見出し画像

「#介護に生産性を求めないで」なら行き先は破滅だが…よろしい?

昔働いてたコールセンターの先輩は「介護受けるようになる前に逝きたい」などと言っていたものです。
まぁ足腰立たなくなって、自分の後始末を自分でできなくなるなんて言うのは、神様が人間にお与えになった試練かなにかでしょうかね。
赤ん坊は自分で自分の後始末を出来ないわけですが、老人になったらそこに立ち返らされるわけであります。その前段階には認知症という天罰が待ってるわけですが、私など独身ですから、認知症になった段階で人生終了かなと思っとります。
さて、身寄りのある人なら認知症になって移行は、いよいよ介護を受ける段階に入るわけですが、先日「#介護に生産性を求めないで」というタグでツイデモが行われておりました。
なんかTwitter政治アカウントって妙に『生産性』って言葉にアレルギー反応示す大人が多くないですか?
ハッキリ言って『生産性』という言葉に大人が拒絶反応示すのはみっともない以外の何者でもないのですが、今、介護業界ほど生産性を上げないといけない業界って無いですよ。
だってそうでしょう?
これから更に老人が増えてくんです。
「働き手は減るのに老人(客)は増える」んです。
なんなら、いま介護士やってる人さえ15年もすれば介護を受ける側に回ります。少子化は更に進んでいるので1人で4人どころじゃないです。恐らく15年後には1人で7人は見れないとサービスの供給は出来ないでしょう。

💸成り手は少ない平均年齢は高い

いま介護職に就いてない人に聞いてみたいですが、介護の仕事って「やってみたい!」と思います?
たぶん8~9割は「やりたくない」と答えると思います。
みんな口には出さないだけで大なり小なり介護職を賤業として認識しているのではないでしょうか。
実際問題、キャリアの墓場と化してるんですよ、介護職って。
本来なら高いホスピタリティが求められ、ともすれば保育士同様「専門的な知識とスキルが必要」な仕事なのですが、保育士はこれから発達していく人間の世話をするのに対して、介護士はこれから落ちぶれてく人間の世話をするわけですからね。だから当然、やりたい人なんかあまりいない。

画像1

まぁ実際、介護に関する世間一般の認識ってコレに尽きるんですよね。
こうした意識から当然、成り手なんか少なくてですね、掃除のオバちゃんよろしく、年齢が高くて他で通用しない人間が最後の生活手段として介護職に行きつくという、そういう事態が起こります。
給料だって安いし、若い人には「絶対止めとけ!」としか言えないよね。

💱中小事業者が多過ぎる⇨IT投資も進まない

デービッド・アトキンソン氏は「日本人の給料が上がらないのは中小企業が多過ぎるから」と言って、偉い反発を受けたことがあります。
ところがですね、介護事業者の場合、まんまその現象が当てはまるのです。
参考までに横浜市だけで1470事業者もおり、ライオンズマンションを本拠地として登録してる事業者もあります。ハッキリ言って異常です。
1470事業者(事業所ではなく事業者であることが重要)存在するということは、その事業者の数だけ間接部門が存在することになります。
もちろん「横浜と川崎と相模原で事業やってます」という事業者もあるにしても、介護は売上1000億円規模の会社は日本で1つしかないんで、純粋に事業者数は多いわけです。
介護関連の間接業務で大きな負担となるものに、国保連への請求業務がありまして、毎月1日~10日の間に国保連へ介護保険に掛かる料金の請求をしなければなりません。ケアマネさんが作る様式第七と、事業者が作る他様式の明細を照らし合わせ、ケアプラン通りにサービスが提供されているかがチェックされるわけですが、零細事業者なんかは間接部門を持てず、現場の人間が請求業務もやるなんて話は耳にしております。
まぁそういう事業者っていつも9日や10日ギリギリになって提出しています。つか、実際ギリギリに出す事業者ホント多い。医療と違って介護は自己負担1割しかありませんからね(せめて自己負担を5割くらいに上げるべきかと思いますが)。1ヶ月支払い遅れると事業の存続に関わります。
ただねぇ、例えば横浜の1470事業者を300事業者まで統合出来れば、請求業務はだいぶ円滑に行くと思いますけどね。間接部門をまとめることができるので、その分の効率化って言うのは為されるわけですよ。

💻ハッキリ言って介護業界のITリテラシーは"最悪"です

仕事で介護業界の人間と関わると実感しますが、介護ほどIT化が進んでない業界もなかなか無いです。
「は、お前、個人情報入れたUSB暗号化しないの?」
こんな事業者ザラにあります。
例えばSONYのUSBでは『LBファイルロック』という暗号化ソフトが入ったモデルがありますが、こんなん誰も使えませんって事業者はいくらでもあるってことです。
PC嫌いな人間も多くいるし、IT機器を入れても「誰も指導できない」とか「そもそもIT投資自体出来ない」って事業者あり過ぎて困っちゃうの。
当然、生産性なんか上がりません。

少なくとも「日本人の人口」という点では今後も減少が続きます。少子高齢化を止める術は存在しないからです。
となれば、対策としてはIT化を進めて1人当たりがサービスを提供できる人数を増やすか移民を受け入れて介護職に就きまくってもらうか以外に対策は無いです。人出が不足してるのは介護だけじゃないんで・・・。
ただ、生産性を上げるには中小事業者の7割は潰さないと無理でしょう。

🏭生産性を上げなくて良い仕事なんか無い

だいたいねぇ、生産性上げなくて良い仕事なんか無いんですよ。PCR検査だって去年の内に効率化されています。
すかいらーくはタブレット注文、一部店舗でのセルフレジ導入などでウェイトレスの負担を減らし、リソースは調理に割くように整えてます。
タクシーはスマホで呼べるようになり、松屋は食券購入した瞬間に調理スタッフへ情報が送信される仕組みになりました。
システム開発じゃライブラリやフレームワークを使うことでコード記述量を減らしていますし、利用部門だってCRMやらSaaS型サービスを使うことで、Excel管理より業務を効率化してるわけです。
介護だから生産性を上げなくて良いなんて理由は全くないし、寧ろ介護こそ今生産性を上げないと後が大変な業界です。
勿論「現状維持が一番だ!」と言うのなら、それでも結構だと思います。
ただし、その先に待つのは緩やかな破滅です。破滅がお好きなら現状維持をすればよろしいこと。ただそれだけのことだと思いますよ。

ご一読ありがとうございます。お読みいただいた記事がもし無料、あるいは価格以上の価値があると思ったら、フォローならびに、サポートいただけますと幸いです。