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支援の隙間を埋めるために「動ける」資金を相互扶助でつくる -第12回だれ一人取り残さない防災研究会(ゲスト:株式会社御祓川森山奈美さん・森山友世さん)

みなさんこんにちは。チャレコミ防災チームの瀬沼です。
今回は6月19日に開催した第12回のだれ一人取り残さない防災研究会の様子をお伝えしたいと思います。

だれ一人取り残さない防災研究会とは?

①災害が起こったときには日常からのつながりが重要になる。そのために、日常から学びあい、つながりをつくること。
②研究会に参加するそれぞれの主体が自分たちの防災・災害支援に対しての実験を相談したり実際にやってみる機会にすること。
を目的に毎月第3月曜日(祝日の場合は翌日)に研究会を開催しています。

ご関心のある方は以下のフォームからお問合せください。https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdBa7sljKtAXvjGJp9VvAgICc9rc2E1iC6JGmUZiWTNoRIUjg/viewform

ゲストのご紹介

今回は2023年5月5日に発生した石川県珠洲市を中心とした地震。
今回は石川県七尾市で地域内の民間まちづくり会社として能登半島のまちづくりを支援する中間支援組織である株式会社御祓川の代表である森山奈美さん・そして今回の地震で被害を受けた現地の方々のヒアリングや被害状況の把握を行っていらっしゃる森山友世さんにお越しいただきました。

株式会社御祓川は2007年の能登半島地震をきっかけに地域の事業者さんの商品を通しえて「能登の暮らし」と「能登の良い品」を全国に伝えていく「能登スタイルストア」や、そうした事業者さんを支える右腕人材や担い手育成として地域外の大学生と地域事業者を繋ぐ「能登留学」をスタートされています。
今回の珠洲市での地震で、地域の中間支援組織としてどのような動きをしたのか、昨年も珠洲市で発生した地震後の活動や、16年前の能登半島地震との違いなどをお話しいただきました。

現地の状況を把握する

5月5日に発生した地震は最大震度6強(珠洲市正院町)。代表の森山さんは発災の翌日からブルーシートをもって現地入りし、現地の情報収集にあたりました。
例えば酒造の冷蔵庫の割れた酒瓶の片付けや被害状況を確認し、販売ができる状況であることが分かると、御祓川が運営するECサイト能登スタイルストアで特設ページを設けるなど事業者の支援も始めていらっしゃいます。

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震災で被害を受けたところはありますが、元気に営業を再開しているところも多くあります。 能登スタイルストアで取り扱っている珠洲市、能登町の特産品や商品をピックアップしました。 震災に負けずに前向きにチャレンジしている元気な能登の生産者さんの商品をお届けいたします。

支援の隙間を埋めるために「動ける」資金を

現地の状況を把握するにつれ、徐々に課題が明らかになってきました。
一つは、市役所やボランティアセンターで把握している上記用と実際の状況の差異があること
もう一つは地域の事業者や自治会などの具体的なプロジェクトの実施支援ニーズでした。

御祓川はこれまで15年にわたって地域の事業者のもとに人材を送り込み、事業支援をしてきました。とりわけ災害発生時は人命救助・生活再建が最優先のため事業者の支援は後手に回ってしまいがちです。
そうした支援の隙間を適切に把握することで、現地の人たちがこれから先どのように暮らしていくのか、生きていくのかを考え後押しするためのプロジェクトの組成を行っています。

当初は代表の森山奈美さんが現地に入り状況把握を行っていましたが、七尾市と珠洲市は距離的な隔たりもあり刻々と変わるニーズの把握は一人では回しきれません。そんな時、副業の人材として元珠洲市在住だった森山友世さんを珠洲に派遣することにしました。
今回、友世さんを派遣するための人件費や交通費は、地域の中間支援組織が災害時に備え相互に資金・人材支援を行う「災害支援会員制度」の拠出金や「災害支援基金」への寄付の一部から捻出。
地域の中間支援組織は小規模な組織が多く、災害時にすぐに動ける人員や予算を確保することが難しい現状がありますが、そうした状況をお互いに少しずつ資金を出し合うことで徐々に解消していこうという取り組みです。

https://saigaishienfund.etic.or.jp/coordinator

その後、友世さんは週3日程度現地入りし、現地のニーズの把握や関係者との調整を行い、具体的なプロジェクトの組成を行っています。
片付けのためのボランティア派遣ニーズだけではなく、クラウドファンディングでの支援依頼や中長期的な事業展開のための人材採用など、御祓川の本業にもつながるニーズやプロジェクトが多く上がっています。

「生きがい」をどうやって守る?

能登半島はもともと祭りが盛んな地域です。今回大きな被害があった珠洲市も夏には灯篭を掲げる大きな祭りが開催されます。

珠洲市観光サイト(https://www.city.suzu.lg.jp/site/kankou/1797.html)より

当日森山さんからは「自分の家片付けの心配よりも今年も祭りがあるのか、と心配している人も多い」という言葉がありました。
祭りがこれからもあることが、ここで生きる自分自身の生きがいに繋がっていく。だからこそ、祭りを残していきたい、そのための大切な灯篭を入れる倉庫を守っていきたい。しかし、被害を受けた倉庫はどこからの支援で建て直せばよいのだろうか。灯篭そのものは文化庁からの支援があるそうですが、倉庫(建物)はその費用に含まれません。昨年の地震で被害を受けた際に依頼したクラウドファンディングは、今年ももう一度、同じ人たちに依頼してもいいのだろうか。など、まだまだ埋められない隙間や支援する側の葛藤も多くあります。
しかし、そうした隙間や葛藤の一つ一つを、様々な立場の方々と共有されていくことで、少しずつ隙間が埋まっていくと信じています。

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今回の珠洲市で発生した地震では引き続き地域の暮らしを守るために引き続き支援が必要です。
以下のURLより皆様のご寄付を受け付けております。

みなさまからご寄付いただいた資金は災害時の中間支援組織の支援に活用させていただくほか、この取り組みのネットワークを広げていく取り組みにも一部使わせていただきます。



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