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オーライ晴耕雨読5

 秋の夜長である。
今年、我が家では向日葵が咲き乱れ、大変に目を楽しませてくれた。この頃は首を擡げた花に、四十雀達が器用に掴まり種を食べていて、それはとても可愛らしく、一足先の秋の味覚に舌鼓とばかりに美しい声で囀ずっていた。
 この向日葵、特別にどうという事も無く、ホームセンターで偶々目に入り買った種を芽吹かせたモノで、こうまで上手に咲くとは全く思っておらず、すっかり気を良くして種子孫々、毎年咲かせようという事になり、先の四十雀には申し訳ないが、此処等で一度来年まで待って貰う事にして、大きなのを選んで種を採った。
 初老には夜なべの細かな作業は目肩腰に直撃で、開始30分で早くも泣きだったが、普段はゲームやおもちゃに夢中の我が娘達が揚々と参加してくれて、コレは中身がペコペコだよ、コレは大きいよお父さん、来年が楽しみだねぇ等々言いながら、小さな手の先を真っ黒にしながらコツコツと。
 辺境にあって満ち足りた生活とはお世辞にも言えないが、育て方も育ち方も概ねイイ感じなんじゃないかと安堵しつつ、深く成ってきた顔のシワを撫でつけながら安い酎で顔を火照らせて。

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