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教育社会学

基本的な理解

前回、教育探究科学群の対象とする学問として、教育学に加え、心理学と社会学があるということを書きました。今回は社会学の中でも、教育探究科学群の中で主たる対象となる「教育社会学」について考察していきます。

教育社会学(きょういくしゃかいがく)educational sociology
教育を社会事象としてとらえ、教育と社会との相互関係、すなわち教育の社会的機能や、教育の社会的規定条件、構造、過程などを実証的、客観的に研究する社会学の下位領域。
その研究対象から教育学の一分野と考えることもできるが、教育社会学は、
〔1〕伝統的教育学が規範的、応用的側面に傾斜しすぎていることを批判し、実証主義、文化的相対主義の立場をとる
〔2〕教育を未成熟者に対する意図的作用と狭く限定せず、無意図的教育、環境的影響など、広義の人格形成作用、社会化過程を重視する
〔3〕教育と社会との関係を重視し、教育を個人的ではなく社会的な事象であると考える
などである。

新堀通也・片岡徳雄編『教育社会学原論』(1977・福村出版)
コトバンク

[1]の補足
実証主義は(positivism)は、超常現象(お化けとか科学的に証明的できないもの)ではなく、実験と観察に基づいて確かめられるものを重視する考え方で、文化相対主義(cultural relativism)は、どんな文化も独自の発展を遂げているという認識のもと、他者の文化を容認し、異文化間理解の相互理解を促していくというものです。
要は、科学的にやっていきましょう、相手の文化や考え方を尊重していきましょうという感じ。

[2]の補足
社会化(Socialization)は、ある人が何かしら物事(能力、スキル、価値観、動機付け、行動パターン、生活様式など…)を身に付けていくプロセスであり、人はこのプロセスを経て変化(成長)をしていくという考え方です。このとき、人の変化や成長は、学校教育に象徴される意図的な教育だけから生じるのではなく、社会の様々な影響を受けながら、時には無意識に学んでいることさえもあるということになります。

[3]の補足
社会的事象とは、調査したりリサーチしたりすることによって、事実として具体的に知ることができるものです。

教育探究科学群の中で教育社会学を学ぶことに何ができるようになるか

  1. 調査やリサーチからなるデータ活用できるようになる

  2. 自他の文化やスタイルを尊重できるようになる

  3. 教育(成長の)機会は学校だけでなく、あらゆるところにあると認識できるようになる

  4. 教育は個人に閉じたものではなく、社会と密接に関わりがあることを認識できるようになる

教育探究科学群における教育社会学は、自らの視野と教育の持つ可能性を広げることによって、学群の目的でもあるEducation and Social Transformation に資するものと考えています。




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