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地方移住を促すためにも観光力強化は必要かもしれない

下田に行った時に50円で古本を売ってる無人販売のお店がありまして、せっかく50円ならまぁ、買っとくしかないよなと言うことで2冊購入しました。
大半が小説などの文庫本だったのは残念ですが(私は小説の類は読めない)オリンピック前に書かれた「おもてなしの力」をひとまず読み終えたところです。
全般的に「こんなおもてなしが気持ち良かった」と「観光客を受け入れるなら最低限こうあるべき」の2つで構成されてるのですが、実を言うと「おもてなし」って言葉が私、好きじゃ無いんですよね。

🏨あくまで価格相応にやって欲しい

オリンピック前は気持ち悪いくらいに「おもてなし」は至る所で聞こえたと思うのですが、やっぱり「おもてなし」なんて相応の対価を払えない人にはやらない方が良いと思います。つけ上がらせるだけなんで。
それはこの本を読んだからと言って変わる意見ではないですね。
やっぱり日本は高度経済成長期~バブル期で一度豊かな時代を経験してることで、中高年の求める品質(要求)レベルが上がってると言えばそれまでなんでしょうけど、それなりに国内旅行経験は豊富なつもりの私でさえ、一泊5000円とかのホテルに素晴らしい接遇なんて求めないです。
「おもてなし」が欲しいなら相応の対価を払うべきだし、それがホテルなら一泊1万円以上、レストランなら一品2千円以上の金を払うくらうじゃないと、接客サービスに求める「おもてなし」としては割に合わないんじゃないかな。
東北新幹線にはグランクラスがあって、グランクラスには特別な教育を受けたアテンダントが乗車します。グリーン車にだってアテンダントはいるんですよ?
それでもグランクラスに特別なアテンダントが乗車するのは、グランクラスには相応の対価を支払う必要があるからです(でも飛行機のビジネスクラスに比べれば安いんじゃないかな)。
要は東北新幹線は普通車、グリーン車、グランクラスで「おもてなし」のレベルを変えてるわけですが、良い接遇を求めるなら客は相応の対価を払えることは前提にした方が良いでしょう。

🚄一方で移住の第一歩も観光からである

とはいえ、本書に書かれた「おもてなし」の姿は別に接客には限ってないので、トータルに見れば「街全体をどう良くしていくか」的なことも書かれてはいます。
今は京都へ移住した私ですが、移住というのも最初は観光から始まります。
東京一極集中が人口減少の要因の一つであり、国防の観点からも是正をした方が良い以上、UIJターンを促す意味でも観光力を強化するのは悪いことではありません。
ところで、地方移住の中で一番多いのはIターンなんだそうです。

個人的にはUターンが一番多いと思っていたので、これは意外でしたね。
UターンとIターンでは移住の動機はだいぶ違うと思いますが、Iターンに関しては第一歩が観光から始まるのは言うまでも無いと思います。

Iターンを視野に入れた東京生活では、旅行をするために普段は節制することを勧めています。
出来るだけ色んな地域へ行き、気になった地域は数度訪問して行くことで移住後のギャップを減らすことが出来るわけです。
しかもリモートワークの普及によって、転職の伴わない移住も実現可能になって来ているので、観光の重要性は今後上がることはあっても下がることは無いですね。

🌸キャラクター開発は「おもてなし」には有効

私が移住先として京都を選んだのは半分は政情的な要因もありまして、少なくとも都知事選で桜井誠に20万票集まる東京には、ある種の危機感を感じたって言うのはあります。
まぁ東京に関して言うと、23区はあまりリベラルな土地柄ではないです。割と保守的な感じ。

京都地下鉄は赤字解消に向けた取り組みとして「アニメを作ろう」という方向に走りまして、作られたキャラクター『太秦萌』は、ステーションメモリーズとコラボしたデジタルスタンプラリーを数度開催しています。
ステーションメモリーズのデジタルスタンプラリーでは温泉むすめイベントも開催され、今は伊東・下田が開催地となっています。JR西日本とコラボした城崎温泉、南紀白浜イベントなんかもありましたね。
こうしたイベントを期に現地へ訪問することから「現地を知る」ことの第一歩になりますから、キャラクターを用いた「おもてなし」は大事な戦略ではないかと思います。
著者は萌えキャラには関心は無い人でしょうが、ゆるキャラには言及していたので、キャラクター開発の有用性はやっぱあるってことではあります。
沼津市なんかはラブライブ・サンシャインのキャラクターが至るところで見られますし、市民からも愛されるキャラクターとなっていることがわかります。
茨城県の大洗町はガールズ&パンツァーが町の観光資源ともなっているわけで、こうした観光資源を基に、次のステップとしては移住者を呼び込めるかが課題になってくるのではないでしょうか。

南紀白浜はスーパーシティ案件が集まっていることから、以前よりIT関係者の移住はありましたが、リモートワーク普及によって転職を伴わない移住も可能になると、観光の重要性はますます上がります。
転職するにしても最終面接以外はリモートで(場合によっては最終面接も)行ってくれる企業は増えたんで、地方移住のハードルは下がったと言えるでしょう。
本書は東京オリンピック前に書かれていたので、いわゆるオリンピックに向けての本なのですが(当の東京オリンピックは無観客開催だけど)、今後は東京一極集中是正の観点からも、観光に力を入れる必要は出るでしょう。
結局のところ、移住の一歩は観光からですから。

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