沖縄でも実質、女子トイレがなくされていっている件。取材回答を掲載します。毛糸子毛糸子2024年6月1日 08:37PDF魚拓



毛糸子

@dompenguinn

安栄観光さん、どうかどうか聞いてください。たぶんこれがみんなにとってとても良いことだって信じられてるのだと思いますが、 船内トイレの表示についてです これでは男女別に分けている意味がなくなり 女性女児が安心して利用できるトイレが存在しなくなってしまっています



@aneikankou







午後5:08 · 2024年3月31日

https://x.com/dompenguinn/status/1774348139958550570?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1774348139958550570%7Ctwgr%5E5c11e78c5113a367c385bdf581270bfe1e11ed04%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Ftemari_holly223%2Fn%2Fnd3760efed9aa

https://note.com/joteikai/n/n12d3451a579a


【女性の安全及び尊厳の保護等に関する法律(案)】

第1章 総則


第1条(目的及び理念)
この法律は、女性が、その生物学的(生得的)全身体的性別により、生殖における女性特有の身体上及び生活上の負担を負い、男性による性被害及び支配の被害を受けやすく、女性として出生したことをもって性差別・性偏見・性役割の押し付け等を受けやすいことから、これら生物学的(生得的)性別に起因する困難から女性の安全と尊厳を守るための措置について定め、生物学的(生得的)性別による区別の必要性を確認し、もって女性の安全・尊厳の確保と人権の尊重を図り、女性が安心のうちに尊厳をもって暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。

第2条(定義)
1 本法律における用語の定義は各号に定めるとおりである。
①「女性専用区画」とは、他と明確に区分された上で「女性用」と明示され、利用者を女性のみとする建物・施設・区画をいう。
②「男性専用区画」とは、他と明確に区分された上で「男性用」と明示され、利用者を男性のみとする建物・施設・区画をいう。
③「性別非限定区画」とは、「男女・男女共用・どなたでも」等と明示され、性別を問わず利用できる建物・施設・区画をいう。
④「個別区画」とは、他の区画と区分された上で、1人もしくは同時利用についてあらかじめ合意または同意した複数人が使うことを予定した建物・施設・区画をいう。
⑤「簡易な個別区画」とは、1号及び2号の区画内において、仕切りや時間帯区切りによって区別され、1人、もしくは、同時利用についてあらかじめ合意または同意した複数の同性が使うことを予定した区画をいう。
⑥「不特定」とは、複数の同時利用者が互いに面識のない場合及び互いの生物学的性別について事実を確知する機会のない場合をいう。
⑦「脱衣」とは、身体の全部、または、身体のうち通常社会生活において着衣に隠れる部分・下着を露出する状態をいう。
⑧「教育機関」とは、学校教育法第1条及び第124条の教育施設並びに教育機会確保法に基づく教育支援施設その他児童・生徒・学生の教育を行う機関をいう。

第3条(区分の原則)
1 第2章に定める女性の身体にかかる安全及び尊厳等の確保のための措置について性別の区分を必要とする場合、その区分は、男女の生物学的[生得的]性別による。
2 この法律以外の法令の適用にあたっても、性別の定めのあるときは、第1条の趣旨に鑑み、女性の生物学的性別の特性及び困難に基づく保護の必要性について十分配慮しなければならない

第2章 女性の身体にかかる安全及び尊厳等の確保のための措置等


第1節 施設・区画利用等に関する措置
第4条(施設・区画)
女性の身体にかかる安全及び尊厳等の確保のための措置を必要とする施設・区画等とは、以下各号に定めるものをいう。
①入浴施設・区画(浴場の他、脱衣所、通路等、利用時に脱衣を伴う部分を含む)
②トイレ・更衣室・授乳室等、利用時に脱衣を伴う区画
③DV・性犯罪等被害女性保護施設のうち、利用者の居住・滞在区画
④医療施設・介護施設・刑事収容施設のうち、不特定の複数の者が宿泊する室
⑤宿泊を伴う施設(共同住宅・寮・災害避難所を含む)のうち、不特定の複数の者が宿泊する室
⑥宿泊に準ずる長時間滞在を行う施設・区画・交通機関等
⑦その他女性身体の安全及び尊厳の保護、並びに、性的侵犯及び身体的プライバシー侵害の予防及び避難等を目的として、管理者により特に設けられた専用施設及び専用区画等

第5条(女性専用区画の設置義務及び努力義務)

1 前条1号及び4号の施設・区画であって、政令で定める人数以上の不特定の者が利用する施設を設ける場合、他の施設・区画と明確に分離された女性専用区画及び男性専用区画を設けなければならない。
2 前条2号及び3号の施設・区画であって、政令で定める人数以上の不特定の者が利用する施設を設ける場合、国、地方公共団体及び公益法人は、他の施設・区画と明確に分離された女性専用の施設・区画を設けなければならず、その他の者は設けるよう努めなければならない。
3 前条5号及び6号の施設・区画であって、政令で定める人数以上の不特定の者が利用する施設・区画を設ける場合には、設置者または管理者は、他の施設・区画と分離された女性専用の施設・区画を設け、女性が希望する場合は同施設・区画を利用させるよう努めなければならない。

第6条(女性専用区画の利用)
1 第4条1号ないし3号の施設・区画において女性専用区画が定められた場合には、同区画には、緊急の場合又は修理・点検・清掃等管理上の必要性がある場合を除き、政令で定める年齢以上で生物学的[生得的]女性以外の者は、原則として立ち入り又は利用することはできない。
2 第4条4号ないし6号の施設・区画において女性専用区画が定められた場合の同区画及び第7号の施設・区画については、生物学的[生得的]女性のみを利用者とし、同区画には、緊急の場合及び修理・点検・清掃等管理上必要のある場合を除いて、利用者及び職員のほかは、管理者の定めた時間内で利用者の許諾した者以外の者は、原則として立ち入ることはできない。

第7条(個別区画・性別非限定区画の設置・利用)
1 第4条1号及び4号の施設・区画であって、政令で定める人数以上の不特定の者が利用する施設を設ける場合には、設置者及び管理者は、女性専用区画及び男性専用区画に加え、個別区画を設けるように努めなければならない。
2 前項の場合において、建物の大きさや構造、床面積の不足その他のやむを得ない理由により個別区画を設けることができない場合は、設置者及び管理者は、男性専用区画及び女性専用区画につき、区画の一部の仕切りや時間帯による区分等を行うことにより、簡易な個別区画に変更することができる。ただし、本項の措置により簡易な個別区画に変更する部分は、変更する区画の床面積あるいは総営業時間のうち政令で定める割合(但し4分の1を超えないものとする)を超えることができない。
3 性同一性障害特例法に基づき性別の取り扱いを変更審判を経た者が、第4条1号又は4号の施設・区画について、その生物学的[生得的]性別に応じた専用区画を使用することが困難であるときは、その者は、あらかじめ、管理者に対し、自らの利用のために個別区画の設置を求めることができ、管理者はこれに応じるよう努めなければならない。ただし、前項の簡易な個別区画の場合には、その生物学的[生得的]性別に応じた区画内の簡易な個別区画を利用するものとする。
4 第4条2号の施設であって、政令で定める人数以上の不特定の者が利用する施設を設ける場合には、設置者及び管理者は、女性専用区画及び男性専用区画のほか、個別区画ないし性別非限定区画を設けるように努めなければならない。
5 前項の場合において、建物の大きさや構造、床面積の不足その他のやむを得ない理由により個別区画ないし独立の性別非限定区画を設けることができないときは、管理者は、男性専用区画の一部または全部を性別非限定区画に変更することができる。管理者は、男性区画の性別非限定区画化に際しては、男子小便器と通路との間に視線を遮蔽する衝立等を設けるよう努めなければならない。
6 性同一性障害特例法に基づき性別の取り扱いを変更審判を経た者が、第4条2号の施設・区画について、その生物学的[生得的]性別に応じた専用区画を使用することが困難であるときは、その者は、自らの利用のために、管理者に対し、性別非限定区画の設置を求めることができ、管理者はこれに応じるか、または個別区画を設けるよう努めなければならない。
7 第4条1号ないし6条の施設・区画の女性専用区画において、性同一性障害特例法に基づき性別の取り扱いを変更審判を経た者につき、その風貌が極めて生物学的男性に近似している等のために他の利用者から強い不安や恐怖を覚える旨の訴えがあったとき、またその訴えが強く予想されるときは、管理者はその者に対して女性専用区画の利用を拒絶しまたは退去を求めることができる。その場合には、管理者は、できる限りその者に同施設における個別区画ないし性別非限定区画を利用させるよう努めなければならない。

第2節 性別区分に関する措置
第8条(女性の身体及び出生性別による困難是正制度にかかる性別区分)
女性の身体にかかる安全・尊厳及び、生物学的[生得的]身体性別・出生性別に起因する困難の是正のため、生物学的性別により認識することが特に必要な制度にかかる性別区分とは、以下各号に定めるものをいう。
①医療(診療・治療・医療情報取扱い等)における患者の性別区分
②月経・妊娠・出産にかかる制度における利用者及び医療等資格の性別区分
③スポーツ(公私の競技大会、親睦大会、部活動、サークル活動、政令で定める年齢以上の体育の授業を含む)において、主催者が参加者の性別により参加資格・競技区分を定めた場合の参加者の性別区分
④教育機関において入学・在学要件として女子であることを定めた場合、その生徒の性別区分
⑤公衆衛生・犯罪・教育・経済等にかかる統計調査の実施及び集計、その他、女性の生物学的身体性別・出生性別に由来する困難解消を目的の範囲とした社会調査・制度等の性別区分

第9条(制度にかかる性別区分の原則)
前条各号に定める性別区分は、第3条の例による。

第10条(教育機関の特則)
1 第8条4号の教育機関においては、本法第1条の目的・理念及び、女子教育機関が伝統的にジェンダーロール(性役割)、ジェンダーバイアス(性規範)の強固な我が国においてそれらから若年女子を解放しつつ育成する機能を持っていること、また若年において性被害またはその危険に晒された女子が安全と安心のうちに学びを得られるシェルターの機能を持つことに鑑み、その性別区分においては第9条の区分を維持しなければならない。
2 教育機関は、第1項の趣旨に鑑み、学内の生活及び教育課程において生徒の安全と尊厳が保たれるよう、最大限の注意を払わなければならない。また、校舎内各施設・区画等の利用及び体育の授業についても、第1節及び第8条3号の規定によるものとし、その性別区分は第3条・第9条の例を維持しなければならない。









