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香川県のOnlineGame規制をこう見る件

香川県のゲーム規制はネットで大変な好評を博しており、日夜「香川県はクソ!」「日本のゲーム業界を停滞させる悪しき条令だ!」という歓喜の声が聞こえます。
一応ITに関わる身としてはこの条例に思うことはあり、ネットの声に対する疑問を提示させていただきます。

さて、ITのサポート現場に関わる人間として、香川県のオンラインゲーム規制(後で見たらオフラインゲームも対象でした)に反対する声をどう見るかと言いますと、それはもう、正直に言って「大人のITスキルがどれだけ寂しいかも顧みて・・・」としか言いようがありません。これは同人誌ではあるのですが、もし「ITサポートでよくあった問い合わせの本」という図書を是非読んで欲しいなと思います。

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この本を一読いただければわかるのですが、ITサポートの現場では本当にしょうもないことで電話がなります。この本にあるのだけでも・・・

事例1:プリンタが使えません!
原因1:用紙切れだった
原因2:インク切れだった
原因3:電源が入っていなかった

事例2:Excelを開いたら警告が出ました!
原因1:リンク自動更新の警告だった
原因2:マクロ警告だった

などなど、読めば読むほど「初歩的な問い合わせもかなり多い」ということが分かってきます。ええ、実際あったんですよ。
「ネットに繋がりません!」
⇨LANケーブルが挿さっていなかった
⇨無線LANのスイッチがOFFになっていた
なんて、ホーントに初歩的な質問が珍しくありません!
そう、ジョーク抜きで初歩的な質問はよくあるんです。特に30代後半以上は加齢すればするほど初歩的な問い合わせが多い。かつ、男性より女性が機械に弱い傾向があります。
そういう現場を見ているとね、オンラインゲーム規制に対する反対の大声に「なんだかなぁ・・・」と感じてしまうわけです。

Twitterしか使えない大人たち・・・

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さて、Twitter民に向けて、私は性根の悪い質問を出しました。
このアンケートの失敗点は「30代以上に回答者を絞らなかった」ということなのですが、それで20代以下が回答していると考えても、見事に70%の人が「教えられるアプリケーション3個未満」なわけです。これ、どういうことかって言いますと、子供にスマホの使い方を教えられるかどうかを試していたわけです。
なんとなく見てわかるでしょ?
無理なんですよ、今の大人が子供にスマホの使い方を教えるの。
今の親世代ってちょうどロスジェネ世代から上が多いと思いますが、彼らが就職した時、まだXPが出たか出てないかです。スマートフォンなんてものはありませんでした。初めのガラケーで従量課金しかない時代は知ってます。この世代はと言えばFF6に熱中してFF7のグラフィックに感動して、もっと遡れば復活の呪文を唱えていた世代なのです。冒険の書はいったい何回消えてきたでしょうか。
Wi-Fi?
通信ケーブルですよ、そんなもん。

そして「親世代が子供にスマートフォンを教えられない」ということが、これまた大きな軋轢を生むことになりました。そう、子供の重課金問題です。

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消費者センターが提示したグラフを見れば、いかに子供の制御に苦心した親御さんが多いかわかります。きっと子供の課金した50万円とか90万円なんて額を見た親御さんはガクブルだったに違いありません。

オンラインゲームは有害です
もうこれだけはちゃんと言っておきたいと思います。オンラインゲームの最大の特徴は「終わりがない」ということです。基本プレイは無料と言って釣るものの、ゲーム会社はサーバー代やエンジニアの人件費を回収するのに、最も効率の良いやり方が一回300円のガチャだという結論になりました。
こうなるとですね、下手なパチスロやカジノよりずっと有害な存在になります。オンラインゲームの有害性と言うのは、スーパーファミコンや初代プレイステーションのそれとは大きく異なるのです。
スーパーファミコン時代のゲームにはちゃんと終わりがあります。終わりが無かったのはダビスタやポケモンくらいで、ロープレもシューティングもちゃんと終わりがあるのです。終わりを迎えればゲームも飽きてきますので、いつかは別のソフトに乗り換えるなり、他のことをやるようになります。
ただし、オンラインゲームはサービス終了にならない限り、終わりはありません。そして、ゲーム会社は子供の重課金に対する対策は、ほぼ何も取って来なかったのです。
なので香川県のオンラインゲーム規制の背景には、そうした規制を求める保護者の要望があったことは容易に想像ができます。

子供は「課金したこと」すら「覚えていない」
大阪府は「本当に不登校とオンラインゲームのプレイ時間に相関性があるか確かめてから云々・・・」という具合で、特に今すぐ規制に走るということはありませんでしたし、大阪は大都会ですから、ある程度はリテラシーの高い親御さんもいるかと思います。ITは本当に都市部と過疎地域の落差が激しい産業でもあるので、地方に行けば行くほど古い環境でシステムが動いております。
こうした現状を前にして「オンラインゲーム規制に反対!」とは言えないわけですね。

だからこそ私自身の課題として「現役世代のリテラシー教育が必要」というものがあるんですね。プログラミング教育義務化の影響もあって、ここ10年以内が重要になるでしょう。遅くとも2035年には一定度のリテラシーを持っていないと、現役世代は若者に淘汰されることが間違いありません。

まぁ本質的に言えば「時間を制限すれば良い」というものでは無いんですけどね。ただ、今の政治を運営する人もまた、ITに対してどう向き合ったら良いかわからないのです。だから目下「プレイ時間を制限する」という道を取りました。まぁスタミナ消費分の課金は抑えられますからね・・・。
オンラインゲームはそれ自体を有害と認識した上でプレイできるリテラシーを要求します。
マナーというのは性善説をベースに考えていますが、ルール(法律や条令)は性悪説に則って考えるものです。
いったい誰を守る為に生まれ、どんな人達が要望してできた規制なのか。そこは一度、思いを馳せた方が良いのかもしれませんね。

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