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正しい姿勢って存在しない!?

「姿勢を良くしなさい」

学校、職場、ジム、そして医療機関でも、姿勢の重要性が説かれます。

「背筋を伸ばして」「肩を引いて」など、多くの指示が飛び交いますが、果たして「正しい姿勢」とは本当に存在するのでしょうか?

今回は、この疑問について考えてみたいと思います。


人の骨格はそれぞれ違う

国や文化、性別、考え方といったことに「多様性」があります。

これと同じように、人の骨格は、人によって違います。

自分と親友、自分とパートナー、自分と両親、自分と兄弟。。。

比較すると必ず骨格に違いがあります。

これを、身体の構造的多様性と言います。

骨盤の縦の長さが長い人は、腰椎の前弯が浅い傾向にあります。

骨盤は通常、少し前に傾いた前傾の状態になっていますが、
女性ではこの前傾が少し大きくなることがあります。

胴長の人もいれば、足が長い人もいる。
身長、体重、顔の大きさや重さも人によって違う。

これらは全部、人の骨格の構造的多様性であり、
その人の生まれ持った特徴です。

整体に行っても、筋トレをしても、
変えることが出来ません。

人によって身体の構造が違うのだから、
正しいと言える姿勢は一つとして無いんです。

一般的に言われる正しい姿勢とあなたにとっての取るべき姿勢は別問題

仮に正しい姿勢を定義してみましょう。

壁に背中をつけて、まっすぐに立った時に、
後頭部、両肩、背中、お尻、踵が自然と
壁につく姿勢がよく言われる正しい姿勢です。

教科書には骨盤の傾きから両肩の位置関係など、
事細かく正しい姿勢が記載されています。

しかし、この正しい姿勢には、先ほど述べた、
人によって身体の構造が違う「構造的多様性」が
考慮されていません。

そのため、一般的に言われている正しい姿勢が、
あなたにとって取るべき姿勢かどうかは別問題なんです。

正しい姿勢と慢性痛

腰痛や肩こりといった慢性症状。

これらの原因に、「姿勢の悪さ」が関係している
と思っている方も少なく無いのではないでしょうか。

確かに、姿勢の悪さは慢性症状を生み出すことはあります。

しかし、正しい姿勢をとり続けることも、
慢性症状の原因になってしまいます。

腰痛や肩こりの慢性症状の原因は、
大きな括りで説明すると次の二つになります。

・同じ姿勢の保持
・同じ動作の反復

先ほど定義した、一般的な正しい姿勢をとり続けると
どうなるのか。

それは、慢性症状を引き起こす原因である、
同じ姿勢を保持することになるのです。

よって、正しいと言われている姿勢をとり続けると、
慢性症状を引き起こしてしまいます。

「正しい姿勢」に囚われる弊害

「正しい〇〇」という考え方は、
正しい〇〇が唯一の絶対であり、
そのほかは全て”正しくない”という
ことになってしまいます。

さらに姿勢を考える時、
どうしても”静止画の姿勢”を
思い浮かべてしまいます。

姿勢チェックも、止まった状態の姿勢を
チェックします。

しかし、人は動くための構造を持っています。

というよりも
動くために構造化されています。

なのに、静止画の姿勢をチェックして、
静止画の正しい姿勢を追い求めることに
大きな意味はあるのでしょうか?

静止画の姿勢が、俗にいう正しい姿勢であることに
満足する程度であれば、全く意味はないです。

動くために構造化されているのだから、
身体を動かしている時の振る舞いの方が、
重要度は高いのではないでしょうか。

だから止まっている静止画の姿勢に囚われる事は、
動くために構築された身体の本来の機能を無視している
ことになるのです。

だから正しい姿勢をとり続けることは、慢性症状に
つながるのです。

身体が”動け”と命令していると捉えるべきなんです。

身体には構造的多様性があります。
正しい姿勢という偽物の唯一のものに頼ると、
自分の身体の特徴を無視していることになるのです。

必要なことは、”動きの最適化”

あなたにとって最も良い動きができていることが最も重要です。

私はそれが出来ているのであれば、
静止画の姿勢はどんなでも良いとしています。
(もちろんTPOをわきまえてですが)

姿勢の悪さ、
動きが最適化されていない場合に
現れるであろう一つの症状
でしか過ぎないのです。

歩いているときに、
反り腰にならないと歩けない人は、
立っている姿勢も反り腰である場合が
あるだけの話です。

立っている時に反り腰になるのは、
何ら問題はありません。

重要な観点は、

”反り腰にもなれる”
”反り腰にしかなれない”

のどちらなのかです。
これは動いてみないとわからないのです。

専門的に言うと、
”動きの選択肢がたくさんあるかどうか”です。

極論、動きに選択肢があれば、
止まっている姿勢はなんだっていいのです。


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