第11条(制服・ユニフォーム等)
スポーツ・教育機関等において、制服・ユニフォーム等の定めがあるとき、規定の制服・ユニフォーム等につき男女にデザインの差異がある場合、または伝統的性規範に顕著なデザインである場合において、主催者・運営者・管理者等は、参加者・生徒等が希望した場合には、よりユニセックスな(性別差異・性規範の顕著でない、また露出の少ないデザインの)制服・ユニフォーム等を着用させるよう努めなければならない。

第3節 安全・尊厳・プライバシーにかかる同性対応に関する措置
第12条(女性の安全・尊厳・プライバシーにかかる同性対応の性別区分)
女性の安全・尊厳・プライバシーの保護を目的とし、生物学的性別により認識することが特に必要な同性対応にかかる性別区分とは、以下各号に定めるものをいう。
①捜査機関・刑事収容施設において、脱衣を伴い、また身体に直接接触する身体検査・証拠調べ等が行われる場合に、その実施及び立会いにつき、被疑者・被告人・被収容者と同性の捜査員によるべき場合の性別区分
②捜査機関において、性被害・ストーカー被害・身体に対する暴力被害・プライバシー侵害等に関する相談・事情聴取・証拠調べ等が行われる場合に、その実施及び立会いにつき、被害者・証人が同性の捜査員によることを希望する場合の性別区分
③医療・看護・介護等において、脱衣を伴う診察・処置・介助行為を行う場合、もしくは一連の診療・看護・介護等において脱衣を伴う診察・処置・介助行為が予想される場合において、患者が同性の医師・看護者・介護者等によることを希望する場合の性別区分
④性被害・ストーカー被害・身体的精神的暴力及びハラスメント被害・プライバシー侵害、その他本人が異性に対し告白することを望まない事実についての言及を含む医療、カウンセリング、法律相談等において、本人が同性の医師・カウンセラー・弁護士等を希望する場合の性別区分
⑤保育・シッター・家庭教師・家事代行等、長時間自己の領域内において未成年者を預かり、または長時間人の私邸に滞在する形態のサービスを利用する場合に、利用者が未成年者又は利用者と同性の保育士・シッター・サービス提供者等を希望する場合の性別区分
⑥その他、各種の人的サービス提供において、女性の安全・尊厳・プライバシーを確保する目的で、管理者・提供者等が特に同性によるサービス提供等を表示する場合の性別区分

第13条(同性対応にかかる性別区分)
前条各号に定める性別区分は、第3条の例による。

第14条(管理者・役務サービス提供者の義務)
第12条各号の場合には、各号の役務・サービス等の提供者は、利用者等が第13条の区分に基づく同性による役務・サービス等の提供を受けられるよう努めなければならない。ただし緊急の場合、また、十分な人員が存在しないときであって利用者等の事前の同意を得た場合は、その限りではない。

第3章 本法の目的のための生物学的[生得的]性別の確認


第15条(生物学的[生得的]性別確認行為等の違法性の阻却)
1 第2章の女性専用施設の利用者資格もしくは女性区分遵守のために行う各号の行為は、利用者等においては自己を防衛するための行為、施設の設置者・管理者等においては正当な業務執行のための行為とみなす。
①第2章所定の女性専用区画の利用ないし各制度の利用において、利用者が他の利用者等の外見等から生物学的[生得的]男性である合理的な疑いを抱いた場合に、同利用者等の生物学的[生得的]性別を尋ね、また管理者・職員等に確認を依頼する行為
②前号の場合、もしくは施設管理者・職員が自ら確認の必要のために、利用者等の外見等から生物学的[生得的]男性である合理的な疑いを抱いた場合に、同利用者または利用を申し込む者等の生物学的[生得的]性別を尋ね、また確認し、女性以外の利用を拒絶しまたは退去を求める行為
③第2章所定の女性専用区画の提供ないし各制度の提供において、設置者・管理者・責任者等が、職員の採用時及び異動時に生物学的[生得的]性別を尋ね、確認し、本法の目的を達するため、生物学的[生得的]性別に基づいて職員の配置ないし業務命令、サービス利用者への確認等を行う行為
④第12条各号の場合において、サービス利用者等が提供者等の外見等から生物学的[生得的]男性である合理的な疑いを抱いた場合に、同提供者等の生物学的[生得的]性別を尋ね、確認し、同性でない場合に利用を拒否する行為

2 前項の場合においても、利用者もしくは施設設置者・管理者・責任者等は、確認対象者について知り得た生物学的[生得的]性別に関する事実を本法の目的の範囲においてのみ利用するものとし、みだりに他人に漏らし、またその他の目的に使用してはならない。







【女性の安全及び尊厳の保護等に関する法律(案) 解説】



本法案は、生物学的女性の安全・権利・尊厳の保護に関して、その理念及び必要な規定を提案するものです。
本法律においては、「性別」「女性」にあえて定義を置いていません。それは今も昔も、第一義的には生物学的[生得的]性別(女性)を指すものだからです。
現在、最高裁において性同一性障害特例法の要件の一部が違憲とされ、適用拡大の動きがあります。戸籍性別と生物学的[生得的]性別とが一致しない者が現在より増加する状況においては、⑴生活の各場面における性別の意味・範囲について疑義や混乱が生じたり、⑵特に生物学的[生得的]男性と生物学的[生得的]女性との間で権利・利益の衝突が生じる場面が増加することが予想されます。













本法律は、そのような状況下において生物学的[生得的]女性の安全・権利・尊厳の保護を図る女性保護に関する一般法であるとともに、性同一性障害特例法との関係では、同法4条所定の「法律に別段の定め」を定めることにより、同法における「性別みなし」の及ばない場面を具体的に定めることを目的としているものです。

第1章 総則


第1条:
本法の目的と理念です。
生物学的[生得的]女性は、①体の一部の器官や自認ゆえでなく、全身体の性別により困難を負うこと ②生殖においては月経・出産の身体・生活の負担をほぼ女性が担うこと ③男性により性被害・支配の被害を受けやすいこと ④生物学的[生得的]性別によって判断される出生時性別により、性差別・性偏見・性役割の押し付けを受けやすいこと を指摘しています。
女性保護に関しては、これらの困難の防止・是正を制度目的としていることを確認する必要があります。本法の目的・理念は、女性保護制度一般の解釈指針を示したものです。

第2条:
区画及び利用者に関する定義です。
④個別区画:いわゆる個室、家族室、家族風呂など。合意のうえで、性別を問わず1人または複数人で利用することを想定。
⑤簡易な個別区画:女性(男性)専用区画内に簡易間仕切りや時間帯区切りで設ける個別区画ですが、個別区画(個室)と違い、他の利用者もいることから、生物学的には他の利用者と同じ性別の者の利用に限り、他の利用者と同時利用が困難な戸籍変更者等を利用者として想定しています。区切り箇所や時間帯について利用資格を掲示することで、簡易な「より限定された性別限定区画」としての利用も想定しています。

第3条:
本法第2章の女性保護措置に関しては、生物学的[生得的]性別により性別区分を判断することを注意的に規定したものです。

第2章 女性の身体にかかる安全及び尊厳の確保のための措置等

大きく分けて、
第1節 女性専用施設・区画(いわゆる女性スペース、空間保護)
第2節 性別区分(医療・スポーツ・女子教育機関等、利用者・参加者の性別区分を定めるもの)
第3節 同性対応(安全・尊厳・プライバシーに関する同性対応の保護)
の3区分で、それぞれ具体的場面を示しています。

第1節 女性専用施設・区画(いわゆる女性スペース、空間保護)
第4条:
女性専用区画が設けられる場合を示しています。下記は具体例です。
①浴場(浴室の他、脱衣所や通路、休憩室等、脱衣を伴う部分を含む)
②トイレ・更衣室・授乳室のうち母乳を与える室
③DVや性犯罪の保護シェルター
④病院や介護施設、刑務所、留置場等の宿泊室部分(通常、既に男女の病室、施設が分けられていることを想定)。「不特定」とは、仮に管理者側から見て固定されたメンバーであっても、利用者が互いに知らない者同士の場合は、生物学的[生得的]性別での女性専用にしなければならないという意味です。
⑤ホテル、共同住宅、寮、災害避難所の宿泊室部分のうち、個室・家族室でない部分で、「女性専用」と銘打つ場合を想定しています。不特定というのは、家族・カップル・知り合い同士で異性混在の場合は除くという意味です。
⑥夜行バス、夜行列車、フェリー、ネットカフェ等で「女性専用区画(専用車)」を銘打つ場合などを想定しています。
⑦その他、管理者が「女性専用」と銘打つ区画・施設として、通勤電車等の女性専用車両、ジム、エステ、マッサージ店などを想定しています。

第5条
第4条の施設・区画のうち、
1項:浴場は公衆浴場法から男女とも専用区画設置必要
2項:トイレや更衣室、シェルターは、女性専用区画必要(男性専用は問わない)
3項:宿泊を伴う施設等は、女性専用区画を設置するよう努め、希望する女性には使わせる必要

第6条
1項:浴場、トイレ更衣室、シェルターには、男性は、緊急時や管理に必要な時以外は足を踏み入れてはならない。
2項:病院ほか宿泊を伴う施設等は、特に病院等では職員は立ち入るほか、日中は面会や来客等が想定されることから、面会時間等には利用者女性が許諾すれば男性の立ち入りも許容しつつ、基本的には男性の利用・立ち入りは不可とするものです。

第7条
主に戸籍変更者・予定者を想定し、生物学的[生得的]性別での男女二分では使用しにくいときに備えて、いわゆる「第3のスペース」(個別区画(個室)、性別非限定区画、仕切り・時間区切り措置等)について例示したものです。これを施設設置者の努力義務とすることにより、戸籍変更者・その予定者の生活の不便の解消を図るとともに、生物学的[生得的]には男性である人が生物学的[生得的]女性専用区画をどうしても使わなければならないという事態を避け、女性の安心安全も確保するための規定群です。







