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読書のあしあと🐾

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由季 調『歌集 互に』(ながらみ書房・平成18年)

由季 調『歌集 互に』(ながらみ書房・平成18年)

みなさま、こんにちは。
今日は、由季 調さんの『互に』という歌集を取り上げたいと思います。

この歌集の特色のひとつとして、ひらがなが多用されている点が挙げられます。ひらがなを用いた歌人としては、会津八一が有名ですね。会津八一は総ひらがなの万葉調の歌を遺しています。
それでは、由季さんの歌の世界へ。

ひらながの歌は一首を読むときの滞在時間が長くなります。
「あゐいろ」は「藍色」よりも深い色合いを

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落合直文『御代のほまれ 巻の三』(大倉書店・明治28年)

落合直文『御代のほまれ 巻の三』(大倉書店・明治28年)

みなさま、こんにちは。

学生時代、古本まつりがあるとよく出かけて行って古書を漁っておりました。今日はいつかの古本まつりで買った落合直文著『御代のほまれ 巻の三』(大倉書店、明治二十八年)について、その序文を紹介したいと思います。

みなさまは落合直文(文久元年~明治36年)という人物をご存じでしょうか。歌人・国語学者として知られており、皇典講究所(國學院大學)には晩年まで在職されていたそうです。

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『尾崎左永子 八十八歌』(沖積舎・平成27年)

『尾崎左永子 八十八歌』(沖積舎・平成27年)

みなさま、こんにちは。
本書は少し変わった歌集です。と言うのも、尾崎さんの自筆・自選歌集だからです。一頁に色紙一枚(一首)を掲載しています。

私たちは活字に慣れすぎており、筆跡という美のかたちを半ば忘れているのではないでしょうか。筆跡も含めて一首を愉しみたいと思うのは私だけではないはずです(そう思いたい)。

日本の生んだ美しい文化の一つが、連綿体のかな文字であると思います。文字とは、単に情報を

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