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建設業で今起きているのは〖人手不足〗ではなく〖建設過剰〗

30歳の時にほんの2ヶ月だけ夢真ホールディングスにいたことがありまして、当時の求人票には「プロジェクトマネジメント」という職種で募集が掛かっていました。
「プロジェクトマネジメント」と聴くとスケールの大きそうな仕事に感じますが、実際の当てがわれる仕事はただの現場監督です。

この会社のやっていることと言うのは現場監督とCADオペレータの派遣なのですが、派遣先はスーパーゼネコンではなく、良くてサブコンです。
まぁイメージとかな~り違かったんで、最初の派遣先である〇〇シヤッターをクビになった後は、そのまま辞めました。
待機期間が長引くことを想定してたんですが、クビにされた翌日には次のアサイン先持ってきたんで、そのまま退職したというわけです。

さて建設業と言えば何かと「人手不足」として名高い業界ですが、この「人手不足」というのも怪しいものかと思っています。
何故なら日本は人口が減少しているからです。建設業の需要と言うのは人口があってのものですから、人口減少の日本に於いて、未来がない仕事の筆頭と言っても過言ではありません。
市場原理がマトモに働けば、建設業の需要は必然的に縮小するはずだからです。

🚧市場原理を無視して大きくなった建設業

ときどき不思議に思うことはありませんか?
日本は人口が減少しているのにマンションを新規建設しているのです。
また、東京オリンピックは元々の国立競技場をそのまま使うため、本来なら世界一金の掛からないオリンピック(猪瀬直樹談)になる筈でした。
ところが実際には旧国立競技場を取り壊し、シン国立競技場・・・違った。新国立競技場を建設したのです。なのに東京オリンピックのテーマに「レガシー(歴史)」を持ってきたのは何の笑い話でしょうか。

新国立競技場建設では若くして過労自殺をした現場監督を出し、本来ならこの時点で「平和の祭典」などと言うロジックは破綻していますから、中止すべき案件でした。
この若くして過労自殺をした現場監督にしても、当初の約束通り「旧国立競技場をそのまま使う」なら、死ななくても良い命でした。

ちなみにリニアの工事でも死亡者は出ておりまして、それが理由で岐阜県の工事はストップされています。
このリニアにしても、人口減少の日本でこの先必要なものではなく、当然採算が取れないことはJR東海もわかってはいるのです。

そもそも日本の建設業界は資本主義モデルで成長したのではなく社会主義モデルで成長した産業です。特に日本は公共工事の多過ぎる国家で、90年代の公共工事で動いた額はアメリカ、カナダ、ブリテン、フランス、ドイツ、イタリアの6か国が束になっても日本1国に勝てなかったのです。
今は90年代と比べてだいぶ公共工事は落ち着いてきていますが、依然として日本は公共工事は多い土建国家です。なんなら西九州新幹線だってある意味で公共工事ですからね。

🏡首都圏でも10軒に1軒は空き家

無駄な工事が多いのは何も公共工事に限った話ではありません。
民間のデベロッパーでも同じことが言えます。
特にマンション建設に関しては、既に必要な時代では無いでしょう。
というのも、日本の住宅は既に9軒に1軒は空き家だからです。
何なら東京23区でも空き家率は10%あります。

既に住宅は供給過剰にあるのですから、この辺は新手の不動産投資詐欺の温床になるかも知れません。先々を見れば今新規建設されている不動産は〖負動産〗になることは明白だからです。
尤も今の不動産デベロッパーは〖走り続けないと死ぬ鼠〗のようなもので、市場原理に沿ったものでは無いのです。

🚇既存インフラの更新に人を割くのみで良い

建設業と言っても内装屋さんや設備屋さんも含めて建設業ですが、内装や設備に関しては今後も需要は落ち込むことは無いでしょう。
今の建設業界というのは本来「前造ったものの維持・更新をすれば足りる」状態なのです。
逆に言うと「本来やるべき設備維持の工事に新規建設によってリソースを取られている状態」とも言えるでしょう。それが「建設業の人手不足」という奴です。

本来の市場原理に則れば、市場が縮小する建設業は内装業や設備業はともかく、新規建設など殆ど必要ない状態にあります。
ところが市場原理を無視してきていて、今や「建設という名の破壊」が進んでおります。
それは将来に対しては大きなツケを遺すことになるでしょうね。
本来、今の建設業に当てはめるべき言葉は〖人手不足〗ではなくて〖建設過剰〗なのです。

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