1項~3項 浴場や病院・介護施設・刑務所等について
1項:浴場や病院・介護施設・刑務所等では、男女の専用区画以外に、個別区画(個室)を設けるべき。(施設の性質から、男女共用は不可能で、個室対応が望ましいと考えます。)
2項:新たに家族風呂や個室を確保することが難しい時は、男性区画・女性区画内に、仕切りや時間帯区分で「簡易な個別区画」にすることができる。
3項:戸籍変更者が生物学的[生得的]性別基準で利用することが難しい時は、あらかじめ、個別区画(個室のほか、間仕切り区画、時間帯区分による簡易なもの)を設けて使わせるよう管理者に申し出ることができる。ただし、利用できる簡易な個別区画は、生物学的[生得的]性別に応じた区画内のものとしています。

4項~6項 トイレ・更衣室・授乳室等について
4項:トイレ等は、男女の施設に加えて、個室(現在の多目的トイレのようなものを想定)や性別非限定のトイレ(共用トイレ、いわゆる誰でもトイレ)を設けるよう努めるべき。
5項:既存施設で狭い、増築が難しい等の事情がある場合は、男性トイレを性別非限定化(性別を問わず誰でも利用できるものに)することによって、二分性別では利用困難な人の必要を満たすことができる。
6項:戸籍変更者が従来の男女二分トイレを使いにくい時は、個別トイレや性別非限定(誰でも)トイレの設置(男性トイレの性別非限定化を含む)を管理者に求めることができるとしたものです。

7項:男性に戸籍を変更した生物学的女性の特則
7項:男性に戸籍を変更した女性は、生物学的性別にしたがって、女性専用区画を使うことになります。ただし、よほど生物学的[生得的]男性にしか見えないような人である場合は、他の女性は不安と恐怖を覚えかねません。その場合は、管理者は、女性専用区画を使わないよう求めることができます(生物学的に女性かつ戸籍が女性である人は、仮に疑われたとしても、身分証の提示により、引き続き女性区画を利用できる想定です)。
ただし、女性区画からの退去を求めるにあたっては、生物学的に女性である戸籍男性には、個別区画(個室等、仕切り・時間区切り対応)や性別非限定の区画を設けて使ってもらうべきということです。

第2節 性別区分(医療・スポーツ・女子教育機関等、利用者・参加者の性別区分を定めるもの)
第8条・第9条:
性別の取り扱いにおいて、(1)身体やその機能そのものにかかわるもの (2)身体・プライバシーの尊厳の保護に必要なもの (3)女性が出生時性別に基づいて出生時から不断に受ける性差別・偏見等による困難の是正措置に必要なもの の観点から、「女性」を「生物学的女性」と理解すべき場合を特に例示して定めたものです。
①医療:医療は身体そのものに関わります((1)の観点)。かかりやすい病気や物質の血中濃度の正常値範囲も男女では異なるため、生物学的性別によらないと、本人も危険であり、医療関係者は情報不足による誤診のリスクがあり、医療情報の蓄積においても情報の汚染となるためです。
②月経・妊娠・出産も生物学的女性の身体に係る事象であり、(1)の観点から生物学的性別により判断すべきほか、(2)の観点からは関係資格(助産師等)の性別も生物学的性別によるべきこととなります。
③スポーツも生物学的性別による身体強弱の差が著しい場面であるため((1)の観点)、生物学的性別によるものとしました。スポーツの場面は、順位や公式記録にかかわるいわゆる競技大会だけでなく、親睦会やサークル活動、体育の授業も含めた広い範囲を想定し、「性別区分をおいているかどうか」で限定することとしました。町内会や職場の親睦スポーツ会のような、男女混合が通常であり、性別区分自体が置かれない場合には本条項の適用とはなりません。
④いわゆる女子校です。女子校においては、すべてが身体に係ることとはいえないにしても、生活全般が校内で行われるために(1)(2)の場面もしばしば存在するほか、(3)の観点からの生物学的性別区分が必要と考えます。この意義と目的を確認するため、教育機関については特に第10条を設けました。
⑤統計調査その他の制度においては、(3)の観点から生物学的性別による性別区分が重要になる場合があります。例示の統計調査の実施・集計ほか、(3)の趣旨(出生時性別からの性差別・偏見等の困難の是正措置)においては特に生物学的性別が重要となることを指摘し、確認するものです。

第10条
1項:女子教育機関が必要な趣旨・目的につき確認するものです。女子校が、若年の女性を、出生時性別(生物学的性別)による性差別・性偏見等の強制から解放し、性被害からのシェルター機能を持ち、身体的尊厳・プライバシーを保つ機能があることから、特に生物学的性別による区分の必要性があることを確認するものです。
2項:教育機関が1項の趣旨をよく認識し、女子生徒の安全と尊厳を保つよう努める必要があることと、学内施設や体育の授業においても生物学的性別によることを維持しなければならないことを再度確認するものです。

第11条
スポーツや教育機関では制服・ユニフォームが定められる場合が多いこと、そのデザインに大きな男女差がある場合には、特に思春期にあたりその着用が無用な心理的な障害となる例が多いことから、特に定めたものです。いかにも男(女)を思わせる典型的な制服・ユニフォーム着用に抵抗がある者には、よりユニセックスなデザインの選択肢を与えるべきことを示したものです。
(例:スカートを好まない女子にスラックス。身体に沿ったデザインを好まない女子に、よりゆとりあるデザインの制服。露出の高いユニフォームを好まない男子や女子に、被服面積の大きいユニフォーム等。)

第3節 同性対応(安全・尊厳・プライバシーに関する同性対応の保護)
第12条、第13条
女性の安全や身体・プライバシーの尊厳の保護に必要な制度として、「同性対応」があります。主に、女性の身体に触れたり裸体を見たりすることが必要な場合には、男性ではなく、同性である女性が行うべきという原則です。
女性の身体検査は女性の警察官が行うことが典型で、同性看護介護などの例があります。身体以外にも、通常異性に知られることを望まないプライバシーに係ることや、生活の安全なども同性対応による保護を望む場合が考えられます。そこで、利用者によりそれら同性対応が望まれる典型的な場面を示し、その場合の性別区分は生物学的[生得的]性別によるべきことを定めました。この場合のサービス等提供者の「同性」は、自認等ではなく、事実としての生物学的性別によることが必要です。各号の想定する具体的な場合は、以下のようなものです。

①女性の被疑者・被告人の身体検査等(警察官、捜査員の性別)
②性被害やストーカー等についての女性の被害者や証人の聴取、証拠調べ(警察官、捜査員の性別)
③医療・看護・介護等で脱衣を伴う場合、予想される場合(医師、看護士、介護士等の性別)
④性被害やストーカー等、異性に詳細を告げることに抵抗があるときの、医療やカウンセリング、法律相談の場合(医師、カウンセラー、弁護士等の性別)
⑤保育、シッター、家庭教師、家事代行等、長時間未成年を預かったり、私的領域である家に入ってサービスを行う場合(保育士、シッター、家庭教師、家事代行者等の性別)
⑥その他、「同性(女性)によるサービス提供」を特に表示したサービス(サービス提供者の性別)

第14条
これら同性対応をサービス等を受ける者が望む場合には、事業者等は同性の職員を配置する等して、同性対応の確保の努力義務があることと、緊急の場合・人員等不足の場合で事前同意があった場合には例外となることを示しました。

第3章 法の目的のための生物学的[生得的]性別の確認


第15条
本法の目的を達成するためには、生物学的[生得的]性別を質問し、確認する必要が出てきます。これについて、聞かれたくないことを聞くのはしてはいけない、プライバシー侵害だから尋ねること自体が不当だ、アウティングが怖いから回答できない等の意見があります。しかし、生物学的[生得的]性別を尋ねることや確認自体が不可能では、本法の目的である女性専用区画の保護や、性別区分の確保もまた不可能となります。そこで、必要最小限度の範囲で、職員や利用者が他の者の生物学的[生得的]性別について尋ねること、確認することや、生物学的性別に基づいた人員配置、男性である場合の利用拒絶などを違法でないものとすることで、法の実効性を担保するものです。一方で、知った情報を他の者に漏らしたり、本法の目的以外の目的に利用してはならない旨の規定もおき、権利の両立に努めました。

1項:生物学的[生得的]性別確認行為や利用の拒絶等を、利用者の場合は自己の防衛のため、管理者や職員等については正当業務行為とみなすことで、違法でないものと扱うための規定です。
①女性専用区画や、性別区分を必要とする制度で、ある利用者が他の利用者の性別について男性であると疑う理由があるときに、生物学的[生得的]性別を尋ねたり、職員に確認を頼むことは違法ではありません。
②管理者や職員が、管理の必要のため、また他の利用者に依頼されて、ある利用者の性別を尋ね、確認すること。また、生物学的[生得的]女性でなかった場合に利用を断り、退去を求めることも、違法ではありません。
③職員も含めた女性専用区画の運営や同性対応のためには、その施設の職員について、上司が職員の生物学的性別を確認し、知ったうえで人員配置を行う必要があります。そのために、職員の採用時や異動時に生物学的性別を確認することや、同性対応の希望があるときに当該職員以外の者を配置することなどは、違法ではありません。
④同性対応を希望したときに、男性と疑わしきサービス提供者が来た時には、利用者はその生物学的[生得的]を尋ねて確認することができ、男性である場合にサービス利用を拒否しても違法ではありません。

2項:前項各号で確認した生物学的[生得的]性別は、他人にむやみに漏らしたり、本法の目的以外の場面で利用してはいけないということです。





■当会の見解と法案作成者のご意見まとめ



〈当会の見解〉

・第10条: 現在、女子校に入学している男性については退学扱いとすることが必要なため、以下のように変更したい。
→「2 教育機関は、既に入学している男性に対して、その後の学習環境の保障を図った上で、転学または退学等の必要な措置を行うものとする。」

・解説前文:
⑴生活の各場面における性別の意味・範囲について疑義や混乱が生じたり、
「生活の各場面における性別の意味・範囲について<更なる>疑義や混乱が生じたり、」 とし、<更なる>を追記したい。

⑵特に生物学的[生得的]男性と生物学的[生得的]女性との間で権利・利益の衝突が生じる場面が増加することが予想されます。
「男性によって女性の生存権が脅かされる場面が増加することが予想されます。」と変更したい。


