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タイルの汚れ落しマニュアル

汚れ除去フロー

日常のお手入れで落ちない汚れは、汚れ除去フローに従って適切な処置を行ってください。

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粉っぽい汚れ

タイル裏面

真新しいタイルの裏面には、粉のようなものが付いています。
この粉は水で洗い流せばきれいに落ちます。
これは、タイルの原料で主に石を粉末にした「坏土」という粉です。製造時にタイルは大きな窯の中をレールに乗って進みます。レールの上でタイルがひっつかないために使われています。

土埃や排気ガス、雨の汚れ

黒ずんだ汚れですか?
これは埃、排気ガス、煤煙などの汚れが雨などで付着し、乾いた後に残る汚れです。水洗いや拭き取りのみで除去できます。また、排気ガスなどの油性成分を含む汚れの場合は、中性洗浄などを併用します。

大気中の塵埃が付着して汚れてしまった場合は、洗浄は中性洗剤を用いてこすり洗いすることで除去できます。

モルタル飛散汚れ

飛び散ったモルタルによる汚れは希塩酸で除去します。薄めた希塩酸を、ブラシを使ってこすり洗いをおすすめします。予め目立たないところで希塩酸による変色がないことなどを確認した上で洗浄・除去します。
最後は洗剤残りの無いようたっぷりの水で洗い流してください。

油膜のような虹色の汚れ

ギラギラした油膜ですか?
これはタイル表面に雨水やセメント中に含まれる物質(炭酸塩、硫酸塩、珪酸)が汚れとして付着したことで発生します。

膜状に付着したため光の干渉で虹色に見える現象です。膜を作る物質は主にアルカリ成分の結晶で、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等です。虹彩現象はどんなタイルにも発生しますが、特にタイルの吸水性が少なく表面につやがあり、平滑度の高い良質タイルに生じやすいです。

虹彩の洗浄方法としては、下記の2通りの方法があります。

  • 機械的な除去方法:硬質研磨材を含まないナイロンたわしを用いて行います。

  • 化学的な除去方法:酸性フッ化アンモニウムのようなフッ酸系の溶剤を用いて行うことになりますが、使用時の条件により、タイル表面を傷めることがありますので、十分に注意してください。

酸洗い

酸洗いとは、タイルの表面に蓄積された汚れを、1~10%の塩酸で薄めた薬品で洗う方法です。酸洗いは新しくタイルを張ったのに白く汚れる白華現象にも効果的です。

白華現象は、タイルの材料に含まれるアルカリ性の「水酸化カルシウム」と空気中の炭酸ガスが反応し、「炭酸カルシウム」の白い粉ができた状態のことです。タイルの目地からあふれてタイルを覆っている状態は「鼻垂れ」とも呼ばれ、水洗いだけではきれいに落ちません。

タイルを玄関ポーチや内装をDIYしたものの、部分的に白く汚れている(白華現象が起きている)場合は、酸洗いが必要です。

酸洗いすると変色や素材が溶けるなどの現象が起こるので、手順を守り十分に気をつけて作業をしましょう。

(タイルの酸洗いの正しい手順と方法) 
① 洗浄部分以外を養生する

酸洗いをする場所以外に薬剤が流れないように、ビニールと養生テープでガードしましょう。

② タイルや目地に水打ちする
タイルやタイル目地を酸洗いする前に、しっかりと水打ちをして素材に水を含ませましょう。事前に水打ちすることで、素材内部へ塩酸の影響を抑え、最後に洗い流す時間を短縮できます。
打ち水をする際は、酸洗いする時間を5分以内にしなくてはいけません。
洗いの時間が長引くと、水と酸が結合して白い汚れが目立ってしまいます。

③ タイルを酸洗いする
タイルの汚れは、たわしやナイロンブラシ、柔らかく適度な厚さと吸水性のある布(雑巾)で落とします。
汚れに合わせて酸の濃度を決めるのですが、タイルの目地に付着したモルタル汚れであれば、1~5%の濃度でいいでしょう。
市販の業務用塩酸を使う場合は、洗う素材や汚れに合わせて濃度の調節が必要です。

④水でしっかり洗い流す
タイルの酸洗いが終わったら、たっぷりの水をかけてすすぎましょう。
すすぎが足りないと塩酸によってタイルが変色し、かえって汚れを目立たせてしまいます。タイルの乾燥後も水洗いの残りがないか、しっかり確認してください。

カビの除去

工期が遅れたり、雨が続いて保管していたタイルにカビが発生する事があります。カビは漂白殺菌作用のある塩素系洗剤で拭き取ってください。
その後、洗剤残りの無いようたっぷりの水で洗い流してください。

日常のお手入れ

拭えばきれいになるのがタイルの長所です。
タイルはお皿やお茶碗と同じ陶器です。汚れは中まで浸透しません。デッキブラシと水道水だけで美しさを取り戻すことができます。

まとめ

どうしても取れない汚れは、種類を突き止めてから進めていくことをお勧めします。強い洗剤を使うとタイルが変色する可能性があります。注意して進めていきましょう。

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