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7月に読んだ本

今回の写真は鎌倉の竹林です。最近久しく遠出をしてないので、気軽にどこかに行ける休日に早く戻って欲しいです

さて、7月に読んだ本をまとめようと思っていたら8月が下旬に差し掛かりました。
私の8月はどこに消えたのでしょう。

7月に読んだ本

寺地はるな  今日のハチミツ、あしたの私
澤村伊智   ファミリーランド
村田沙耶香  タダイマトビラ
西尾維新   デリバリールーム
寺地はるな  月のぶどう
寺地はるな  みちづれはいても、ひとり
島本理央   2020年の恋人たち
辻村美月   凍りのくじら  
澤村伊智   ししりばの家
碧野圭    書店員と二つの罪
松崎有理   就職相談員蛇足軒の生活と意見
奥田亜希子  魔法が解けたあとも
黒澤いづみ  私の中にいる
千田理緒   五色の殺人者
川澄浩平   探偵は友人ではない
古内一絵   キネマトグラフィカ
神永学    確率捜査官御子柴岳人 密室のゲーム
寺地はるな  架空の犬と嘘をつく猫
瀧羽麻子   サンティアゴの東 渋谷の西
山崎ナオコーラ ネンレイズム/開かれた食器棚
櫛木理宇   ぬるくゆるやかに流れる黒い川
櫛木理宇   209号室には知らない子供がいる
早見和真   店長がバカすぎて
五十嵐律久  不可逆少年
辻村美月   子供たちは夜と遊ぶ(上)

今月読んだ本は以上25冊です。 通常よりややホラーやミステリ系が大目な気がします。辻村美月作品はどちらも再読で、何度読んでも新しい発見があってずっと面白さを感じられるとてもいい本だと改めて実感しました。
本棚に新規の本がないけど、確実に面白い本が読みたいときにうってつけです。

さて今回はこの中から特に印象に残った3冊をピックアップしていきます。

五色の殺人者

高齢者介護施設・あずき荘で働く、新米女性介護士のメイこと明治瑞希(めいじ みずき)はある日、利用者の撲殺死体を発見する。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし、犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラの五通りだった! ありえない証言に加え、見つからない凶器の謎もあり、捜査は難航する。そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている青年が、最有力容疑者として浮上したことが判明。メイはハルに泣きつかれ、ミステリ好きの素人探偵として、彼の無実を証明しようと奮闘するが……。(東京創元社公式サイトより)

さて、先述の公式あらすじ引用文を4行目まで読んで、一部のコナンファンの中でこんなことを思った人もいるかもしれません。

「これ、コナンで似たような話見たな」と…

私も読みながら思いました。コミックス32-3巻にわたって載っている佐藤刑事と白鳥警部のお見合いの話ですね。アニメでは253話らしいですよ。

しかし、そんなマイナス印象ががっつり覆るほど凝ったトリックと話の展開にすっかり引き込まれてしまいました。コナンのあの話も最初読んだときは「すごい!」と感動したものですが、それをはるかに上回る読み応えでした。トリックの都合上か介護施設という設定上か、話の内容の割にはやや登場人物が多い気がしましたが、それでもすらすら読ませてくれる読みやすさがあったので、あまり本を読まない人でも比較的読みやすいかと思います。2021年読んだミステリの中で個人的に一番面白かったです。

また本筋とは少しずれますが、舞台の介護施設で楽しそうに過ごす老人の方々の描き方が生き生きしていてすごく好みでした。
老後を自然に楽しそうに描く作品って最近あまり読まなかったので、ミステリーなのに明るさがあるのもこのお年寄りの描写に一因があると思います。

ちなみに第30回鮎川哲也賞受賞作でした。そりゃおもしろいはずだわ

http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488025656

デリバリールーム

私の世代ですこしでも学生時代に読書をかじったりオタクのけがあった子は、結構多く西尾維新を通っている気がします。(ど偏見)
西尾維新のあの独特の言い回しや言葉遣いに影響されたクラスメイト絶対いましたよね。