・第7条
生物学的[生得的]には男性である人が生物学的[生得的]女性専用区画をどうしても使わなければならないという事態を避け、

男性が女性専用区画をどうしても使わなければならないという事態を避け、」

「生物学的には男性である人」という表現は「心の性は女性である人」を表現することになるため、単に「男性」と表現したい。
また、生物学的女性と言う言葉も性別の定義を身体の基準から離れさせかねないため、「女」性を用いたい。


〈法案作成者のご意見〉

・第10条: 各教育機関の権限の侵害に繋がるため原案が望ましい。

入学時には当該教育機関の判断により在学資格があると信じ、卒業まで在学できると信じた学生の学ぶ利益を害するため、適切でない。

・解説前文:
「更なる」という言葉の使用は避けるべきだ。 この言葉を用いることで、以前から女性の権利が問題なく保護されていたかのような誤解を招く恐れがある。
実際には、「疑義や混乱があること自体」が問題であり、それが女性の権利を損なう原因になっていることが懸念される。
そのため、表現を「場面が増加する」として、事態の深刻さや緊急性を強調している。この変更により、女性の権利の保護がなぜ必要か、その根本的な理由がより明確に伝わるだろう。


「生存権」という言葉を使用するべきではない。 具体的には、「生存権」という言葉は、その重大性に反して日常的に安易に使われがちであり、この場では使用を避けるべき。 例えば、生活の基本的なプライバシー(風呂や着替え、排泄を覗き見られない権利)は、一般的には「生存権」の範疇には含まれない。

さらに、憲法25条における「生存権」は、一般的に生活保護など国家により保障される社会権の一種として分類されるが、これを女性の権利と直接結びつける法解釈は難しい。 法的な背景には、より適切な条文(例えば憲法の12条、13条、14条)がある。

また、LGBTの法的権利についても、彼らが持つ法的基盤を認識し、無視することなく対応する必要がある。 これに基づき、女性の権利と尊厳を保護する法律の制定が提案されており、法は理想を主張するだけでなく、現実の調整を目的としている。

また、「権利衝突」という表現を使用することで、法的議論がより現実的で具体的な方向へと導かれる可能性がある。このアプローチにより、女性の権利が他の利益と衝突した際にどう対処するかが明確に議論されることになる

・第7条
「男性が女性専用区画を」というのは省略しすぎており、むしろ「入ってみえるのは女性」を誘発しかねない。
持って回った表現だが「生物学的には男性である人」という表現で、「法的女性・自認女性など女性を名乗る方もいるが、それとは関係なく、生物学的には男性の人」のニュアンスの方が対象がむしろ明確になる。
女性についても「生物学的[生得的]女性専用区画」とすることで、男性が侵入できないことが明確化される。








当会による緊急付記
■異性の要介助者・子供がいる場合の性別限定施設(女性限定施設)の利用について



はじめに

女性専用施設において唯一の利用権をもつ、当事者であるはずの、女性の声が非常に軽視されている、という不可思議で理不尽な現状があります。
女子トイレや女湯や女性更衣室へ、一定の要件を満たした成人男性ですら入って当然とする主張があるなかで、男の子を女性専用施設に連れて入る母親についての話題もこれまで何度か議論に上っています。
女性たちの意見や寄せられた相談に鑑み、このたびの法案公開に加えて、当会は下記の提案を付記することにしました。

①女性にのみ負担と忍従を強いない「子供を守る」方法を模索する必要がある

まず女児・男児ともに子供はたしかに社会全体で守るべきですが、その「社会全体」の内容や比重が常に女性へ大きく偏っている問題を当会は注視しています。
男児男性が女性専用施設に入ってくること、幼い男児を男性専用施設に一人で向かわせるのには危険を覚えること、母親ばかりが子の排泄や入浴介助等を担いがちなこと、などにおいて、しかしこの状況を作り上げている当事者たる男性たちこそがほぼ無関心で、女性のみが対応に疲弊している状況があります。
女性のみに負担と忍従を強いない方法で、子供の保護は実践されるべきです。まして、女児にとっては、自分と同年代である男児との排泄・入浴の場の共有は、成人女性以上の精神的負担です。守られるべき子供には当然女児も含まれることを忘れてはなりません。「子供」が男児のみを指し、女児がその負担と忍従を強いられる状況はあってはならないことです。

②原理原則をもって方向性を定め、ひとつひとつの問題解消にあたっていく

現状すべての施設で全く同じルールを課することはできませんが、そうであるからこそ、当会は、原理原則をもったうえで、実現可能なことから問題の解消にあたっていく観点が必要であると考えます。
施設の現状等いま現在のさまざまな障壁があるとしても、方向性を定めることで随時、問題の調整や見直しを行っていきやすくなるのではないでしょうか。

その原理原則を共有し、また実践するためには、大枠では社会の仕組みへはたらきかける必要がありますが、まずその根底に異なる立場、年齢、人生をもつ女性個人個人の体験や意見はとても重要な役割を持っています。

③男女の区分は子供の発達にとっても必要なことである

女性専用施設の利用当事者においては、子供という観点では女児が安心して利用できない事態はなくすべきであり、また男児を育てる母という観点では、親子で安心して利用できる施設が足りていない現状も解消されるべきです。
また、いずれ大人の男性へ成長する男児にも「原理原則として本来はそこへ立ち入るべきではない」という前提が存在すること自体が影響をもつはずです。
女性の尊厳、安心は大切であり、男性の要望や都合の劣位ではない、という意識を育める機会がこの社会では男女ともに非常に少ないと感じています。特にトイレは全ての人間が幼い頃から繰り返し毎日使用する場であり、そこでの体験は意識に大きく影響を与え得る場でしょう。

厚労省による混浴年齢引き下げの通達における資料にあるように、性的羞恥等の発生は4歳くらいからあるという点や、プライベートゾーンの教育との齟齬によるダブルバインドの影響、物心ついた後の体験は成人になっても記憶にあり思考形成に影響が大きい点を鑑みても、男女の区分はすべての子供の発達にとっても必要なことだと考えられます。

④具体的な提案

具体的には、母親と息子また父親と娘といった異性親子、また障害をもつ方への異性介助においても使える性別不問トイレの拡充への努力義務、また保育園・幼稚園のトイレの男女区分への努力義務、また、女子トイレへの男児用小便器の設置廃止、公衆浴場の家族風呂設置努力義務と異性浴場入場可能年齢の更なる引下げ(段階的に混浴完全禁止を検討)を提案します。

おわりに

当会のnoteでご紹介した女性保護法(案)は、女性専用施設の原理原則、方向性を定めるものでもあります。たとえば混浴年齢を現状より更に引き下げる検討やそもそも混浴禁止とする要望、
あるいは異性親子トイレ・異性介助トイレや、多目的トイレ増設の要望、
問題や困難を感じたときの相談先の設置を求める、
などといった例も、男女区分は必要であるとの原則が明確になるからこそ求めやすくなると考えます。
女性専用施設にまつわって起きている問題、困難、困りごとなどは今まさに可視化されてきたところであって、まだまだ解消に向けてのスタート地点に立つ手前です。そこでさまざまな意見があることは当然であり、必要な経過地点でもあるでしょう。現時点が最終の答えでもなければ、今すぐに全てを作り変えることができないことでもあり、今は経過の、しかし重要なひとつの地点です。私たちも皆様とともによりよい方法を考え、女性女児が、定義も安全も尊厳も奪われることのない環境を作っていきたいと思っています。

「女性保護法」法案を公開します





女性の定義を守る会

2024年5月18日 18:00



「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」(以下「連絡会」という)は、2024年2月4日付、「女性スぺースに関する法律案」「女子スポーツに関する法律案」(第2案)を発表した(https://note.com/sws_jp/n/n52559495ca02)。
しかし、これら法案は、生物学的[生得的]女性にとって非常に危険な規定を含んだものであり、その安全を確保するどころか、女性専用施設・区画(女子トイレ・女湯・女子更衣室等の、いわゆる女性スペース)・スポーツにおける女性の安全を不可逆的に後退させるものたり得る。
 私たちはこの提案に反対する。理由は以下のとおりである。

1 女性の定義に生物学的(生得的)男性を加える暴挙

 性別の定義を第一義的に生物学的[生得的]なものとすることをゆるがせにしてはならないことについては、上記女性の安全・尊厳の保護に関する提言1で述べた。
 女性を守る名目を掲げていても、女性の定義に一部生物学的男性を加えることは、生物学的女性が自らを称する言葉を奪うことであり、暴挙である。
 連絡会提案では女性専用施設・区画とスポーツに関してそれぞれに女性を別定義し立法すべきとされているが、このような定義の解体を認めた場合、その他全てにおいても、場面ごとに女性の定義と権利の線引きを、生物学とは異なるものに取り決め得ることになる。各場面、各法律において「女性」の範囲自体を変えることは、混乱を招く(特に小児や知的障碍者、日本語未習熟者等、複雑な判断の困難な者)。性別は身体による。これは堅持すべき原則である。
 女性の定義を揺るがせにすることは、女性の生活において無用の混乱を招く一方で、女性のための権利活動や統計、医療など必要情報の提供など様々な場面で「女性」とは何を指すのかが曖昧に解体され、必要な是正や訴え、集会、議論などの実行力を毀損、または失う。それは女性の尊厳や自由を毀損することにほかならない。

