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【第1話】スーパーマーケットの沖田くん

主人公 : 沖田出逢(おきたであい)

最初はなんとなく稼げればいっかな。そんな気持ちで始めたアルバイト。スーパーのレジ打ちは、大学の授業とは別の意味で様々なことを教えてくれた。気になる人との出会い、謎の貴婦人、スーパーマーケット「あけぼの」で、彼はどんな人と出会うのか。

京都府・京都市・上京区・中立売通り。京都ならではの色彩を備えた、厳かなビルディングを横目に、僕はいつも通り、気怠そうに出勤した。スーパーマーケット「あけぼの」である。大学2年生の僕は、後輩に混じりながら「研修生」カードを携えて働くことに若干の気恥ずさを感じながら、いつも通り機械に社員番号を打ち込む。

僕がこのアルバイトを始めてから1ヶ月と3日が経った。巷では、そこそこ学力に定評のあるK大学に通う僕にとってスーパーマーケットのレジ打ちは非常に楽なアルバイトだと、誰もが言った。ただ、実のところそうでもなかった。確かに、仕事内容自体は単純なもので、量こそ多いものの毎日がルーティンである。ただ、簡単な作業だからと言って楽ということにはならない。どうやら僕はルーティンワーク、特に意味の感じられないそれが苦手だと感じた。また、マニュアル的な言葉一つ一つが地味に僕を苦しめた。

それは例えば「大変お待たせしております、申し訳ございません」であったり「ポイントカードをお待ちではないのですね?失礼致しました」等々の決まり文句のことだ。果てさて、あの言葉たちに一体どのくらいの意味があるのやら。そんな益体もないことをだらだらと考えているうちに、開店のチャイムが鳴った。

プロフィール : 沖田出逢 (おきたであい)

・大学二回生 

・身長178cm、体重62kg

・京都の名門大学在籍

・スーパーマーケットあけぼのレジ打ち担当

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