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【現代アート⑤】シュルレアリスムとはなんだ!なんなんだぁぁああ!

僕ら大学生は、二言目には金がないとぼやく、そんな単純な生き物だ。けれど、世の中には異次元の自己表現をする人たちがいる。

彼らは往々にして、無意識的に言葉を発して、支離滅裂、それでいて論理的に理解不能な表現をする。

つまり、シュルレアリスムである。

シュルレアリスムとは、簡単に言えば、

「ツッコミどころがありすぎて、どこから理解すればいいのか分からないから、もういっそのこと、すべてを受け入れたい」

と、そう思わせるような作品を創作する芸術運動である。

ぐにゃぐにゃに曲がった時計、人の顔のようなもの、そんな顔面らしきものに刺さる花束、人は空に浮かび、金魚は地を這う。

もはや推理とか、知識とかで解明できる範疇を超えていて、僕らはその全てをただ受け入れることしかできない。

今回はそんなシュルレアリスムをご紹介する。


❶シュルレアリスムとは

記憶の固執

「なんか凄いインパクトはあるんだけど、正直何がなんだか分からない。」

僕たちがシュルレアリスムを見て、そう感じるのはごく自然なことだと思う。

だって、シュルレアリスムってのは「無意識の世界」だから。

人間の理性に抑圧された無意識の発露。そこにはまだまだ可能性が秘められているのだ。

そこでシュルレアリストたちは、無意識を具現化させるために、

寝起き直後に絵を描いてみたり、パッと思いついたことをものすごい速度で書き取ってみたり、

とにかくあの手この手で、無意識の世界を映し出そうとした。

●シュルレアリスムの特徴
・理性の否定(意識に抑圧されている無意識を発露する)
・無意識の世界を良しとする
・フロイトの「精神分析理論」が理論的根拠


❷前提としての「ダダイズム」

だだモナリザ

シュルレアリスムを理解するために、その前提として「ダダイズム」を知ってもらいたい。

1910年代ごろ、世界中は戦々に飽々って感じだった。
そう、第一次世界大戦である。

そんな中で、芸術家たちは、戦争の不毛さにテンションナイアガラで、なぜこんな状況になってしまったのかと原因を考えていた。

そこで彼ら芸術家はある結論に行き着いた。

「戦争って、人間の理性や合理性が諸悪の根源なんじゃね?」

「なるほど、じゃあ理性って邪魔じゃね?」

的な会話がなされ、彼らは理性を徹底的に壊す芸術運動を開始した。

何かを「考えて作る」のではなく、既成概念を「壊す」ことに注力したのである。(既存の観念へアンチテーゼだ)

既存の概念とか、思想とか、これまで良しとされていたものを、

とにかく「壊す」「否定する」「脱却する」

こうして、始まったのがダダイズムだった。

ちなみにツァラという人物が創始したダダイズムの「ダダ」ってのは、辞書をテキトウにパラパラぁ〜ってして、ハイッ!って指さした文字が「ダダ」だったからそれになったらしい。

もう彼らにとって「考える」ということ自体が、
「理性的なもの」としてアウトだったのだろう。


❸創始者 アンドレ・ブルトン

アンドレブルトン

ダダイズムが「壊す」ということに限界を感じ始めていた頃、

「壊す」のではなく、「無意識を発露する」の方がよさそう。

それに気づいたのが、アンドレ・ブルトン率いるシュルレアリスムだった。


自動記述(アートマティズム)という手法を使って、

自分の意識とは無関係に降りてきた言葉をとにかくすごいスピードで書きとるという実践をした。

思考の介入の余地をなくすため、とにかくどんどん思いついた言葉を書き連ねる。

例えば、簡単にやってみると、こんな感じ

集まっていく東の桃源郷。ムカデの梯子はついに外され、故郷の桃はアナフィラキシーコンピュータ。神々の発散は教室に撒き散らされ、我々はもはや立ち尽くす冬の仁王。

僕のことをぶん殴りたい気持ちはどうか抑えてほしい。

だが、確かにこれはカオスすぎる。

実際に意味わからないことをやらされ続けたブルトンの弟子が自殺したなんて話もあるらしい…。

ちなみに自動記述で書かれた本があるから、試しに読んでみるのもいいかもしれない。少し読んでみたのだが、頭が痛くなるよ。(これは低気圧のせいだけじゃない)


❹シュルレアリスムの絵画たち

しゅる1

ルネ・マグリット「ゴルコンダ」


しゅる2

マルク・シャガール「私と村」


以上、今回お世話になった参考文献たち。

・山口真人YouTubeチャンネル「シュルレアリスムが与えた影響、アンドレブルトン」
・This is Media「シュルレアリスム(超現実主義)」とは?有名な画家と代表作品を分かりやすく解説
・ジュウ・ショ「シュルレアリスムとは? 中学生向けにわかりやすくご紹介」

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