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おばけ屋敷な読書会と本の未来

本には未来がない。

「なぜ本を読めないのか」「本屋の経営はどうして過酷なのか」本と書店の分析と考察は多い。けれどそこに。明るい未来はみつからない。

シェア型書店という新たな書店が増えてきた。

本棚を何人かでシェアして、ひとつひとつの棚ごとにオーナーがいる書店。
京都にもシェア型書店がいくつかある。こもれび書店・灯商店・一乗寺ブックアパートメント。3つのシェア型本屋で棚をかり、本を売り始めた。

本をえらんで置いておくだけでは本は売れない。本を読まないが、本を読むようになるきっかけを探し始めた。

おすすめの本をかしたり、オンライン読書会に参加して気がついたこと。それは「本好き以外の多くの人は読書会を知らない」という現実だ。

「読書会=読書する会」という勘違い。
「参加するのは読書家だけかもしれない」という尻込み。
「いざ参加してみても、本にくわしい人だけ話しをしてる」という御経感。

読書会はちょっぴり怖い。だれかの知らない声がきこえるおばけ屋敷だ。

「たくさん本を読む人もそうでない人も、本をたのしめる場をつくりたい」

そんな思いを抱くようになり、シェア型書店ではじめたのが『推し本10冊で語り合うBOOK BAR』だ。

たくさん読んでない人も安心して参加できる読書会にするため、(すこしハードルはあるが)参加者に推し本10冊の写真を事前におくってもらい、当日はドリンク片手に写真をみせあいながらペアまたは3人で話をしてもらう。

推し本のジャンルは自由。小説を選ぶ人が多いけれど、ビジネス書もマンガもいい。ノンフィクションや絵本もおもしろい。人生に影響を与えた本、思い出がつまった本、手放せないお守りのような本。

推し本1冊だと、その本に他の人が興味をもってもらえないかもしれないが、推し本10冊ならいくつかは気になる本がある。

10年ぶりに本を読み始めたという参加者もいた。いまの推し本とかつての推し本がならんだ写真をみると、かわるものとかわらないものが見えてくる。

レビューを読むことはあっても、本の魅力をひとから話してもらえる機会はなかなかない。推し本10冊には、選んだひとの人生があり、本と本のつながりがあり、本と人がつながるためのきっかけがいくつもある。

「だれかのためのおすすめの本」ではなく「わたしの推し本」だからこそ、聞き手は安心して耳を傾け、本の魅力をそのままに受けとめられる。

本の未来は、読者の推し本にある。