2 陰茎の有無は性別の指標ではない。陰茎がないことは、女性の性被害がないことも、尊厳が傷つけられないことも意味しない。

 連絡会は、女性専用施設・区画利用における女性の定義を「生物学的女性で戸籍変更をしていない者及び、戸籍変更した男性のうち陰茎を残していない者」と定める(連絡会女性スペース法案第1条)。
 この定義は、従来特例法による男性から女性への性別取扱変更者が陰茎に関して手術を経ていたことから、陰茎を残した者を女性専用施設・区画に立ち入らせないことの確保のためと説明されるところであり、同法案における男女の区分自体が陰茎の有無を指標としてなされている。
 しかしながら、性別が性器の形状のみを意味するのでないことは、上記女性の安全・尊厳の保護に関する提言1で述べたとおりであり、女性専用スペース使用基準に限っても陰茎の有無を指標とすることは不合理である。
 女性専用施設・区画使用において、陰茎がなければ入場を可能とする理由は、①陰茎がなければ性加害ができない②陰茎そのものの外観により女性を困惑させることがない  の2つであると推測される。
  しかし、性加害は陰茎を使用しない内容も多い。陰茎がなくとも、手や唇で触れたり、覆いかぶさったり身体を擦り付けたり等の加害は可能であり、体格差筋力差から、着手に至った場合女性が逃れることは極めて困難である。窃視や盗撮等も陰茎がなくとも可能な性加害である。また、「女性専用」とされている場は更衣や入浴、排泄、生理用品の扱い、授乳など無防備な状況かつ細心の尊重が必要な空間ばかりである。たとえ明確な身体的暴行、盗撮などが行われないとしても、また陰茎そのものの露出がないとしても、それらの場に男性が居ることそのものが女性の尊厳・羞恥を傷つける精神的な虐待となる。同性介護の原則を想起しても、陰茎を使う暴行・露出をのみ懸念しているわけではなく、体格の優劣による暴行や他人に身体を晒すこと自体の精神的負担を考慮していることからも、女性の安全・尊厳・性的身体的プライバシーの保護は決して男性の陰茎の有無によってのみ考えるべきでないことは明白である。

3 現実に「陰茎を残していない」確認を誰がするのか? 確認は不可能である。結果として、どのような男性でも女性専用施設・区画に入りやすく、咎められない状況をもたらすことになる。

 連絡会案のいうように「戸籍を女性に変更した生物学的男性(異性自認男性)は入場可能だが、陰茎を残している場合は入場不可」とする場合、男性の外見(体格、骨格等)の者の入場があっても、不審として入場資格を確認するにあたっては、身分証のほか当該人物の陰茎の状態を確認する必要が発生する。が、現実問題として、たとえ銭湯のような全裸になる場であっても、素裸の陰部を他人がことさらに見て確認するなどは、その陰部がどのような状態であったとしても、極めて本人の性的身体的尊厳を害し、人権侵害に近いというほかない。トイレや更衣室など全裸を予定しない場ではなおさらである。
 実際の陰部確認が人権の観点から困難と言う事実に鑑み、今後身分証に陰茎状態を記載し確認をする方法は考えられるが、それ自体も非常にプライベートな陰部の状態を身分証上で表示させることになり、通常人の羞恥をかきたてるもので、現実的ではない。手術証明書等の携帯を求めることについても、一見してその真偽を確認することは困難であるため、悪質な男性が偽造の証明書を作出し提示することを防止する術がない。
 このように、陰茎の有無の判断は実際には困難である。特に公衆トイレには身分証等確認者を必ず配置することさえ事実上不可能である。トイレのように個室外では服を着た状態では勿論、浴場のように裸で利用する施設であっても、専用の防水テープで陰茎を巧妙に留める手段を用いて女湯に入り男性同士で情報共有している者まで存在する現状において、全ての女性専用施設で「陰茎を残していない」生物学的男性のみを選別することは不可能である。陰茎を残していない生物学的男性を入場可とすることにより、現在女性が自然に行っているように体格や骨格等で男性を認識することで入場不可の人物をはじくことが不可能になり、実質どんな男性でもが女性専用施設・区画に入りやすい危険な状況を作り出す。

4 スペース法4条2項3項関係(公営施設以外では、管理者の判断で女性専用施設・区画入場可能範囲を決定でき、陰茎や戸籍どころか、女性自認だけの男性の入場に「お墨付き」を与えることができること)

 連絡会女性スペース法案第4条は、1項において女性専用施設・区画への女性以外の立ち入りを禁じる一方で、2項においては「特定人の特定トイレ利用につき、管理者が女性の意見を聴取すれば、掲示の上使用許可できる」と定め、3項においては、公的団体以外の施設では管理者が別に定め掲示を行えば1項2項の適用を排除できるとの規定を置いている。(注1)
  (※注1) 第4条 女性スペースには、緊急事態・設備点検等で称呼しつつ入場する場合の外は、政令で定める年齢以上の女性以外の者は入場することができない。
2 前項にかかわらず、特定の女子トイレにつき、管理者が当該女子トイレを通例利用する女性の意向を慎重かつ十分聴取した上で、特定人の入場を別途許容し、その趣旨を女性スペースに明示する場合はこの限りではない。
3 前2項の規定は、国、地方自治体及び公益法人以外の管理者にあって、別に定めかつこれを女性スペースに明示する場合はこの限りではない。      (連絡会女性スペース法案第4条)

 2項については、連絡会により「経産省トイレ事件判決に反しないため」と説明されるところであるが、上述のように経産省トイレ判決はあくまで特定の事案についての判断である。また、本規定は場面を限らない特定人・特定トイレについて、女性の意見さえ聴取すれば、その意見を結論に反映したり、反対女性への適切な対応行ったりしなくとも全面的に管理者の判断で許可できるとする点で、経産省判決よりも過度に広く、女性への不利益をもたらす可能性の高い条項である。
 そればかりか、3項の規定によれば、公営施設以外では、管理者の裁量・判断で全ての男性に利用許可を出すことができる。これまでも施設管理者の権限があったとはいえ、男性の入場は社会通念から鑑みて女性への人権侵害であるという抗議が成立し得た。しかし、本法によれば、女性の定義を生物学以外に新たに設定するばかりか、管理者の許可により男性であっても女性専用施設に入場可能と設定してよいと公認する手段を与えることとなってしまう。これは一定の範囲の男性の女性専用施設への入場に法の後ろ盾を与えることであり、女性はそれらを人権侵害として抗議するすべを完全に失うこととなる。

 管理者が、女性専用施設・区画において男性も利用可能な運用を掲示した場合、実際には女性が安心安全に使える女性専用施設は減っている・なくなっているにもかかわらず、統計には数としてそれが現れてこない。むしろ女性専用施設が増加していると数字上で見せかけることが可能になる。特に排泄の場の不足が不可視化されることは、生活・社会進出といった女性の人生すべてにわたる格差是正を困難にさせる。

5 女性スポーツに男性参加を許容する「身体接触なき場合の、参考記録出場」規定について

 連絡会の女性スポーツ法案は、女性の範囲を生物学的女性のうち戸籍変更を行っていない者としつつも(第2条)、第4条において、「身体接触し合わない種目につき」「参考記録として」女性でない者の参加を許容する文言となっている(注2)
(※注2)第4条 前条の規定にかかわらず、選手が身体を接触しあわない競技種目につき、参考記録として参加を許可する団体はこの限りでない。(連絡会女性スペース法案 第4条)

 しかしながら、女性の身体の保護は、公式な大会と身体が触れ合う競技のみに限らず、全ての女子競技について必要である。「すべての国民が、関心・適性等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツを楽しむ機会が確保されていなければならない」とするスポーツ基本法(前文)に照らし合わせてみても、競技内容や記録の扱いに関わらず男性が女性限定の競技に参入できるとすることは、女性の権利を侵害する。CEDAW(女子差別撤廃条約)においても、女児及び女性が女性のみを対象とするスポーツや体育に参加する機会の提供を求めているが、女子競技と銘打ちながら男性が参加する状態ではこの機会が女性には公正に与えられない。また、身体が触れ合う競技ではなくとも不意な接触や、打球の衝撃などによって女性を危険に晒し得る競技も多くある。

6 「陰茎を残していない」文言の拡大解釈可能性 

 連絡会の女性スペース法案においては、「生得的女性のうち特例法により男性とみなされていない者及び特例法に基づき女性とみなされた者のうち陰茎を残していない者」を女性と定義する(2条1号)。
 しかしながら、この「陰茎を残していない」とは具体的にいかなる状態を指すのか曖昧である。
 特例法の第3条5号における「他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えている」について、女性から男性への変更については、はホルモン投与で肥大した陰核が陰茎の外観を擁しているとみなされ条件を満たしたと判断される例がある。甚だしきは、ホルモンによる陰核肥大ににつき「診断書の通り『矮小陰茎』を認め、外性器は男性型に近似している」とされた例すらあり(注3)、医師の診断自体において陰茎や陰核等の定義自体が拡大解釈されている現状がある。このように、「陰茎を残さない」についても、必ずしも手術による除去のみを意味するのでなく、萎縮状態が医師によりそのように診断される可能性も大いに存するのである。
(※注3)令和 3年 (家) 第335号 性別の取扱いの変更申立事件

 また、男性陰部についての女性へのSRS(性同一性障害者の性別適合手術)の術式についても、陰茎陰嚢を根本から切除する術式だけではなく、陰茎陰嚢の組織や神経を使って膣や陰核を模す術式を選ぶ者も多い。またカウパー腺(尿道球腺)からの分泌液を利用するなどして、性感を保持するなどの術式がある。

 そもそも、陰茎を残していない男性なら女性として受け入れるべきである、なぜなら問題が生じないからであるとすることは、つまり女性が陰茎を使った性暴力や望まぬ妊娠にあわなければ、陰茎を使用しない男性の性加害については全て取るに足るほどの被害ではないと断定することに他ならない。このような目的解釈に基づいて「陰茎を残してない」語義が解釈される場合、「挿入強姦ができない状態ならばよい」として、ホルモン等で萎縮した陰茎で挿入不可能である、勃起不全であって性交不可能である等と医師が判断したケースなどにも適用拡大していくことが懸念される。
 このように、「陰茎を残していない」との定義において解釈が拡大していく危険性が存在することを指摘する。

7.そもそも、特例法適用の前提である性同一性障害(GID)の診断基準が不安定・不確実であり、定義上疾病から除外される動きすらあること

 性同一性障害(GID)については、医師の診断の根拠とされるICD(国際疾病分類)アメリカ精神医学会のDSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)、日本精神医学会のガイドラインはしばしば改定や見直しが行われ、GIDと診断される患者の範囲も流動的であり、かつ拡大している。特例法はこの不安定な診断基準等を適用の前提におくものなのである。
 したがって、ある時点での診断基準に基づく条件、またある時点での特例法の要件充足基準(陰茎の有無等)をもとに生物学的[生得的]男性の扱いを変えると定めたとしても、流動と拡大を続ける診断基準、それをもとにした性別取り扱い変更に対し、正当性を担保し続け得る根拠がない。

