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240718クールミントは程遠い

ちょうど1年前(くらい)の夕刻。自宅マンションを出た目の前で、高齢の方が座り込んでいた。熱中症だと思われたので救急車を呼んだ。

そして今日の夕刻。買い物から帰ると、まったく同じ場所でまた高齢の方が座り込んでいた。

そんな偶然あるかねを思いつつ、声をかける。ほぼしゃべれない。顔色が頗る悪い。服が湿っているのがわかるくらい汗をかいている。

どう見ても熱中症だ。

119である。

119、119、119、119、119……….

全然電話がつながらない。すごい。今日の都内は15時時点で20人以上が熱中症で搬送されていたらしい。そういえば1年前もつながりにくかった。

何か飲み物とか持ってなかったっけと自分のカバンを見る。4合瓶の焼酎が1本。そうでした私はさっき酒屋に行ったのでした。さすがに病人へクールミントグリーンを差し出すほどセメントは狂っていないし、クールミントグリーンは自分で飲みたくて買っているのでこれは後日美味しくいただきます。ペンギンの絵かわいいよね

帰宅時間帯なので人がモリモリ通り過ぎていく。チラリと見て去られると逆に心細くなる。今思えば、心細いなあとか思っている時点でまあまあ余裕あるな自分。

1度通りすぎたものの何度も振り返ってこちらを見ている人がいたので、目で合図。駆け寄ってきてくれた。

一旦場を代わってもらい、自宅へ。そう、だって目の前だからね。保冷剤と、タオルと、お水を持って非常階段を駆け下りる。もちろん焼酎は置いてから出た。

119、119、119、119、119……….

3回かけ直してつながった。

住所、病人の性別や年齢、様子を伝える。最後に自分の名前と電話番号も言う。

セメントは人生で何度も救急車を呼んだことがあるのに、毎回住所を聞かれて「えっと〜〜〜」となってしまう。自宅の真ん前なのになってしまった。とっさに見える理容室に走っていって店名を確認した。今思えば普通にマンション名を言えばよかった。

ちなみに大抵の自販機は住所が書いてあるのでそれを見るとよい。全く知らない場所で救急車を呼ぶことがあったときは参考にしてください。

電話しながら保冷剤を脇に挟む。首にも当てる。焼酎、ではなくお水を飲んでもらう。救急車は立て込んでいるので中々行けないかもしれないと言っていた。やはり多いのだなぁ。

電話をしている間、通りがかった方はずっとついてくれていて、顔色の悪い相手に話しかけ続けてくれていた。励ましている。気持ちのクールダウンは要る。

セメントにその発想はなかった。救急車の要請、お水を摂ってもらうこと、身体の冷やす位置、とるべき体勢。全部できた。でも肝心の、本人の気分をすっ飛ばしていた。

ワイ、訓練でマネキンにやるようなことしかできないねんな……。

別に落ち込んではいない。形から入るタイプなので。教科書通りの対応ができただけでもまずははなまるですけど?

そこからは早かった。救急隊の人が来て、ご家族も来て、淡々と対応して終わった。結局最後まで付き添ってくれた通りがかりさんと健闘を称え合ってわかれる。介護施設でのボランティア経験があるらしい。さすがのコミュニケーションだった。

そのまま家に入ってもよかったが、気が変わったので近所のスーパーに行ってメロンとチェリーとでっかいトマトを買った。冷やして食べる。自分も労うことにする。




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