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辞めたいのに辞められないのは辞められない仕組みがあるから

私の職場で鬱病を起因とした退職者が出てしまい、送別会が行われることとなったものの、当の送られる本人はとても送別される心の余裕は無いんじゃないかなと思ったりします。

何しろ症状からの回復をしないといけませんし、身体が回復しても次は職を探さねばなりません。
本来なら病める前に辞められるのが一番良かったのかと思いますが、それがなかなかできないのが日本人の実情です。

「嫌なら辞めろ」が出来ないことを、多くの人は自己責任として考えるでしょうし、実際、自己責任という面は当然あります。
結局は自分の人生ですから、落としどころと言うのは自分で決めるしかありません。
しかし、現実としては決断できぬまま月日だけが経ち、手遅れになって辞職ならぬ自殺に結び付くのが少なからず起こること。
だから戦争でもないのに日本では毎年3万人近くが自殺します。

過労自殺に関して言うと40代と50代がダントツに多いようで、これも決して偶然ではございません。
何かしらの理由があってこうなります。
特にこの年齢帯は管理職が多く在籍する年齢帯であり、加齢によって体力や精神力(メンタル)は衰えるのに仕事は増え、かつ家庭でも子供の学費や家のローンを抱えるため、結構「生きてるだけでシンドイ」状態になりやすいです。

こうした要因から40代~50代は過労自殺年齢帯(ゾーン)と言っても過言ではなく、思秋期の到来も相まって、人生でも最大の危機に直面し得る状態です。

自分自身、現職で上司を見て「この働き方は絶対続かへん」と、入社1年目の段階で気付いておりました。


🗾病むまで辞められない仕組みがある

さて、いったい何故労働者は病むまで辞められないのでしょうか。
自殺するような状態になると判断力が鈍っているというのは知られているところですが、今回はその前の段階の話です。

病んだら判断力が鈍るのなら、病む前に辞めれば良い。
辞めるの自由、嫌なら転職すれば良いだけ。
これはある意味では真なのですが、ある視点から見ると偽になります。

と言うのも、実は辞める自由がある人というのは「いつでも人質を会社に差し出せる人間がいる人若くてスキルがある人だけ」なのです。
つまるところ「辞めたくても簡単に辞めれない仕組み」が日本には存在します。

ちなみにその仕組みは日本だけでなく、ブリテンやフランス等、一部の欧州にもあるようで、まぁ欧州は日本並みに会社員の1社あたりの在籍期間が長いです。
その仕組みと言うのは大きく2つあります。

1:身元保証人
2:年齢によるステージの変化(でもリーダーになれるのは一部)

では順に見て行きましょう。

📄転職の自由度を奪う身元保証人制度

私が最初に町工場で正社員になった時は身元保証人なんて求められなかったですが、まぁ高卒就職ってある意味、高校の後ろ盾があったんでしょうね。

今はだいたいの会社(少なくともホワイトカラー系)が身元保証人を求めるようになりまして、身元保証人がいないから就職できないなんてことも全然あり得ます

そして身元保証人ってだいたい親兄弟に頼むと思いますが、短期で離職すると「身元保証人になった人に泥を塗るようで申し訳ない」という心理が働くのです。
つまるところ、身元保証人と言うのは単に会社の人身御供となるだけでなくて、労働者の離職防止装置としても機能しているのです。

そして40~50代になると、いよいよ親が死ぬようになってきます。
60代になっても親がまだ生きている人は比較的運が良い方か、或いは両親が若くして結婚したかのどちらかです。
はい、もう身元保証人になれる人いませんね。
じゃあどうしますか?
現職に残るしかありません。

🔰リーダー経験なんて大半は積めない

次に年齢帯による「求められる役割の変化」ですが、40~50代は転職でもリーダー経験が求められるようになってきます。
ところがですね、主任になれるのでさえ(会社にもよりますが)5人に1人程度です。
課長なんて10~30人に1人程度ですから狭き門(ただ近年は出世したくない人も多いけど)です。
なので40代~50代になると、簡単に今いる会社から出られなくなっていきます。
現世に逃げ場がないのですから、あの世に逃げるしかないというわけです。
追い詰められていきますよね、なんか・・・。

💠廃止できんか身元保証人制度…

身元保証人の制度自体は江戸時代からあったそうで、家を借りる時の礼金って言うのは今日でいうと、大家さんが就職時の身元保証人を引き受けてくれるお礼の金らしいんですね。

関西では今も礼金を取る物件がありますが、残念ながら身元保証人は引き受けてはくれないです。
礼金の役割が変化しましたからね。

しかし、身元保証人制度、そもそも残す必要あるんですかね?
日本人だけでは人手が足りない時代がやってきます(今そうなってる)
さすがに外国人に身元保証人を求めるのは厳しいんじゃないでしょうか。
せめて身元保証人制度がなくなるだけでも、自由に転職できて病めるまで辞めない人も少なくなると思いますが、皆さんいかが思われますか?



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