 6と7について指摘したところを合わせると、何らかの条件付で男性を女性専用施設・区画、女性スポーツ等へ、使用・参加を認めることは、条件の正当性の根拠は薄く、または減衰する運命のものである。
 女性専用施設・区画や女性区分を男性が使用することにつき、「認める」根拠をつくる法の性質と、これにもとづく実際の使用実績が積み重なり、将来において考慮されることで、陰茎有無などの条件は緩和・撤廃へと向かい得ることとなる。

【「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」案への批判】





女性の定義を守る会

2024年3月30日 11:46


⭕️女性スペースに関する法律案 第3案 2024.5.21

第1条 この法律は、性犯罪の圧倒的多数が男性から女性・女児に対するものであることに鑑み、女性スペースの安心安全という女性・女児らの基本的人権を確保することを目的として定める。

第2条 この法律において、「女性スペース」とは、「女性用」等と明示したトイレ、更衣室、風呂等の建物、区画または施設をいう。

第3条 国、地方自治体及び公益法人は、政令で定める多数の者が使用するトイレ、更衣室、風呂等の建物、区画または施設を設ける場合は、女性スペースを設けなければならず、これ以外の者は設けるよう努力しなければならない。

第4条 女性スペースには、緊急事態・設備点検等で称呼しつつ入場する場合の外は、政令で定める年齢以上の陰茎または陰嚢ある者もしくは性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号、以下「特例法」という)第4条に基づいて男性に変わったものとみなされた者は、入場することができない。
2 前項にかかわらず、特定の女子トイレにつき、管理者が当該女子トイレを通例利用する生得的女性(生物学的女性及び性分化疾患により生得的に女性である者)の意向を慎重かつ十分聴取した上で、生得的男性のうち特例法第2条所定の性同一性障害の診断ある特定人の入場を別途許容し、その趣旨を当該女子トイレの入り口に明示する場合はこの限りではない。
3 前2項の規定は、国、地方自治体及び公益法人以外の管理者にあって、別に定めかつこれを当該女性スペースに明示する場合は適用しない。
 ただし、女性スぺースのうち共同浴場については、第1項を適用する。



※女性スペースに関する法律案第3案の説明

第1条 目的規定です。

第2条 「女性スペース」とは、「女性用」と明示されたトイレ、更衣室、風呂等の建物、区画または施設で、女子高校、女子大学の施設やDVシェルターなどといった機関は含まれません。それらは別の議論が必要ですが、この法律を成立させて、踏まえた議論を期待できます。

第3条 国、地方自治体及び公益法人は、多数の者が使用する場合は、女性スぺースを設けなければならないとしました。労働安全衛生関係や学校施設の指針別として、今までこの一般的な法律がなかったのです。猶予期間が必要ではありましょう。民間については憲法の財産権の自由から女性スぺースの設置を強制できず、努力義務としました。

第4条1項 公的施設については、政令で定める多数の者が使用する女性スペースには、政令で定める年齢以上の「陰茎または陰嚢ある者」は入場できないとしました。特例法で男性とみなされることとなった生得的女性も入場できません。

これは特例法の解釈・憲法判断により、仮に「陰茎または陰嚢ある法的女性」が出現することとなっても、「別段の法律」として有効でありこのまま機能します。

第4条2項 法律は違憲と判断されるようなものであってはなりません。いわゆる経産省トイレ裁判では、2023年7月11日、最高裁判所第三小法廷判決が出ました。特定の法的男性のままの性同一性障害者につき、職場ビル内のトイレの利用を認めたのです。そこで、判決内容に準じた要件のうえで「特定の性同一性障害の方が利用することがあります」などと女子トイレ前に表示する場合には、1項の例外としました。

第4条3項 大規模小売店舗などの民間施設は財産管理の自由権があるので、女性用であってもいわゆるトランス女性につき「陰茎または陰嚢ある者」であってもすべて入場禁止とすることはできません。ですが、表示を要するという程度の制約は可能ですから、例えば「女性とのジェンダーアイデンティティをもち日々女性として生活している男性も入場可能」と明示しなければならないとしました。これらのことから、それぞれの客層とその声に応じて、公的施設に準じていくことが期待できます。

ただし、共同浴場には政令で定める年齢以上の「陰茎または陰嚢ある者」は民間でも入れないものとしました。厚生労働省の2023.6.23通達の共同浴場についての「身体的特徴による」を法律化した位置づけになります。


処罰規定は定めません。ルール、建前をこれまでの日本で常識的なルールと変えないための法律です。通報しやすく、警察がひるまず身分証やパスポートが「女性」であっても更に具体的に聞くことができる法律です。建造物侵入罪における「正当理由」の判断材料にもなります。

なお、この法律は女性スぺースについて規定するだけで、男子スペースについては規定していません。連絡会では、女子トイレについては従来のまま、多目的トイレを増やしたり、男子トイレを以前の「共用トイレ」に戻し仕切りや個室化などで小用便器を見ることなく個室に入れるようにすることで、ジェンダーアイデンティティに食い違いがある人もトイレを利用しやすくする方法が適切だなどと話しています。



⭕️女子スポーツに関する法律案 第3案 2024.5.21

第1条 この法律は、スポーツ基本法(平成二十三年法律第七十八号)の目的と基本理念を達するためには、女性が骨格、体格、身長及び筋肉等において男性として第2次性徴期を一部なりとも経験した者に比較して明らかに劣位であることに鑑み、その安全性と公平性を図ることにより、女性がスポーツを通じて幸福で豊かな生活を営む人権を確保することを目的として定める。

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1 「スポーツ」とは、主に身体を使う活動でその速度、高低、強弱、点数等々で優劣を競うことが可能な、単独またはチームによる活動を言う。
2 「女子スポーツ選手権」とは、国、地方公共団体または公益法人が主催、財政的な支援、後援等をする女性のみが選手として参加する競技種目をいう。

第3条 国、地方自治体または公益法人は、女子スポーツ選手権であるにかかわらず、選手として、次の者が参加する団体及び開催競技を主催してはならず、財政的な支援または後援をしてはならない。
 1 生得的男性 出生時に男性と判定された者であり、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号、以下「特例法」という)第4条に基づいて性別を女性とみなされた者を含み、性分化疾患によって戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第113条により女性に訂正された者は含まない。
 2 特例法第4条に基づいて性別を男性に変わったものとみなされた者
第4条 前条の規定にかかわらず、選手に身体的な危険が生じる可能性のない単独競技につき、参考記録として参加を許可する団体はこの限りでない。



※女子スポーツに関する法律案第3案の説明

第1条 目的規定です。スポーツ基本法の特別法という位置づけになります。

第2条 定義規定です。この法律での「女子スポーツ選手権」とは、公金の支出や後援がある場合のみを指すとしました。民間団体の方針自体は国として制約できないからです。類似の法律は2023年4月30日、アメリカ合衆国連邦議会では下院だけですが可決されました。またニュージーランド政府は同年12月20日、トランス女性(生物学的な男性)が女性と競うことを認めているスポーツ団体への資金提供を停止すると発表しました。

第3条 この法律では、第2案では「女性の定義」を定めて「参加できる人」を定めたのですが、第3案では「参加できない人」を定めました。内容は変わらず、2022年6月の国際水泳連盟、2023年3月の世界陸連の方針を参考にしています。

 生得的男性は、特例法第4条で後に女性とみなされた者であっても参加できません。外国人も同様です。「女性スペースに関する法律」と立法趣旨が違いますから異なるところです。また生得的女性でも法的男性になった人は女子スポーツに参加できないとしました。

ただし、性分化疾患によって戸籍法で女性に訂正された者は参加できない生得的男性ではなく、参加できるものとしました。これは、性分化疾患の一つである先天性副腎皮質過形成(CAH)女性など、出生時には誤って男児と判定されるが、後に生物学的女性(female)であることが判明するケースが、現在ではごく少数ではありますが、存在はするからです。

第4条 参考記録としての、参加を許可することは許容して良いと思われます。ただ格闘技やラグビーなど、選手が身体を接触しあう競技種目(コンタクトスポーツ競技)であれば危険性が伴うので、参考記録としての参加も許容しないこととしました。

以 上


🟣追記・修正した法律案について 2024.2.4

 「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」では、「女性スぺースに関する法律案」「女子スポーツに関する法律案」につき、修正して第2案としました。
 その法律案のpdfデータは、以下のリンク先にある連絡会が作成した冊子第二版の16〜28ページになります。分かりやすい説明もありますので、どうぞご確認ください。

https://gid-tokurei.jp/pdf/booklet.pdf

 この2つの法案における「女性」の定義の冒頭で
「女性」とは生物学的女性(性分化疾患により戸籍を男性から女性に訂正した者を含む)のうち
としていたものを 
「女性」とは生得的女性(生物学的女性及び性分化疾患により生得的には女性である者を含む)のうち
と変更したものです。
 これは、性分化疾患の方々の団体から、私案だとしても修正を強く求める要請をいただいたからです。生物学的女性というと性染色体のみで定められると誤解されてしやすいところ、様々な遺伝子の仕組みなどにより「生得的女性」がいるということを反映させたいということであり、説得力あるものでした。
 そのような経緯で法律案は修正されました。2024年2月1日に発行した第2版の「トランス女性は「女性」ってほんと?―女性スぺースを守る法律を!」には、その他の反響の報告、説明、様々な検討課題も掲載してありますので、ぜひご確認ください。
https://note.com/sws_jp/n/n6793f7b3186a
 ここに、改めて3つの法案の条文のみを示します。

⭕️女性スペースに関する法律案(第2案)