私も中学時代、クビキリサイクルのシリーズを友達と回し読みしました。
去年は自粛期間に化物語シリーズのアニメを一気見しました。

学生当時図書館に西尾維新は揃ってなかったので、大人になったら読もうかなと思っていました。
しかしいざ大人になって思うのは「西尾維新は大人になって読むにはカロリーが高すぎるし体力が必要すぎる」ということです。

さて、前置きが長くなりました。そんな中で手に取ったこの「デリバリールーム」。どうやらシリーズものだし、分厚くもなく適度な単行本サイズ。装丁もピンクでポップで、とっつきやすかったです。

さて、いざ読むかとページを開くと
お馴染み人物紹介とお馴染み難解漢字の名前がずらり。安定の西尾維新でした。
話の内容は


儘宮宮子のもとに一通の招待状が届いた。書かれていたのは―ー
・参加費50万円
・幸せで安全な出産と、愛する我が子の輝かしい未来を獲得する未曽有のチャンスを進呈
・デリバリールームへの入室が必須
尋常ではない申し出に困惑しつつも、宮子はこの招待を受けることにする。それぞれの事情を抱えた妊婦5人がそこに集った。一体何が始まるのか? そして誰に安産の女神は微笑むのか!?(講談社BOOK倶楽部より)

というものです。個人的に、これまで読んできた西尾維新作品の中では圧倒的に読みやすく、わかりやすかったです。
それでも読後の疲労感は、中学生の時に読んだ西尾維新の思い出をよみがえらせるほどにしっかりと残りました。
大人でも読める低カロリーな西尾維新。それでもしっかりとエッセンスは残り楽しむことができます。さしずめ糖質オフとでも言いましょうか。

昔は読んでいたけど、最近読んでないなといった方は、ぜひこの作品から西尾維新に戻ってみてほしいです。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000342929

209号室には知らない子供がいる

リバーサイドに建つ瀟洒なマンション。
209号室には、少年「あおい」が住んでいる……。
やりがいのある仕事を辞め、専業主婦となった菜穂。
夫は家のことは何一つせず、気が向けば子供の遊び相手になる程度。
「これじゃまるで大きな子供ね」といらだちが募っていたある日、
209号室に住む「葵」という名の美少年が現れる。
葵は息子の遊び相手を務め、ありがたく思う菜穂だったが、次第に夫までもが子供のような奇妙な振る舞いを始め……。
自分の力でマイホームを購入し、理想的な年下夫も手に入れた亜沙子。
妻と死別した、憧れの上司と結婚した千晶。
妹に彼氏を寝取られ、慰謝料をもらって新たな人生を踏み出した和葉……。
一見「ちゃんとして」見える女たちは、しずかに歪み、壊れていく。
……209号室の少年、葵によって。
そして、209号室のオーナー、羽美の周りでも奇怪な出来事が起き始め……。
これは呪いか、人災か。女の業が交差する、ホラーミステリ決定版。

櫛木理宇さんの作品に関しては、いつかまた詳しく書きたいと思うのですが、この方は女性の弱みや地域格差を不気味に描くのが本当に上手です。この作品では、女性の出産や育児などライフステージの中で抱える問題や心の隙間がとても緻密に描写されていて、その隙間に入り込む奇妙な子供の不気味さに拍車をかけています。

特にほとんどの女性の方は、この登場人物のどれかに少しは感情移入をしてしまうのでしょうか。仕事や家事や育児に追われ、ちゃんとしているように見せたいという気持ちの中に必ず生まれる葛藤や揺らぎが、誰かとマッチして、より没入できると思います。

この本は表紙もいびつな怖さがあり、電車などでカバーなしに開くときは少しためらってしまいます。でもこの絵があることによって、小説のキーとなる不気味な子供をよりリアルに感じ取ることができると思います。

https://www.kadokawa.co.jp/product/321602000033/

8月も下旬ですが、今月はあまり本が読めていません。暑さも過ぎて読書の秋が来ることが待ち遠しいです。
それでは、お読みいただきありがとうございました。

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