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AEDは何をしている?

AEDを皆さんご存知でしょうか?
心臓が止まってしまった人を蘇生するためにとても重要で、皆さんの身の回りにも必ずある道具です。
今回はAEDについてより詳しく知っていきましょう。


1.AEDって何?

AED(自動体外式除細動器:Automated External Defibrillator)は誰でも使うことができるように工夫された、心停止した人の心電図を解析し、必要な場合に電気ショックを行うための装置です。心肺蘇生の普及はなぜ大事?でもお話ししましたが、全国に約60万台設置されており、皆さんの周りにも、公共施設や教育施設、スポーツ施設などに必ずあると思います。

AEDは様々な企業が製品を出しており、見た目や色も様々ですが、機能は同じです。

2.AEDはなぜ重要?

AEDの主な重要な役目は
① 心停止の原因となる、電気ショックが必要な不整脈を判断する
② 電気ショックを行う 
の2つです。
AEDが効果を発揮するのは、心室細動・心室頻拍と呼ばれる不整脈により心臓の正常な動きが出来なくなり、心臓から血液が送り出せない状態になっている場合です。

心停止の場合全てに電気ショックをするのではないか、と思っている人もいるかもしれませんが、電気ショックが必要なのは心室細動もしくは心室頻拍の2つの不整脈が原因で心停止になってしまっている時だけです。

心臓は4つの部屋から構成されており、通常は電気の信号によりリズミカルに収縮することで全身に血液を送り出しています。心室細動と心室頻拍という不整脈が生じると、異常な電気の信号が生じて心臓がきちんと収縮できなくなり、血液を心臓から送り出すことができなくなってしまいます。
そこで異常な電気の信号をリセットするために電気ショックを行うのがAEDの役目です。AEDを倒れている人に装着すると、心電図を解析し心室細動もしくは心室頻拍であった場合に充電が開始され、電気ショックを行う準備が整えられます。誰も倒れている人に触れていないことを確認し電気ショックを行いましょう。
心室細動もしくは心室頻拍でなかった場合には電気ショックが不要とAEDが判断します。

心室細動もしくは心室頻拍による心停止だった場合、どれだけ早くAEDで電気ショックを行ったかが予後に大きく影響します。市民の方が電気ショックを行った場合、1か月後の生存率は50.3%、社会復帰率は42.6%と非常に高くなっています。心室細動もしくは心室頻拍による心停止かどうかはAEDをつけなければわかりません。どれだけ早くAEDを装着できるかが非常に重要です。身の回りのどこにAEDがあるかを把握しておくことも、いざという時にすぐAEDを持って来ることができるので重要です。AED財団がリリースしている  team ASUKA などAEDの位置情報がわかるアプリがありますので、ぜひ活用してみて下さい。

3.AEDを素早く安全に使おう!

AEDの使い方を簡単に説明します。

AEDの詳しい使い方はマイページから動画を見てみましょう!

① 電源を入れる
どんな電子機器もまずは電源ですね。
蓋を開くと自動で電源が入る機種と、電源ボタンがあるものがあります。
電源が入ると音声が流れますので、慌てずにその指示に従って進めていきましょう。

② パッドを張りコネクターを接続する
パッドを成人の場合「右鎖骨下」と「左わき腹」に肌に直接貼ります。パッドに絵が描いてありますのでそれに合わせて貼るようにしてください。心臓を立体的に挟み込むように意識して、左わき腹は体の側面にかけて貼るように心がけましょう。
機種によってはパッドとAED本体のコネクターを接続する必要があります。音声の指示に従いましょう。
パッドを貼るときは他の人が心臓マッサージをしている最中かと思いますので、声掛けをしながら、心臓マッサージをできるだけ中断しないように工夫して適切な位置に貼りましょう。
パッドを貼るのに服を脱がせたり下着をずらしたりする必要があります。躊躇するかもしれませんが、命を救うためにためらわずに行いましょう。余裕があれば周りから体が見えないように配慮できるといいかもしれません。

③ 心電図を解析
パッドを貼ると自動的に心電図を解析する機種と、心電図解析ボタンがある機種があります。体に触れていると心電図が正確に解析できないので、心臓マッサージを中止させ、誰も体に触れないようにします。AEDが心室細動もしくは心室頻拍による心停止かどうかを判断します。

④ 電気ショック
心室細動もしくは心室頻拍による心停止とAEDが判断した場合、自動的に充電が開始になります。充電が完了したらショックボタンが点灯するので、誰も体に触れていないことを十分に確認し、ショックボタンを押して電気ショックを行います。触れていると感電してしまいますので、安全にも十分に注意しましょう。
機種によっては電気ショックが必要な場合に、ショックボタンを押さなくても時間で自動的にショックが行われる(オートショックAED)場合もあります。
電気ショックのカウントダウンがブザーの後に鳴りますので、音声指示に従って安全のために体から離れましょう。
電気ショックが終了したら、もしくはAEDが電気ショックは不要と判断したら、すぐに心臓マッサージを再開しましょう。

⑤ AEDは着けたままで
電気ショックの有無にかかわらずAEDはずっと装着したままにしてください。2分毎に自動で再度心電図の解析を行います。心電図を解析する旨の音声が流れたら③に戻って心電図を解析します。
救急隊が到着したら、電気ショックや解析を何回行ったか伝えてください。


AEDの詳しい使い方はマイページから動画を見てみましょう!

ライフサポートサーキット公式サイト:救急処置を知ろう!

4.AEDが苦手なものは?

自動で心電図を解析し不整脈を治す電気ショックを行うことができるAEDですが、苦手なこともあります。

① 水が苦手
電気ショックのエネルギーが十分に心臓に届くためには、体の表面、特にパッドを貼った胸部が濡れていないことが大切になります。濡れている場合にはふき取るようにしましょう。水と似たもので湿布などの成分も通電してやけどになったり心臓に届くエネルギーが減ってしまったりするので、湿布をはがしたり、ふき取ったりしましょう。

② 金属が苦手
水と同じく金属も電気ショックのエネルギーが逃げてしまう要因になります。ネックレスなどのアクセサリーは外すか、胸部から遠ざけるようにしましょう。
ペースメーカーが埋め込まれている場合には胸に出っ張りが見られます。パッドをペースメーカーの真上には貼らないようにして、少し離した位置に貼るようにしましょう。

③ 密着しないと苦手
パッドが皮膚に密着していないのも電気ショックのエネルギーが心臓に届かない要因になります。体毛などでパッドが浮いてしまう場合には、AEDの予備のパッドを使用して体毛を剥がし同じ位置にパッドを貼り密着させましょう。痩せている方ですと右鎖骨の上にパッドを貼ると浮いてしまう場合にあるので、必ず右鎖骨の下の部分に貼るようにしましょう。


AEDについて詳しくお話ししました。
AEDは誰でも簡単に使えるように工夫された装置ですので、心停止の人がいたらためらわずにできるだけ早く使用しましょう。
すぐにはAEDを使う自信がつかないかもしれません。そんな時はライフサポートサーキットの動画を見て繰り返し復習しましょう!

参考文献:
救急蘇生法の指針 2020 改訂第6版 日本救急医療財団 心肺蘇生委員会
令和5年版 救急・救助の現況 総務省消防庁



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