第1条 この法律は、性犯罪の圧倒的多数が男性から女性・女児に対するものであることに鑑み、女性スペースの安心安全という女性、女児らの基本的人権を維持することを目的として定める。
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義はそれぞれ当該各号に定めるところによる。
1 「女性」とは、生得的女性(生物学的女性及び性分化疾患により生得的には女性である者を含む)のうち性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号)第4条に基づいて性別を男性とみなされていない者、並びに同法同条に基づき女性とみなされた者のうち陰茎を残していない者をいう。
2 「女性スペース」とは、「女性用」等と明示したトイレ、更衣室、風呂等の建物、区画または施設をいう。
第3条 国、地方自治体及び公益法人は、政令で定める多数の者が使用するトイレ、更衣室、風呂等の建物、区画または施設を設ける場合は、女性スペースを設けなければならず、これ以外の者は設けるよう努力しなければならない。
第4条 女性スペースには、緊急事態・設備点検等で称呼しつつ入場する場合の外は、政令で定める年齢以上の女性以外の者は入場することができない。
2 前項にかかわらず、特定の女子トイレにつき、管理者が当該女子トイレを通例利用する女性の意向を慎重かつ十分聴取した上で、特定人の入場を別途許容し、その趣旨を女性スペースに明示する場合はこの限りではない。
3 前2項の規定は、国、地方自治体及び公益法人以外の管理者にあって、別に定めかつこれを女性スペースに明示する場合はこの限りではない。

⭕️女子スポーツに関する法律案(第2案)

第1条 (目的)この法律は、スポーツ基本法の目的と基本理念を達するためには、女性が骨格、体格、身長及び筋肉等において男性として第2次性徴期を経験した者に比較して明らかに劣位であることに鑑み、その安全性と公平性を図ることにより、女性がスポーツを通じて幸福で豊かな生活を営む人権を確保することを目的として定める。
第2条 (定義)この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1 「女性」とは、生得的女性(生物学的女性及び性分化疾患により生得的には女性である者を含む)のうち、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号)第4条に基づいて性別を男性とみなされていない者をいう。
2 「スポーツ」とは、主に身体を使う活動でその速度、高低、強弱、点数等々で優劣を競うことが可能な、単独またはチームによる活動を言う。
3 「女子スポーツ選手権」とは、国、地方自治体または公益法人の財政的な支援、後援等のある女性のみが選手として参加する競技種目をいう。
第3条 地方自治体または公益法人は、女子スポーツ選手権であるにかかわらず、選手として女性以外の者の参加を許可する団体及び開催競技に対し、財政的な支援または後援をしてはならない。
第4条 前条の規定にかかわらず、選手が身体を接触しあわない競技種目につき、参考記録として参加を許可する団体はこの限りでない。

⭕️性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の 一部を改正する法律案

第一条 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の一部を次のように改正する。
  第三条四号 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
  五号 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
 を削除する。
  第三条四号 男性から女性の性別の取り扱いの変更を請求する場合は、陰茎を残していないこと。
 を加える。

🟢追記 2023.11.27

 「女性スペースに関する法律案の説明」につき、条文との食い違いがあったところを直していないバージョンを出していましたので、差し替えました。



⭕️提言 前文

2023年(令和5年)11月14日

女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会
女性スペースを守る会 共同代表 山田響子、同森谷みのり、同野神和音/性同一性障害特例法を守る会 代表 美山みどり/平等社会実現の会 代表 織田道子/白百合の会 代表 森奈津子/性暴力被害者の会 代表 郡司真子/女性の権利を守るトランスの会 事務局長 森永弥沙/及び有志(順不同)

 本年10月25日、最高裁判所は、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「特例法」という)のいわゆる手術要件のうち生殖腺欠如である4号要件を違憲とし、広島高裁に5号の外観要件についての検討と憲法判断をさせるために差し戻しました。国が家事事件手続法、法務大臣権限法に基づき利害関係人として参加すべきですが、法務省は未だこの姿勢を見せません。このままでは、広島高裁で5号についても違憲判断がそのまま確定していく可能性があります。
 また、最高裁第三小法廷は本年7月11日、いわゆる経産省トイレ裁判で、当該職員という特定人につき、同建物内という特定女子トイレにつき逆転勝訴させました。
 そこで、私たちは、日本国の法秩序の維持と、女性スペースの安心安全の確保、女子スポーツの公平性の維持を確保すべく、①特例法の改正案、②女性スぺースに関する法律案、そして③女子スポーツに関する法律案の3つの法律の同日制定を、提言します。

 国会議員や内閣におかれてどうぞ検討されて、同日成立としていただきたい。これらの法案作成にあたっては最高裁判所の憲法解釈、判例そして他の法律との関係を検討しましたが、法制局とご協議いただいて成案とし、三つの法律を同日成立として下さるよう強く望みます。

提言 女性スペースの安心安全の確保、女子スポーツの公平性の維持を確保すべく、三つの法律を





女性スペースを守る会

2023年11月14日 19:15




〇女性には、生まれつきの、全身体・生物学的 [生得的]性別(SEX)に基づく権利と尊厳の保護が必要である

 2023年10月25日、最高裁判所は 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下、特例法)」の性別記載変更に関わる要件の「生殖能力喪失要件」を違憲とする判決を下しました。「外観要件」は高裁に差し戻しとなりましたが、現在、国会において、法改正に向けた議論が始まっています。 本判決を受け、特例法上の性別取扱い変更の審判を受ける者のいっそうの増加が予想されます。その他にも、最高裁の2023年7月11日経産省トイレ判決も注目されており、性自認の利益がクローズアップされる一方で、これまでは水面下の事象であった、生物学的[生得的]女性の安全や尊厳と、生物学的には男性である者の性自認の利益とが衝突する場面がいよいよ表面化しつつあります。


 私たちは、国会及び政府、社会全体に対し、女性保護の観点からの全身体・生物学的 [生得的]性別の関わる全ての場面、全身体・生物学的 [生得的]性別による劣位、出生性別に基づく差別の存する全ての場面においての女性の保護の必要性を訴え、女性保護法の制定等、具体的な規律の策定を通じて女性の権利と尊厳の保護に努めることを強く求めます。

1 性別の定義は、今も昔も、第一義的には生まれつきの、全身体・生物学的[生得的]性別(SEX)である。定義破壊は許されない。

 本邦法律において、「性別、男性、女性」についての定義規定を持つものはない。それは、性別とは第一義的に生物学的(生得的)性別であり、それは定義・説明を要しない自明のものとされていたためである。 性同一障害者に関する特例法は、性同一性障害の者に対し、一定の要件のもとに「民法その他の法令の適用において、他の性別に変わったものとみなす」旨を定め(第四条)、性同一性障害者についての我が国における戸籍上性別変更の根拠規定となっているが、その特例法自体、「性別」の定義規定をおいていない。これは性別とは身体性別であることを自明の基礎としている。審判の効果も「法令適用において、他の性別に変わったものと『みなす』」に留まる。(注1)


 注1 ”本法律が妥当する範囲及びその効力は、性別にかかわる法令を適用する関係で、性同一性障害者の法令上の性別の取扱いを変更することにとどまるものであり、それ以外のところでのその性別の取扱いについてまで必ずしも定めるものではなく、ましてやその生物学的な性別まで変更するものではない。”
『解説 性同一性障害者性別取扱特例法』2004/南野 知惠子 (監修)P81 性同一性障害者性別取扱特例法逐条解說

 このように、特例法においても、性同一性障害という疾患者が、診断のほか一定の要件を満たした場合に限って、あくまで特例として、法令上の取扱について「他の性別に変わったものとみなす」旨を定めているだけであり、法令上も社会通念上も性別とは第一義的に生物学的な男・女であるという認識を変更したものではない。
現実として男女の身体に生物学的(生得的)な差異がある以上、「性別」とは第一義的には生物学的区分を意味するとの原則は堅持せねばならない。

 「性別」の定義の根本を揺るがすことが許されないのは、これが直ちに、特に生物学的女性が自己を端的に呼称できず、その身体特有の困難を語ることができなくなる効果をもたらし、ひいては女性が自らの安全と尊厳を確保するための基盤を失わせるからである。
 性別は本人の性自認によるとの理解、あるいは性自認の尊重との名のもとに、既に女性を「生理のある人、子宮のある人」等と呼び替える場面も出ている。これらの呼び替えは女性という定義・概念を壊す・分断するためではなく、あくまで性自認の尊重のためであると説明されながらも、一方で男性には同様の身体機能での呼び替えは起きていないことから、女性が女性の身体特有の困難を語ること自体も男性と対等ではなく、簡単に破壊される非対称性が現れている。身体女性(注2)という呼称すら、性器を手術した男性を含むとの主張がなされる場合があり、生物学的・生得的女性が簡潔に自己の集団を表す言葉は奪われかけているといえる。
 (※注2 身体女性とは、本来その名の通り出生時に既に存在する全身体的な身体性別に基づく女性であり、決して性器の手術やホルモン投与等を行った男性を指すのではない。この点、性同一性障害の治療として施されるSRS(性別適合手術)により「身体が異性に適合した」との誤解が存するが、あくまで性同一性障害者の治療としての手術名称であって、その実質は全身体的性転換手術ではない。全身体的完全性転換手術は現在の技術では不可能である。)
 
 現行の性同一性障害特例法において性同一性障害者に法令上の性別取扱いの変更を認めているといっても、性自認尊重の名のもとに、生物学的差異ある男女2性別の集団自体を簡潔に呼称する言葉を奪うこと、性別の生物学的特徴を細切れにし、恣意的に選び出して性別名称と結びつけるようなことは、性別名称と全身体的特徴とを細切れに分断することであって、許されない。
 性別とは、今も昔も、第一義的には生まれつきの全身体・生物学的性別(SEX)である。男性よりも平均的に小さく力の弱い身体、生殖において月経や妊孕性に関する身体上生活上の負担を女性だけが負うこと、男性による性加害や支配の対象とされやすいことは、性自認(ジェンダーアイデンティティ)や人体の一部器官・一部特徴に起因するものではなく、全身体の生物学的性別(SEX)により女性に生じる劣位と負担である。ジェンダーバイアス(性偏見)・ジェンダーロール(性役割)の押し付けや性差別も、第一義的には生物学的性別に基づいて判断された出生性別に基づき、出生時から間断なく生涯にわたって女性に課され、その人生を困難ならしめているものである。性別の定義を破壊することは、女性集団が自己を定義し、呼称する名称を奪うことであり、女性が自らの安全と尊厳を確保し、差別や困難と闘うための基盤を奪うことである。決して許してはならない。

2 女性専用施設・区画(女子トイレ、女湯、女子更衣室等)や女性区分(スポーツ等)などの必要性は、男女に身体の物理的強弱があること、身体性別や出生時性別のために被害・困難が発生することから生ずる。

