるわけで、感動させようと思ってクレしんの映画を使わないでいただきたい。
5歳児がその純粋さゆえに物事の核心をついて、大人たちをはっとさせる、という装置に成り下がっていませんか???そういう大人のいやらしさに利用しないでいただきたいんですけど???あくまで「子供向け映画」ですよね???この映画を通じて子どもたちに伝えたいことって何だったんですか?友情?親子の関係性?幸せの定義?そこの軸が定まっておらず(脚本・監督の中にはあるのかもしれないが、明確なメッセージとして私は読み取れませんでした)、きれいごとをしんのすけやそのほかのキャラクターに言わせて、観に来た親御さんを感動させ、子供たちは恐竜でワクワクしてもらって、という子供だましの映画になっていませんか?
今まで培ってきた映画クレヨンしんちゃんのパブリックイメージを利用するだけ利用していると感じられ、そこに対するリスペクトを再度問い直してほしいと思いました(これは前作含めの感想になります)。

リスペクトと言えば

このnoteを書いている時点で、制作陣のインタビューなどは全く読んでいないので、見当違いのことを書いていたら申し訳ないのですが、過去作のオマージュと取れなくもないものが少しだけ出てきていたな、と思います。
そもそも恐竜が街を破壊する、というのもゴジラを想起させますが、ゴジラと言えば温泉わくわく大決戦です。この映画ではかなり気合の入ったゴジラオマージュシーンがありますが、今回恐竜と相対している自衛隊と思われる人たちの描き方雑過ぎません?
また、しんのすけと風間君のケツ歩きでは嵐を呼ぶジャングルを思い出しましたが、それに比べるとケツ歩きをする動機が雑すぎる。
他にもあった気がしたが忘れました。

ひまわりの扱い

雑すぎません!?!?!?
今作でのひまわり、ほぼ空気でしたよね!?
親子を描くからひまわりは割愛なのかとも捉えられますが、ビリーとアンジェラの対比として、しんのすけとひまわりの関係をもっと描いてもいいのではないかと思いました。

ヴィランの人物造形って大事

ただの記号だった!?ってくらい薄かった。
過去のクレしんで好きじゃないな、と思う作品もそうなんですが、やっぱり悪役の動機が薄いんですよね。
動機のくだらなさでいうと、温泉わくわく大決戦もずっこけるレベルなんですけどそこまで振り切ってくれたら愛せるのですが、なんか新規性も特にない、うっすい理由で昔はいい人だったのに変わっちゃいました!って言われても……となった。
ユメミーワールドはトラウマや、愛情をうまく表現できないお父さんが、細かいところも含め描いてあるので本当に好き。
悪役の厚みを出すために過去をしっかり描く必要があるかと言われたらそうではないと思うし、説得力がある・違和感がないと感じられるのがどういう理由なのかまだ言語化できず申し訳ないが、今作はありきたりなのもあり、冷めてしまった。(ケン・チャコはバックグラウンドがしっかり描かれているわけではないけど、その行動をするだけの強い思いがしかと感じられたし)

本当に許せない点

ナナを死なせるしか風呂敷のしまい方がなかったのかもしれないが、それはしてはいけないと私は思っている。
アッパレで死んだのも物議ものだが、二度と会えないで言うとカスカベボーイズのつばきちゃんも物語の中の人物なので二度と会えないといった形で終わったので、前例がないわけではないが。あくまで子ども向けの映画でよっぽどの理由がなければハッピーエンドであるべきではないのか?
恐竜との共生が無理というのをしんのすけに否定させたうえで、結局は死んでいるし、しんのすけも泣かすし、街の再興も含め広げすぎた風呂敷無理やりしまいすぎ。バブル・オドロキーはもしかして脚本自身のことだった??そうだとしたらハイレベルすぎる、私の降参です。
とはいえ、クレヨンしんちゃんの映画は子どもたちが見るものという姿勢は忘れないでほしいと思う。

終わりに

見ている最中、5回くらい見るのやめようかなと思ってしまった。
怒りに任せて3000字弱も書いてしまったが、同様にモヤモヤした方がいたらその方々の溜飲を下げるお手伝いができたならうれしいです。
来年はインドが舞台っぽいので来年こそ期待。本当にしています。
30作もやって、使える材料が決まっていて、大変なのはわかりますが何卒……。毎年の楽しみでございますので。
夏休み暇で仕方がなく、お金が余っていたら2時間つぶせるし、一応涙も流せる作りにはなっているし、恐竜の迫力は間違いないので一定楽しめるのではないかと思います!
早く来年にならないかな!!

※2024/08/10追記
誤字脱字および一部の間違い・伝わりにくい文章を訂正いたしました。
また、オトナ帝国のオマージュ「ずるいゾ!」についての考えを記します。
オトナ帝国の「ずるいゾ!」は、自殺しようとしている2人に対し、しんのすけはバンジージャンプをすると勘違いしています。この勘違いはのちのセリフで明言されています。しんのすけの勘違いのセリフ(オラ抜きで楽しいことをするのはずるい)が、本人の意図とは異なって、「勝手に苦しい人生から抜け出すのはずるい」という意味で2人に刺さった形となっているから素晴らしいんです。それに対し今作では、「(収集つかなくなったから、殺すという手っ取り早い方法で対処するのは)ずるいゾ!」というセリフになっています(言葉選びが悪いのはお許しください)。しんのすけが状況を理解したうえで放っている言葉と少なくとも私は読み取れたので、表面上のセリフだけパクった、オマージュとは言いたくないような作りになっていますし、このセリフが最も「クレしん映画の本質を理解せず、クレしん映画を利用している」を象徴していますね。結論、クレしん映画で重要人物が亡くなることの重みを考えていないのではないかと思います。
いっそのこと感動路線から離れて、もう一度ヤキニクロードのような作品を作ってみてもいいのではないかとも思います。長い1年がまた始まりましたね。


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