見出し画像

WBCで侍ジャパンと戦ったチェコ代表選手のキャリアは二刀流。彼らの生き様から学ぶべきこと。

こんにちは、「キャリア未来地図研究所」共同所長の原尻です。WBCの侍ジャパンとチェコ戦をみて感動し、考えたことを記事にしてみました。

序:人生の究極の目的は、生命がイキイキと輝くことではないだろうか。


50歳にもなると、親族や大学の恩師が病気で、頻繁に入院しだす。自分も老眼になるし、身体のどこかにガタが来る。老化をリアルに実感する時期である。学生時代の友人が重い病気になったと連絡が来るたびに、どうしたって、これまでの生活を振り返り、残りの時間の意味を深く考えてしまう

高校の親友が癌になった。幸い手術が成功して、元気でいる。彼が検査で東京に来る度に、部活の仲間たちが集まって近況を語り、楽しい時間を過ごす。しかし、帰りの電車で1人になって改めて考えるのは、残りの人生の「お金と時間」の使い方だ。近い将来の病気を心配して、お金を貯めるだけ貯めて、怯えて過ごす人もいるかもしれない。しかし、そんな人生でいいのだろうか、と考える。そもそも人生とは、どう生きるべきなのだろうか。50歳にして根源的な問いを考え続けている。

何年も考え続けて出した解答がある。

それは、人生の目的は、その人の命がイキイキと輝くためにある、ということだ。
私は家族や子供たちのために、色々なことを我慢し続けて、気がついたら、自分のやりたいこともできず、年老いてしまった、という人もいるだろう。でも、今からでも遅くはない。自分の命が輝くことに「お金と時間」を投資すべきだ。自分がイキイキとするものを探して、生命を燃焼させる。そして、いい人生だった、俺の命はあの時から輝いて、いま心が充填している、と思って死にたい。

破:WBCチェコ代表の選手たちは、キャリアの二刀流。


久しぶりにテレビを観た。連日放送されているWBCで侍ジャパンを応援するためである。3月11日に行われたチェコスロバキア戦。私はテレビでチェコの選手たちの個人プロフィール情報を見て、心が躍った。こう書いてあった。

アルノシュト・デゥボピー選手:体育と地理の高校教師

ということは、彼は本業が高校教師で、特技として野球をやり続け、チェコ代表になった「キャリア二刀流」のすごい人なのではないか。

それからチェコ代表が一気に気になり始めた。すると、アルノシュト・デゥボピー選手だけでなく、他にも「キャリア二刀流」がいるのではないか。調べてみると、Number WEBで水次祥子さんの素晴らしいコラムを発見した。

このコラムには、こうある。

野球では当然、生活していけないため、ほぼ全員が「仕事」を持つ社会人か学生で、昼間は働きながらアマチュアチームで野球を続けている。前出のジーマは金融アナリスト、エースのマルティン・シュナイダー投手(37)は消防士、マルティン・チェルベンカ捕手(30)はセールスマン、アルノシュト・デゥボピー外野手(30)は高校の地理教師、マレク・ミナリク投手(29)は不動産会社勤務……と、仕事はみんなバラバラ。シュナイダーは消防士という仕事柄、24時間連続で勤務につき、次の48時間が休養日、そしてまた24時間勤務という独特の形態で働いているため、3日に1回は練習を休まなければならないという。それでもチームの大黒柱として活躍し、負けたら敗退という予選大会の最終戦で先発マウンドを任され、ヨーロッパで強豪とされていたスペインを相手に6回1/3をわずか1失点で5奪三振と力投。本大会出場を決める立役者となった。

Number WEB

プロ野球がない小国でありながら、好きな野球を働きながらやり続け、世界の舞台をもぎ取った彼らの努力は素晴らしい。そして、

まさに歴代最強と呼ばれる侍ジャパンと戦っているこの瞬間こそ、彼らの命が輝いている時間なのではないか。

そう思えたのだった。

夢の舞台――シュナイダーが目を輝かせながら続ける。

「7歳から野球を始めて、30年間続けてきた。子どもの頃から、いつかメジャーリーガーになりたいと思っていたんだ。僕だけじゃない、代表メンバーみんな、それを夢見てやってきた。でも、野球が盛んではない小国・チェコで、そのチャンスは極めて少ない。だから、ではないんだけど、僕らにとってWBCこそが“メジャーリーグ”なんだ。大観衆の前で、世界のトップクラスの選手を相手に戦えるんだからね」

Number WEB

エースのマルティン・シュナイダー投手のこのコメントを読むだけでも、人生をワクワクしながら、野球を続けて、世界大会に挑む瞬間の感動が伝わってくる。

そして、試合に大敗した後も、彼らは勝者を讃え、本当に気持ちのいい試合を見て、私も久しぶりに感動した。

大谷翔平選手も試合後、チェコ代表にエールを送っている。

急:チェコの選手たちから学ぶべきこと。


本業で生計を立てながらも、自分がやりたいことに時間と労力を惜しまず、その結果、世界大会に出場したチェコの選手。彼らの「キャリア二刀流」こそ、仕事だけに翻弄せず、自分の命がイキイキとするための生き方のサンプルのように思えてならない。

昭和・平成を生きてきた団塊ジュニア世代は、日本がアメリカ型の資本主義に飲み込まれていく渦の中で働いてきた。外資系企業で活躍する日本人をビジネスマンのお手本のようにメディアが掻き立て、給料・年俸至上主義のような世界が日本の伝統的な給与体系を崩していくムーブメントにワクワクしながら、出世競争に浸っていたように思える。

しかし、50歳になり、「死」というものが身近になって、お金や会社での出世があまり意味をなさなくなるタイミングになり、改めて生命の意味や人生の意味について考えるようになると、チェコ代表選手たちの生き様に学ぶべきことが見えてくる。

それは、生きるために稼ぐことだけでなく、自分の命がイキイキすることも両輪でやりながら、命が輝く時間をつくれ、というメッセージだ。50歳だから見えてくることかもしれない。

人生は思ったより短い。命が輝く時間をつくろう。

若い人と語る機会があったら、私はこんな話をするだろう。
まあ、原尻は老化の身だから仕方がないことだね、と笑って聞いてくれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?