マガジンのカバー画像

💕にゃむ💕の『看護まがじ〜ん』

62
30年以上、自分のスタイルでやりたい看護を自由にのびのびとさせて頂いています。緩和ケアや認知症に関する記事が主になるかなぁと思います。
運営しているクリエイター

#認知症

一晩だけ

神さまは 一晩だけ 家族の待つ家に 彼女を 帰らせてあげるねと言った そして ニ晩目を迎える前に 約束の日だね・・・って 天使たちが迎えに来た 最期に 地球の空気を 小さく吸い込んで 動きを止め やわらかな光を放った ……⭐︎ 働き者で 元気いっぱいの楽しい彼女のまわりには 沢山の親族が囲んでいた この人たちにとって どれだけ大切な人だったのか お元気な頃を知らない私たちも 容易に想像ができた 意識もかなり薄れている状態で ようやく瞬きでYe

認知症のかたの保清(おふろ等)ミッション💫

最近は、看護の記事をほとんど書いていないことにふと気づいた。 ここら辺で久々に日々の看護の中のエピソードを少しばかりお届けしたいと思う。 訪問看護の仕事は多岐に渡っている。ご自宅で人工呼吸器をつけているかたの全身管理・ケアなどもあれば褥瘡(床ずれ)や創傷などの処置、PEG(胃ろう)の管理、バルンカテーテル交換、高カロリー輸液の管理、点滴、注射、血糖測定、吸引、リハビリ、浣腸、摘便、ターミナルケア…と所謂、医療的な処置。 そして、医療的な処置とは別に保清ケアなどもある。

認知症/切なさを少しだけ溶かす時間になったらいいな

彼女の名前は、淑子(よしこ)さん。80歳代女性。 インテリジェンシーも高くついでにプライドも少々高めだった。大学を出てからバリバリのキャリアウーマンだったかた。 認知症状が進み、短期記憶障害もあった。 5分前のことも思い出せないこともある。 スポーツをされていた方で足腰はしっかりされている。 「なんで自分でお風呂に入れるのにあなたたちに入れてもらわないといけないの。私は頭がおかしいの?」と強い怒りを表出される。悔しくて涙が出る時にもある。 それをみているとこちらまで辛くな

認知症/「忘れん坊だけどなにか?」って世界になればいいな

昨日、久しぶりに朗子さんの訪問に行った。 今日は、朗子さんとお散歩に行った時のことをちょっと書いてみようと思う。 朗子さんの病名は、アルツハイマー型認知症。 私たちは、受け持ち制ではないので、訪問がしばらく開いてしまうことがある。1年ぶりに会った朗子さんは、1年前とそれほど大きな変化はなかった。 4年前に訪問が始まった頃から私たちの顔も名前も覚えられない状態だった。 5分前のことを覚えていられない短期記憶障がいがあった。 “短期記憶障がい” 短期記憶障がいとは、認知症の

モノに溢れるモノ屋敷

訪問看護におけるモノ屋敷の世界以前のnoteでも 片付けられないシンドロームについては投稿した。 上記の記事は、2年前の記事だったが、その後、モノ屋敷の住人のかたがお客様になることが続いた。 今までの方々もすごいと思っていたが、それを超える最強メンツが揃っていた。 ご自分達の世界の中に他人に出入りされるのは本当に嫌だったと思う。 それでも私たちに足を踏み入れさせて頂いたことはご本人達にとっては<革命>に近いモノだったと思っている。 出会いは必然なんて、よく耳にする言葉だけ

私が93歳になったらどうなるか問題 〜認知症のミチさんの訪問より〜

はじめに私たち看護師は、実に色々な方と沢山出会わせて頂いている。 30年以上も看護師をしているともはや何千人、何万人の人にお会いしているのかもわからず。星の数ほど・・・という表現をしておこうと思う。 こうやって出逢わせて頂いた人のことや仕事で経験した事を最近は特に書き留めていきたいと思う気持ちが強くなっている。 その時、私はどんな事を感じたのか、その折角の出逢いを私だけに留めておくのが勿体無いような気がずっとしていた。 以前、違うblogでは書いていたことがあったが、このn

老々介護で垣間見た「いつもの朝」に感動〜緊急訪問にて〜

〜 訪問看護の緊急訪問でみた光景 〜 朝5時半の緊急電話 布団の中から夢か現実かよくわからないまま、 電話の着信音に反応し、舌がこんがらがりながらも会社名と自分の名前を名乗る私。 電話の向こうでは、 「忙しい時間にごめんなさいねー」と女性の声。 いやいや、忙しくはない(笑) ご主人がベッドからずり落ちて 尻もちをついてしまい、何度か頑張ってみたけど 無理だったから来て欲しいとのお電話。 認知症のAさんの介護をされている奥様からのお電話だった。 ご夫妻二人暮らし。

認知症の「忘れてしまう記憶」と「忘れない記憶」

10秒後に忘れてしまうマダムK ~忘れてしまう記憶~ ある年のお正月の話。 認知症のマダムKのところに伺った。 年賀状が10枚くらい届いており、マダムKが年賀状を見ていた。 「あら、これは誰からかしら?あ、みっちゃんからだわ」と言って裏返しにして本文を読む。 申年だったので「まぁ、かわいらしいオサルさんがついてる!」と言って、年賀状をまたクルっと裏返しにした。 「あら、これは誰からかしら?あ、みっちゃんからだわ。へー、懐かしい!」と言って裏返しにする。 「まぁ、かわいらし

片付けられない人たち〜片付けられないシンドローム〜

あなたは、片付けが好き?苦手? 私は、多分、片付けはそんなに嫌いじゃないほう。 散らかっていることも多いけど、片付けることを楽しめるタイプ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 仕事柄、お家の中にお邪魔する機会が多い。 毎日のように誰かのお家に上がり込ませて頂いている。 片付けることを楽しむタイプの私なので、よそ様の部屋の環境についてアレコレと分析してしまうのかもしれない。 あんなお宅もこんなお宅もあった当然ながらお家の中は、全部違う。面白いくらいに違う。 玄関に

認知症のハナさんの家が大好きな理由

蝉が子孫を残す使命のもと大合唱していた夏の日。 地中の熱地獄にやられたミミズが、アスファルトの上で沢山干からびていた。 その日は、ハナさんの訪問の日だった。 ハナさんは、認知症だった。 毎週、伺っていたけど、私の名前は、知らない。 火曜日に訪問があるということは、大体覚えていてくれた。 品よく長めのスカートを着こなし、「いらっしゃい」と笑顔で迎え入れてくれた。 この笑顔だけでいつも充分だと思った。 ハナさんのお庭は、私のお気に入り。 毎週、このお庭を見るのが楽しみでもあっ