見出し画像

朝の風

朝、仕事をはじめる前の数分間。日課というわけではないけれど、文章を読むようにしている。

読むものは詩のときもあれば、短編小説のときもあるし、エッセイのときもある。それは、なんとなく余白があって、感覚をひらいてくれるような柔らかな文章。

感情をほんの少しのせるようにして、文章を静かに声に出してみる。

毎日文章を読んだり書いたりする仕事をしていると、いつからか目で文字を追うだけでは、言葉が自分の中にちゃんと入ってこなくなった。目でなぞったそばから、文字が流れて消えていく感覚。すべてを言葉として受け止めていたら、たぶんわたしは耐えられないんだろう。

だから、ちゃんと読みたいときは音読をする。声に出そうとすることで、文字を言葉として自分の中に取り込めるような気がするから。

朝のほんのすこしの "読む" 時間。

夜のあいだ締めきっていた窓を開けると、心地のいい朝の風が部屋の中にするりとすべり込み、眠り込んでいた空気を優しく起こしていくように。

朝の言葉は、わたしのからだに染み込んで、風のように吹き抜けてゆく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?