instagramの18歳未満者の利用制限
米Meta社がinstagramの18歳未満の未成年利用に関して制限をかけることを9月17日発表した。米英では今後60日以内、日本でも来年1月を目処にするという。全世界の同サービスが対象だ。
日本もではあるが、米国でも未成年に対する大人からの性的搾取などの被害、事件が社会問題化しており、大手SNSにその対策が迫られていたことに対する対応のようだ。
動画閲覧に関しては、けんかや美容整形がクローズアップされたようだ。これらは性的搾取とは異なるが、問題と考えることには納得がいく。特に、まだ成長途中であり容姿が定まっていない小中高の子どもが整形という手段を身近かつ当たり前に感じ安易に手を出すことには、自分がすでに時代とアンマッチなおじさん世代だからということを自認した上でも大いに反対だ。
親同伴で美容整形クリニックを訪れる子どももいるようだが(それはそれで親の常識がすでに破綻しているのではと思うが)、自らその資金を調達して整形手術に臨むという子らも少なからずいるだろう。その資金調達方法は、いわずもがな、真っ当なものではない可能性を否定できない。
もちろん、容姿に対する深いコンプレックスから、通常の社会生活が困難になる子どもがいることは理解している。しかし、それが安易な選択肢として身近に存在してしまうことで、他の可能性を見逃してしまうのではないかという点は懸念するところだ。これほど大きな決断を、あまりにも簡単に受け入れてしまう社会の風潮には強く反対の立場を取る。
さて、今回の制限では、利用時間そのものや年齢確認の強化ほか、メッセージやタグ付け、メンションを繋がりのあるユーザーのみに限定するなど、複数の施策が実施されるようだ。
こういった制限は、必ず抜け道が存在するし、すでにSNSから片時も離れられなくなって久しい人々であれば、必ずその抜け道を探し、当たり前のようにシェアし合うだろう。しかし、これからSNSに触れ始めるであろう未成年にとっては、それなりに有効な措置となるであろう期待は持てる。
とはいえ、いつかのタイミングで、SNSにはほぼ確実に触れることになるのである。この流れで利用制限強化一辺倒に大きく舵を切ってしまうことは、必要な情報を入手する手段を得ないまま無知、無防備な状態で、18歳を迎えた瞬間にいきなり危険な世界に放り込まれることになるリスクもある。
また、18歳といえば、日本では高校三年生。同じ学年でも誕生日の早い遅いによって、利用開始が遅れる子が仲間についていけなくなったりという問題も発生するだろう。あるいは、受験に集中する学年にいきなり無制限のSNSを手にすることにより、それまで抑圧されていた反動で堰を切ったようにのめり込んでしまい、時間のコントロールが効かなくなるといった現象もありえそうな話だ。
SNSに限らずインターネット利用全般についても同じことではあるが、各家庭の中で子どもの教育、利用をコントロールするという前提を置き去りにして、サービス提供側にのみその責を負わせるような風潮にならないことを切に願う。
最近は、何か問題がおこれば、やれ先生がきちんと教育していないせいだ、やれ会社が管理を怠ったせいだなどと、一方的に社会に責任を押し付ける傾向があるが、一義的には、各家庭内での子供に対する教育、躾があった上での話であるし、成人であればお互いをしっかり観察し、異変を察知する環境を日常的に持っておくことが重要である。
他のSNSの動向が気になるところだ。