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北朝鮮のおせち(?)料理#41

すでに2月が近づいていますが、あけましておめでとうございます。

さて、新年ということで質問ですが、みなさんの“最後のおせち料理”はいつのことでしょうか?

「今年も食べた」という方もいれば、「実家を出てから食べた記憶がない」という方まで、ご回答はバリエーションがあることと想像しつつ、全体的には減少傾向にあるだろうと思っています。

かくいう我が家の“最後のおせち料理”は5年前のことになります。
だいぶ時が経っているにもかかわらず正確に推定できるのは、我が家のライフステージとおせち料理が密接に関連しているからで、一人目の子どもが産まれて以降は遠ざかってしまいました。

5年前はまだ都内に住んでおり、夫婦2人気ままに暮らしていました。
当時、家のすぐ近くに行きつけの居酒屋さんがあり、そこで年に一度、重箱入りのおせち料理を頼んでいたのは良い思い出です。ちょっと値段はお高いのですが、黒豆やかまぼこなどの”ザ・おせち”な品々に加えて、ローストビーフや蟹の甲羅を器にしたグラタンなどが入っており、毎年楽しみにしていました。

田舎に引っ越してきたせいか、子育てに追われているせいか、(いや、小さい子どもたちがまだお節料理を好まないのが一番大きな理由かもしれません)最近はそういったプチ贅沢を楽しむ習慣はすっかり影を潜めてしまっています😭

今年はローストビーフや刺身、お雑煮など好きな料理ばかり作って食べることにしました。これはこれで悪くはないのですが、お正月くらい人が作ってくれた美味しい料理を食べたいと思う今日この頃です。(ワガママ?)

意外に思われるかもしれませんが、北朝鮮にも”おせち料理”が存在します。
日本のように五節がどうこうという話にはなりませんが、おめでたい”新年を祝う食事”という点は共通していると思います。

というわけで、おせち in 北朝鮮をご紹介していきます!

北朝鮮のおせちとして一番に挙がるものは、何より白米のご飯です。
以前の記事でも何度か書いていますが、一般の家庭では白米のご飯こそ、祝日にふさわしい最高の贅沢なのです。

少し脱線しますが、日本に来てすごいなと思ったものの一つが「無洗米」
お米にこだわりのある旦那は”割高だし味が落ちる”とアンチ無洗米派だったのですが、そんなこだわりなど利便性の前では風前の灯火です。今は夫婦揃ってお米は無洗米一択になりました😆

私がなぜ無洗米に心を動かされたのか。
それは”ご飯を炊く”という行為一つとっても、それを北朝鮮でするのと日本でするのでは、勝手が違ってくるからです。

下の写真をご覧ください。これはサランパクという北朝鮮でご飯を炊くときの必需品です。

SSG.COMサイトからお借りしました

中にお米を入れて何度か洗います(北朝鮮の米は洗うと黒っぽい水が出ます)。
米の研ぎ汁がきれいになった頃、サランパクの中に水をたくさん入れて、釜に少しずつ流し入れます。するとその水と一緒に米も釜の方に移ります。最終的に、サランパクには片手半分ほどの砂や小石が残ることになります。

北朝鮮では、このような工程を経て初めてジャリジャリしないご飯を食べられるようになるのです。
日本で買ってきたお米に砂や砂利が入っていたら、クレームものですよね。今はいちいち感動しませんが、やはり素晴らしいことです。

あと白米と似たような工程で作られるのが餅類です。
北朝鮮は日本のようにチョコやクッキーなどのお菓子がほぼありません。なので、お正月などの祝日には餅類が欠かせないものになります。
餅は蒸す、煮るなどの多彩な作り方で種類も様々です。

우리문화편지からお借りしました


機会があれば詳しく紹介したいのですが、餅については今回はここまでにします。

白米以外で考えたとき、一般家庭のおせちに欠かせないのはキムチです。
キムチは冬が始まる前に大量に仕込んでおく家が多いです。
「愛の不時着」でもそういった場面が描かれていますね。北朝鮮ではこれらを「キムチ戦闘」と呼びます。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、家族全員が冬の食糧でもあるキムチ作りに全力で取り組みます。

白菜数百個分を作り、壺に入れて春まで庭にある倉庫で熟成させます。壺の首に当たる部分だけ出して、残りは土に埋めるのです。このような工程を経たキムチは絶妙な味わいになります。

ナムルは日本でも韓国料理としてよく知られていますね。
北朝鮮でもナムルは多く食べられていますが、平地が少なく山が多いため、山菜が多いように思われます。
例えば日本でもよく見かけるキキョウの花

宮津エコツアーからお借りしました。

この花の根は漢方でも多く使われていますが、「ドラジナムル」としても有名です。若干苦味はありますが、歳を重ねると春菊が美味しく感じるように、大人にはたまらない逸品です。

そして、肉料理としてはポッサム!
韓国料理に関心がある方は一度くらい聞いたことがあるかもしれませんが、韓国と北朝鮮では少し作り方が違います。
韓国では豚のバラ肉を料理酒などを入れて茹で、いろいろなキムチと合わせて食べるのが一般的だと思います。

맛집의 비결からお借りしました

一方、北朝鮮では豚の頭を丸ごと茹でるのです。とろとろになるまで茹でて骨だけ取り出し、四角い容器に入れて冷まします。すると、寒天…いえ、おしゃれに表現するなら、テ…テリーヌのようなものができあがります😆

조선료리からお借りしました

それを包丁で切り、唐辛子やネギが入った酢味噌、酢醤油などと一緒に食べます。頭の肉は元から柔らかいので冷やしても固くならず、口に入れると油が溶けてとても美味しいです。

あとは以前も紹介したことがあるスンデ。
豚の腸にもち米や米、野菜などを詰めて茹でたもの。これも癖があって好みは分かれますが、ハマる人にはたまらない逸品です。

最後に日本でもよく知られているチヂミ!
韓国でも北朝鮮でもとにかく「ジョン(チヂミ)」が大好きです。
種類は豊富で季節の野菜を入れて作るものや海鮮を入れて作るもの、肉類を入れるものなどたくさんあります。

ここまで挙げてきた料理を、日本のように重箱にいれるわけではなく、大皿に盛ってみんなで取り分けていただきます。

今振り返ってみると、おめでたい日に美味しいものを食べているだけのような気がします😅

日本のおせち料理は、黒豆は”まめに働く”とか、数の子は”子宝に恵まれる”とか、一つ一つに意味が込められているそうですね。
北朝鮮の品々にはそういった意味付けはないと思いますが…もし私が間違っていたら、どうかご一報ください。

末筆になりますが、こんな私ですが、本年もよろしくお願いします。

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