中国古代のお葬式Part6
中国古代のお葬式では
1. 初喪礼儀
2. 治喪礼儀
3. 出喪礼儀
(1) 墓所と葬儀の日時を占う
(2) 出棺の準備
(3) 明器を並べる
(4) 出棺
(5) 柩を安置した後の儀式
4. 終喪礼儀
という手順で進められますが,前回は2の治喪礼儀をお届けしましたので,今回は3.の(1)~(3)についてご説明します。
3.
(1)墓所と葬儀の日時を占う
まずお墓をどこにするか,いつ葬儀を執り行うかはとても重要で,残された家族の行く末にも影響すると考えられていました。そういった風習は,現代の風水にも影響を与えていると言われます。
ちなみに,占いが済んだ後にも,親戚縁者のものたちは,再度泣いて哀悼の気持ちを表さなければなりません。
(2)出棺の準備(啓殯,朝祖)
出棺に先立って,柩を正房の中央に移し,儀式が行われます(啓殯)。親戚は全て喪服で参加します。この時には,女性たちは泣かなくていいのですが,主人は左肩を肌脱ぎします。その後「商祝」と呼ばれ,司祭を執り行う人がかけ声を掛け,遺族には泣くことを要求します。すると2本の松明が持ち込まれ,「夏祝」と呼ばれる官吏が銘旌を「重」に挿します。その間,遺族たちは泣いて「踊」を続けなければなりません。そして商祝が柩の上のほこりを払い,小殮の時の布をかぶせ,祖廟に向かいます。
※重:庭の南側に立てていた木の枠で,遺体を沐浴した水で炊いた粥を吊り下げておいたもの(Part2参照)。
※踊:手足をばたばたと動かして号泣すること(Part4参照)。
※祖廟:代々の位牌を並べた部屋で,中国ドラマではおなじみの場所です。
そこで先祖に別れを告げるわけです(朝祖)。
(3)明器を並べる
明器とは,副葬品のことで,方相(厄除けの神)や志石(墓誌),武人であれば武具,あるいは儀仗に使うもの,また日常使用するものなどを,陶土や金属,木や竹,布などでかたどります。
また死後の生活を楽しむための,舞踊する俑や,今で言うお笑い芸人の俑などもありました。
ただそれが大変なので,宋代からは紙で作るようになりました。
何を作るかは,やはり死者の位や身分などで,細かい規定がありました。
これらは柩の前に,西南から北に向かって並べられ,一列で足りなければ,更に折り返して,北から南に向かって並べられます。
その他に酒や肉,穀物,調味料類なども供えられます。
出典:『喪葬史』(上海文芸出版社)他