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読書のあしあと🐾

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#俳句

日下野由季『句集 馥郁』(ふらんす堂・平成30年)

日下野由季『句集 馥郁』(ふらんす堂・平成30年)

みなさま、こんにちは。
今日は『句集 馥郁』という本を見ていきましょう。

本書は日下野由季さんの第二句集で、第42回俳人協会新人賞を受賞されました。俳誌「海」の編集長をなさっています。

俳人の大木あまりさんが栞文を寄せています。大木さんの「どのページをめくっても、透明な句に出会うことができる」という一節が本書を象徴していると思います。とても素敵な句集です。こういう本はめったに出会うことができな

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星野晃一編『改訂版 室生犀星句集』(紅書房・令和五年)

星野晃一編『改訂版 室生犀星句集』(紅書房・令和五年)

みなさま、こんにちは。
作家 室生犀星と聞いて何の作品を思い浮かべますか?
私が犀星の名前を知ったのは、父の本棚にあった『杏っ子』という小説でした。

私は犀星の『蜜のあはれ』に惹かれます。たしか二十歳くらいの少女(しかし金魚でもある)と老作家の軽妙洒脱な対話が見どころの作品です。
「おじさまはどうして、そんなに年じゅう女おんなって、女がお好きなの」
「あたい、せいぜい美しい眼をして見せ、おじさま

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長井亜紀『句集 すみれ』(青磁社・令和4年)

長井亜紀『句集 すみれ』(青磁社・令和4年)

みなさま、こんにちは。
今日は句集にしてみました。

本書は、2022年5月に甲状腺がんで亡くなった「古志」同人 長井亜紀さんの遺句集です。
今となってはどこで本書を知ったのか記憶が定かではありませんが、すぐに青磁社の永田淳さんに連絡して送っていただいたものです。
永田さん、その節はありがとうございました。

著者の長井さんについて、私は多くを知りません。ごく限られた情報です。
巻末の文章によると

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