叢(くさむら)の命に気づけば、解像する世界。
「きれいな チョウチョ」がヤマトシジミだと知る。蜜蜂にはセイヨウミツバチとニホンミツバチがいると知る。早朝のマンションに響く美しい囀りはイソヒヨの声だと知る。一度気づくと、ありふれた景色が少しクリアに見える気がします。
春、静岡のまちなかにも色んな生き物が次々と現れています。最近出会った身近な生き物をご紹介させてください。きっとあなたの周りにもいるはず。叢に目をやるだけで、日常が少しだけ色濃くなるかも。
徒歩10分の世界
3月上旬、近所の公園を散歩すると、シジミチョウたちが出迎えてくれます。ひざ下くらいの低空飛行で飛んでは止まりを繰り返す、青い宝石。
3月下旬になると、桜が咲きます。少し早めに家を出て、公園に寄って花を撮る。
満開のソメイヨシノをみると幸せな気持ちになりますよね。桜を探しながら歩いていると、ソメイヨシノ以外のサクラもけっこう見つかります。
自転車で30分の世界
4月になると、繁忙期を越えて少し遠出をできるようになりました。お昼ご飯を食べてから、家から自転車で30分、麻機遊水地へ。冬の間はよく小鳥を撮りに来ていましたが、春になって新芽がでてきて、鳥より虫の観察がしやすくなりました。
菜の花の周りにはミツバチたちの羽音がよく響いています。
草むらにしゃがむと様々な虫たち。
冬の間は様々なカモ類(冬鳥)でにぎわっていた池ですが、彼らは北へ帰り、すこし寂しくなりました。でも、ちゃんといつものメンバー(留鳥)がいます。
少し移動して、またしゃがみ込む。
麻機遊水池は木道が整備されているので歩きやすい。
木道を進むと、黒い影が目の高さを高速で横切る。最初はトンボかな?と思ったほど力強い飛び方。少し先の木道にとまったのをみると、チョウだった。高速飛翔が特徴らしい。
たまに通りすがりの方に「何撮ってるの?」と聞かれるので、正直に「虫」と回答すると、不思議な顔をされます。ありふれた虫でも、それぞれ姿かたちが個性的で被写体としてすごく面白いのだけどなぁ。
バスで30分の世界
別の日には、手軽に木立の下を歩きたくなり、昼過ぎにバスに揺られて30分、有度山へ。静岡市の街中より南下、海にほど近くそびえる丘陵で、中腹にはふじのくに地球環境史ミュージアムがある。館内の「図鑑カフェ」は、駿河湾を眺めながらたくさんの図鑑も読めて、素晴らしい空間。
先にカフェで小腹を満たしてから出発。タンポポに照らされた明るい春の小道を抜け、小鹿の森公園に向かう。
この先に、展望所があるらしいので、少し重たいけれど、望遠レンズを持ちながら坂道を登る。湿った場所ではタゴガエルの鳴き声が響いています。犬が鼻を鳴らしたような変わった鳴き声でした。
30分ほど登り詰めると、開けた場所にベンチがありました。ここが有度山展望所みたい。
空の色もオレンジがかっていて、そろそろ夕方のようなので帰ります。
公園まで戻ると、まだまだ蝶が飛んでいました。ほんとに暖かくなったなぁ。
静岡は街中から30分圏内の環境が多様です。海、山、川とそして住宅街や都心、全てがぎゅっと集まっている。だからこそ色んな生き物がたくさん住んでいて、まだまだ知らない生き物ばかりです。身近な自然の新しい姿に気づくたび、足元にすら自分の知らない世界が広がっていることに感動します。私の写真は、そんな叢の出会いの記録。
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生き物の写真はこちらでも紹介しているので、よければ。
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