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せやかて新大阪行くのってどっちですのん

大阪出張に行った。10年ぶりくらいの大阪である。仕事で行くことも少なく、友人も住んでなく、行く機会がないまま10年経ってしまった大阪。新大阪に降り立っていきなり、エスカレーターに乗る位置が逆だったのでびっくりして目が覚めた。

右かよ!!!

とはいえセメントが旅行(今回は出張だけど)で好きなのはこういう場面である。有名観光地とかは、正直そんなに興味がない。通天閣を見ても、東京タワーを見ても、松島を見ても、角島を見ても、ビッグ・ベンを見ても、全部感想が同じだった。

教科書/ガイドブック/ネット で見たやつとおんなじだ!!!

個人的には、知ってるものの確認作業のような気持ちになってしまって、そのよさがイマイチわかっていない。だからこそ、「おんなじだ〜!」より「うわ本当にそうなんかい!」くらいの方が正直テンションがあがる。

イギリスが本当に22時くらいまで明るいとかそういう方が好き。きっと自分は北海道とかに行ったら「本当に寒いのかよ!」って言いながら2時間くらい笑えると思う。

だからこそ大阪でみんながエスカレーターの右側にいるのはすごく知らない場所に行った感があっていい。ただただ新幹線に乗って、セメント自身はそんなに移動してないのに。なんなら駅から駅への移動だから、パッと見はほぼ変わってないのに。でも、エスカレーターの人を見て、違う場所だとわかる。異世界に行ったみたいだ。新幹線ってどこでもドアなのか。

さて今回の大阪でも、10年前と同じミスをした。難波駅となんば駅を間違えたのだ。書き方からわかってほしい。なんなら今でも何を間違えたのかわかっていない。成長がない。

とにかく「なんば」と音は同じ駅を間違えた。ふたつは全然違う場所にあって、歩くと10分以上ある。

10年前のセメントは、ブラック企業に勤めていて、何もかもが限界で、その日も大阪から急いで帰って大事な打ち合わせに出なければならないタイミングで迷ってしまった。なんば。どこ。

新幹線に乗り遅れたら打ち合わせに出られない。自分のミスなのだが、そのときは一気にいっそこの世のすべてが敵な気がしてきて泣けてきてしまった。

いい歳をして知らない地で迷子になるのは恥ずかしいが(しかもいい大人が泣いている)、そんな私を見かねたのか、道を聞いたお兄さんはとても丁寧に対応してくれた。きちんと説明しつつ、近くまで一緒に行きますよと言ってくれる。

もうこのまま私と一緒に逃げてくれませんか。

そんなことを言ってしまいたかったが、責任感が勝った。ちゃんと打ち合わせに出るべく新幹線に乗った。あのとき知らないお兄さんの優しさに触れなかったら東京に帰った私は逆に打ち合わせをぶっちくらいしていたかもしれない。

結局ブラック企業は辞めたし、セメントは未だ大阪を知らないので道に迷っていた。でも、今はGoogle Mapを使って、自分の力と自分の足で正しい駅まで向かうことができる。10年で得たひとつの成長である。

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