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新たな議論が浮上、『核共有』とは何か?

菅前総理が、昨夜のインターネット番組「日経テレ東大学」の収録で核保有をめぐる議論を容認する考えを示しました。

また、先月27日には、フジテレビの番組で、
安倍元首相と元大阪維新の会代表の橋下徹氏も「核共有の議論は必要」と語っています。

ここで、安倍氏と橋本氏の発言に出てきた、「核共有」という言葉、
これはいったいどういう意味を持つ言葉なのでしょうか?

◆ニュークリア・シェアリング

核共有、もしくはニュークリア・シェアリング(英語:Nuclear Sharing)とは、核保有国が核兵器を同盟国と共有するという考え方、もしくは戦略で、東西冷戦時、旧ソビエト連邦やその衛星国に配備された核兵器に対応する為に、アメリカがNATO加盟国(ドイツ、オランダ、イタリアなど)に供給する形で実現されました。

核戦力の行使はNATOの総意によりますが、敵地領土への行使の最終的な判断はあくまで核兵器提供国が持つ、つまりアメリカが拒否すれば敵領土へは核兵器は使用できないというものでした。

◆過去に日本も核保有国になる可能性があった?

実は日本でも、1950年代にアメリカから核弾頭を提供する形での日米間の核共同保有が一時検討されていました。
沖縄返還が近付いていた1968年にも、沖縄からの核兵器(ピーク時には1300発の核兵器が配備されていた)の撤去と引き換えに、アメリカ側が日米合同の核戦力海上部隊を設立するよう要求したという経緯もあったようです。

第五福竜丸事件などで日本の反核世論が盛んになっていなければ、日本は「核保有国」になっていた可能性もあったのです。

◆日本の「核共有」をめぐる新たな議論が浮上

今回ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとした世界秩序の混乱は、
日本政府の安全保障の考え方に変化をもたらす可能性があります。

これまで米軍の艦船による核持ち込みの疑惑や、前述の返還前の沖縄に核兵器が配備されていたという事例はあったものの、
あくまで日本政府は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の、
非核三原則を堅持する立場をとってきました。

ただ、今回のロシアのウクライナ侵攻によって、
核保有国が力による現状変更を行おうとした場合にどのように防ぐべきか?という課題が浮き彫りになりました。

岸田首相が非核三原則の堅持を表明し、核共有を否定したものの、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA022AI0S2A300C2000000/

今回のような一方的な侵略行為を核の抑止力をもって防ぐ「核保有」、
もしくは同盟国からの「核共有」の議論は避けられないものになりつつあります。







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