韓国のお正月は嫁を憂鬱にするイベント
今年も旧正月の連休が終わりました。
中国文化の影響が大きい韓国では、現代でも西暦の新年より旧暦の新年が一大イベントです。
日本もそうですが、お正月やお盆は故郷への大移動で各交通機関が混雑するのが恒例です。
長時間の移動だけでも疲れると思いますが、韓国のお嫁さんたちには到着後それを上回る苦労が待っています。
それはチェサ(祭祀)と呼ばれる、先祖を祭る儀式に供えるための料理の準備です。
日本の仏壇のお供え物のような簡単なものではなく、大きなチェササン(専用の食卓)いっぱいに食べ物を並べます。
新年にそれをご先祖様に捧げた後、集まった家族がテーブルを囲み食事をしながら団らんするのです。
家にもよりますが滞在はお正月の間続き、その間の食事の準備と後片付けはほぼ嫁の仕事になります。
韓国は近代化されたのが日本よりも遅かったため、家族の形態が日本とはひと世代違います。
日本の戦前生まれの高齢者世代は兄弟の多い人がほとんどだと思いますが、その子供世代からは兄弟2人前後が中心になっていきます。
韓国ではそうなったのが日本よりひと世代後なので、今でも家族が集まるとかなりの大人数になる家が多いのです。
嫁の立場である姉妹たちもひと通り役目を果たすと実家にやって来ますし、挨拶のために訪れる親戚や来客もあります。
韓国のお嫁さんたちは帰省の疲れもそこそこに、大量の料理の支度に取り掛かります。
特に長男のお嫁さんがその重責を担うことになります。
日本では夫の実家に行けば、姑を差し置いて嫁が台所仕事に手出ししたりはせず、お手伝いするぐらいでしょう。
韓国では台所の主人である姑ではなく、訪ねて来た嫁が主体となって台所仕事をするのが一般的です。
姑によって指図だけしたり一緒に作ったりもしますが、自分の台所を勝手がよく分からない嫁に任せてしまう所に文化の違いを感じます。
また韓国では日本に比べて義理の姉妹に対する嫁の立場が弱いのが特徴です。というより一族の中で嫁は最下層なのが社会的な通念です。
韓国ドラマなどで、義理の姉妹が「水持って来て」などと兄や弟の嫁を使う場面が時々出てきますが、そのことが韓国の嫁の地位を物語っています。
お正月に大人数の食事の支度と後片付けを担うのは本来嫁の役目ですが、最近は早々に自分の実家に行ったり、夫だけ送り自分は義実家に行かないお嫁さんも増えています。
フェミニズムやジェンダー意識の台頭もあって、嫁だけが負担を強いられるのは不当だという認識が広まったためでしょう。
以前からキリスト教信者でチェサを行わない家庭等もありましたが、コロナの影響でチェサを縮小したり取り止める一般の家庭も増えて来ました。
昔より状況は良くなっているのでしょうが、韓国はまだまだ嫁の苦労が多い社会だと思います。