 特例法に基づく性別取扱変更者、また身体性別と異なる性自認を持つ者との関係で、特に女湯、女子トイレ等いわゆる「女性スペース(女性専用施設・区画)」の利用や、自認が女性である生物学的男性の女性スポーツへの参加が問題として指摘されることがある。

 これについて考えるときには、現状既に存在する男性スペース/女性スペースの利用者の適宜の仕分けという観点はでなく、「その施設は、なぜ、そもそも男女混在・共用ではいけなかったのか」「なぜ、男性から隔離された女性だけのスペースや性別区分が必要だったのか」ということに立ち戻って考える必要がある。
 女性専用施設・区画や女性区分を設けて女性保護を行うことが必要な理由、すなわち性別混在による女性の劣位・被害発生の理由は、端的にいえば、全身の身体性である。女性が女性という性自認をもつことでも、性器等の身体器官の形のみによるものでもない。
 女性と男性は、個体差こそあれ、集団として比較すれば、男性よりも女性の体格は小さく、筋力や骨の強度は低く、一部の臓器が異なり、かかりやすい病気や血液検査における各種指標の正常範囲も異なる。生殖における役割の違いから、月経や妊孕性に関する身体上生活上の負担は主として女性が負い、それらと相まって、女性は男性による性加害や支配の対象とされやすい。これらの差異は、人間が文明を持つ以前から存在する差異であり、このことを正しく直視することなしには、生物学的[生得的]女性に対して酷な結論となる。

  下記のような場面では、自認ではなく、全身体・生物学的 [生得的]性別区分による保護が必要である。

(1)女性身体と男性身体の全身体的生物学的差異自体に基づく区分取り扱いが特に必要なもの
   医療/スポーツ/月経・妊娠・出産に関する処置及び制度

(2)女性の身体の安全と尊厳の保護、性的侵犯及び性的身体的プライバシー侵害の予防を目的とするもの
   ・女性専用施設・区画:入浴施設/トイレ・更衣室/DV・性犯罪等被害女性保護施設 
           医療施設・介護施設・刑事収容施設・宿泊施設の宿泊室の女性部屋
   ・同性介護・看護:介護・看護のみならず、警察官等による身体検査の同性対応、性暴力やDVの相談窓口においての同性対応、保育やシッター等の同性対応も希望する女性には確保されるべきである。
   ・災害時における女性の保護:災害時はその身体性ゆえに女性の権利尊厳は特に毀損されやすく、また不衛生による疾患が男性より起こりやすい観点からも、避難所での性別分けの確保は必須である。また女児、障害女性、高齢女性、単身女性のプライバシー及び身体的心理的安全を確保しなければならない。避難所責任者が男性に偏りやすいことも、女性の身体性由来の困難についての配慮に欠ける一因となっている。避難所の責任者に必ず生物学的女性を含む等の指針の策定が必要である。私設避難所においても同様の措置が取られるよう、市区町村は避難所責任者に要請するものとする。各避難所の責任者は男女一名ずつ設置しなければならない。 

(3)出生時に判別された性別により受ける性差別・ジェンダーバイアス(性偏見)・ジェンダーロール(性役割)の押し付け等による女性の困難の是正を目的とするもの

 以上のように、生物学的[生得的]性別に基づいた性別区分や専用施設・区画の確保は、女性が女性の身体を有することそのものに由来する困難の是正のために欠かすことのできないものである。「女性スペースを利用し、女子スポーツに参加することで、男性でなく女性であるという性自認が確認できる。これが性自認の尊重である」という考えは全くの本末転倒である。
  その他、統計、教育、生物学的性別による差別の是正措置等においても、未だわが国ではジェンダーバイアスが強固に存在し(ジェンダーギャップ指数)、特に政治家や研究者・経営者の人数比において女性が少数にとどまる現状からも、生物学的性別への着目を困難にすることは、すなわち女性に必要な是正措置等を困難にすることである。

3 生物学的 [生得的]女性だけの保護規定が必要である。この規定を定めることは違憲ではない。

 上記1,2で示したとおり、女性には、全身的な身体の性別(SEX)に基づき保障されるべき人権がある。これは憲法12条、13条により基礎づけられる重要な人権であるといえる。
 この人権、即ち女性の安全・尊厳の保護のために、私たちは女性保護法の制定が必要と考える。
 この制定にあたり、生物学的[生得的]性別でのみ女性を区分することは、性別取扱いの変更を定めた性同一性障害特例法や、最高裁で示された規範に反して違憲無効であるとする主張がある。しかし、その主張は失当である。以下に理由を述べる。

 まず、特例法による性別取扱いの変更自体が、「民法その他の法令の規定の適用について」、「その性別につき他の性別に変わったものとみなす」ものであり(法第4条1項)、あらゆる場において当然に男性を女性と(またその逆と)扱うことを予定したものではない。(注1・再)
 (注1 ”本法律が妥当する範囲及びその効力は、性別にかかわる法令を適用する関係で、性同一性障害者の法令上の性別の取扱いを変更することにとどまるものであり、それ以外のところでのその性別の取扱いについてまで必ずしも定めるものではなく、ましてやその生物学的な性別まで変更するものではない。”
『解説 性同一性障害者性別取扱特例法』2004/南野 知惠子 (監修)P81 性同一性障害者性別取扱特例法逐条解說)

 つまり、性別変更審判を受けた者だからといって、従来から男女の区分がなされている場面全てで当然に男性を女性と(またその逆と)扱わなければならないものではない。従来男女区分につき社会規範で運用されていた場(例えば浴場)においては、引き続き社会規範による運用がなされていると見るべきなのである。これは特例法の性別変更の要件の一部を違憲とした令和5年10月25日最高裁決定においても、三浦裁判官により反対意見のなかで言及されているものである。(注2)
 (※注2 「浴室の区分は、風紀を維持し、利用者が羞恥を感じることなく安心し て利用できる環境を確保するものと解されるが、これは、各事業者の措置によって 具体的に規律されるものであり、それ自体は、法令の規定の適用による性別の取扱 い(特例法4条1項参照)ではない。……上記男女の区分は、法律に基づく事業者の措置という形で社会生活上の規範を構成しているとみることができる。」(最高裁判所令和5年10月25日大法廷決定17頁・三浦守裁判官反対意見)

 そのうえで、特例法はさらに、「法律に別段の定め」を設けることにより、性別の「変更みなし」を除外する場面を設けることができることを定めている(「法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別と変わったものとみなす。」法4条1項)。法律に別段の定めを設けることにより、特例法による性別みなしの及ばない場面を明文で設定することは、特例法自体が許容し、予定したことなのである。この「法律の別段の定め」において特例法の要件を考慮することは必ずしも必要なことではない。むしろ「特例法の定めにもかかわらず、あくまで生物学的[生得的]性別によるべき場合」を想定したものと読み解くのが法文の素直な解釈であると言える。(注3)
 (※注3 ”性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、第4条第1項の規定により他の性別に変わったものとみなされることとなるが、その場合でも性別が変わったとみなすことが困難な場合がないとは言えないことから、審判の効果は「法律に別段の定めがある場合」には及ばないこととしている。”
『解説 性同一性障害者性別取扱特例法』2004/南野 知惠子 (監修)P102 性同一性障害者性別取扱特例法逐条解說)

 なお、最高裁令和5年10月25日大法廷決定は、特例法に基づく性別変更審判の可否につき、特例法の要件の違憲如何も含めて判断したものであって、あくまで特例法の要件に関するものである。女性保護法は特例法自身の予定した例外規範を明文で定めるものであって、本決定とは矛盾しない。
 また、最高裁令和5年7月11日判決(いわゆる経産省トイレ判決)についても、あくまで同事件原告と経産省との間で、特定の具体的な事実関係においてのトイレ指定に関する経産省の裁量権が争われた事例であって、決してトランスジェンダーのトイレ利用に関する一般原則を示したものではない。
 いずれの判決・決定についても、異性としての生活を望む者の生活上の必要について著しい困難ないし不可能が生じないような一定の考慮は必要であるとしても、生物学的[生得的]性別に基づいた女性の安全・尊厳の保護一般を違憲とするようなものではないのである。
  

4 戸籍変更者やその予定者等、性同一性障害の者の生活上の必要については、いわゆる第三のスペース、個室、仕切りスペース、時間分け措置、いずれも不可能な場合の男子スペースの性別非限定化等による配慮を行うべきこと

 生物学的[生得的]性別に基づく女性の保護の必要性は上記1~3のとおりであり、その安全・尊厳は守られる必要があるが、これと戸籍変更者・その予定者等、性同一性障害者の生活上の必要を満たすことは、決して相容れないものではなく、社会的に両者の生活上の必要性をよく認識したうえで対応することで十分両立可能なものである。
 例を挙げれば、トイレに関するいわゆる第三のスペース(多目的個室、性別非限定トイレ等)の追加設置、浴場においての家族風呂の設置や時間分け利用措置、更衣室における仕切りスペースの確保等である。

 新設施設に関しては男性専用・女性専用区画に加えて第三のスペースの追加設置を行うほか、既存施設に関しても時間分けや仕切りスペースの確保を積極的に行うことにより、生物学的[生得的]女性だけが利用する女性専用施設・区画を確保しつつ、生活において性別意識に違和を持つ者の不便の解消を図ることが可能である。トイレに関しては、第三のスペースの追加設置が困難な場合、男子トイレを性別非限定化することによることも選択肢となろう(そもそも生物学的男性と生物学的女性とのトイレの必要数の差は1:3であるとする研究もあり[スフィア基準]、必要数との相対でみる男子トイレ数・面積は現状で十分に確保されているため、このような措置を行っても男性のトイレが女性のそれに比して不足する事態には陥らないと考えられる。ただしこのときには、男性用小便器と通路の間に視線を遮蔽する衝立を設ける等の尊厳に対する配慮は必要である)。

 このような社会においての性別スペースの対応を行うことにより、戸籍変更者や狭義の性同一性障害者だけでなく、広く異性としての生活を望む者や生活において性別意識に違和を持つ者についても、生物学的[生得的]女性の権利との衝突なく、その安全と尊厳とを損なうおそれなく、困難のない施設利用が可能になるものである。

【女性の権利と尊厳の保護を求める緊急声明】





女性の定義を守る会

2024年3月30日 11:45