見出し画像

ファースト・デイト・ナイト




とんでもない愛を

見つけたわけじゃない

落ちていたイチゴを

ただ拾ってみたつもりなのに


夜にはなにか

こころ脅かすキラキラがあるらしい

ぼくの靴は

ひとりでに赤い街へ

向かっている

行き交う人間どもの

仮面が美しいこと

夜とはこういうことなのだ


怯んだぼくの

またたきの間に

きみの吐息が降り注いで

次からつぎへ

激しく変わってゆく

きみに

時に

縫いつけられていく


指先が蝶のように

ふかふかの粉を散らせて

背中は傷ひとつない

真っ白な骨

言葉はないの

忘れてしまうからって


流れ星を投げて

愛を叫べ

呪われてもいいから

愛をこめて

どっちが手練か

争い逢おうよ



茶埜子尋子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?