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教えて学ぶ

「教えて学ぶ」は、教育探究科学群の教育コンセプトの一つであり、桜美林大学の教育モットーである「学而事人(学びて人に仕える)」を反映するものでもあります。
いわゆる大学の建学の精神とかミッションとか、あるいは上記のモットーみたいな私立大学の存在意義を示すワードは、一時期ちょっとだけ流行りましたが、最近は少子化による経営環境の悪化、政府の高等教育に対する強い意向などを受け聞かなくなっている気がします。
私立大学、あるいは作り手のエゴかな?と思いつつも、やはり創設者の考えたことを反映するのも大事ですし、なぜ桜美林大学が世の中にとって必要なのかという問いに答えるには必要なことだと思い、教育探究科学群のコンセプトとして改めて向き合っていきたいと思い入れ込んだものになります。
どうしても新しく変なことをしていると思われがちなのですが、自分なりには所々で原点回帰を意識はしています…

ここからは教育探究科学群において「教えて学ぶ」のコンセプトをどう反映しているかをメモしていきたいと思います。
学群全体の学びの中にある要素なのですが、その中でも特にこのコンセプトを強く反映する科目として「ピア・ティーチング」と「ピア・ラーニング」があります。この科目は1年生と3年生、あるいは2年生と4年生が同じ教室内で学ぶもので、上級生がピア・ティーチング、下級生がピア・ラーニングを受講し、「教えて学ぶ」の方式で学んでいきます。
学習コンテンツについても、ピア・ティーチングを担う上級生が中心となって考えていくことになり教員はそのサポートをしていくのがメインになる見込みです。つまり、3年生になった時に、ピア・ティーチングの中で「問いを立てる」ことが求められます。

この「問いを立てる」というのは、日本の学校教育ではあまり扱ってこない傾向にあり中々難しいと思います。ただ、これまでの授業やASPIREでの活動の経験の範囲では、機会があって回数を重ねればある程度できるようになり、自分の興味関心のあるものであればなお問いは作りやすいということを見てきました。
もちろん人によって得意不得意もあり、問いを作るまでにすごく時間のかかる学生さんがいたり、中々ワードが出てこない学生さんもいましたが、それでも頑張って何とかできるまで待ってみるとほとんど何かしらの形にはできていました。これは探究的な学びにも言えることですが、本人の内から出てくるものを期待する必要があり、一番大事なのは待つというか忍耐だと思います。ただ、大学だとまだ多少はこうした間の取り方が出来ますが、高校の現場では中々やりづらいアプローチだと思うので、高校での探究活動というのは本当に大変なことが多いんじゃないかなといつも感じます。

「教えて学ぶ」の欠点として、教える能力のない者が教えても意味がないという批判をよく頂きます。自分自身も大学院で勉強する中で、自分以上の人間を教育することはできないため、自分が面倒を見ている学生さんの質が悪いと感じるのはそれは自分の力量不足だとよく言われていました。また、知識の伝達量としても、高度な知識を有する教員が多くに決まった知識を伝達する講義形式のような授業の方が効率的であり、「教えて学ぶ」の手法は非効率だともいえます。
ただ、今回教育探究科学群の中で「教えて学ぶ」を取り入れた理由としては、答えが一つではないようなものを扱ったり、様々なものの見方や考え方を知って視野を広げるには、たくさんの人とやり取りをして相互関係の中で学んでいく必要があると考えたためです。また、知識の量ではなく、むしろHow to(~の仕方、あるいはどうしたらできるようになるか)に焦点をあてていて、多くを知って記憶するという勉強から脱却し、授業の中で「考える」時間を増やしたいという気持ちがあります。そのとき、ただ考えろって言われて考えるのはすごく大変なので、なるべく自身の好奇心や興味関心の向くものをまずは考えてもらえたら、そのうち他の事にも興味を持って考えたり思考したりすることができるんじゃないかなと思います。

ピアティーチングとピアラーニングは、難しさもあると思いますがすごく楽しみな授業の一つですね!


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