見出し画像

秋とハンマー。

こんばんは。

随分と日が落ちるのが早くなった様な気がします。

秋、、、と言えば定番の読書。なんで読書の秋なんて言うんだろう。。。

今更ながらそんなことを思いつつもやっぱり読書をしたくなるのがこの季節。

田舎育ちの僕は縁側で月明かりをたよりに本を読んでいた記憶があります。

思い出してから気づいたのですが、心なしか大阪よりも地元の月の方が明るい気がする。

日が沈み、薄暗いなかで電気をつけにいくのが面倒なくらい物語に没頭して。

のめり込むと本と本の隙間に入っていけるのではなんて思ったりして。

柔らかい洋紙と活字の黒の世界へ。

そんな没入感が好きで本を読んでるのかもしれません。脳内がクリアで不純なものが一切なくなる。


僕にとって本とは処方箋の様な存在です。


何か調子が悪い時。
その原因がわからない時。
本の中に潜ると、必ずではないですが
倦怠感がスッと引いていくことも。

だから、処方箋?よりは点滴かな。体感的には酸素カプセルが近いんだけど。
隅々まで酸素が身体を駆け巡り回復していく感じが、、、。


また前振りが長くなりましたがただオススメの本を紹介しても面白味に欠けるので。久しぶりに物語の世界に没頭できた小説の一説をご紹介したいと思います。


「美しいものを前にしても、立ち尽くすことしかできない。木も山も季節も、そのままに留めておくことはできないし、自分がそこに加わることもできない。だけど、あれを、美しいと呼ぶことを知った。」

—『羊と鋼の森 (文春文庫)』宮下 奈都著
https://a.co/2aCIBEg



あぁ、なんて美しい日本語なのだろうか。抽象的なのに正確。この小説の全てを表しているかの様な印象的な一説。


全体的にシェイクスピア的な悲壮感も漂っているこの作品ですが、物語はちゃんと希望に向かって進んでいきます。

読んでいて全く苦にならず最後までたどり着きました。

僕は自分の話す、言葉が苦手で。

正確には自分の仕草や発言では。文章では自分の考えていることを100%相手に伝えることが出来ないのを十分、承知していて。


口下手、、、というのが1番的を射ているといえば良いでしょうか。


もっと洋服が似合ったら、、、もっと上手く話せたら。


洋服が似合えば、それだけで。一目で惹きつけることも出来ますし。

拙い言葉を並べるよりも。

そうすれば、よりファッションの魅力を。

洋服の力をと歯がゆい思いを何度もしてきました。


他人を羨み手に入らないものに近づきたい。執着してしまうのが人間なのだと痛感したことがあります。


ただ、それよりも、美しいものを美しいと言える。純粋にファッションとか洋服とか面白いものが好きなんだと。そう思えること。それが自分の大きな武器だと実感してからは手に入らないものにこだわりを持つことはなくなりました。


別にオブザーバーでよくない?ってね。


そこに加わることは出来ない。


作り手ではない。表現者でもない。


【美しさ】というなにか確かなものがあるとするならば僕はそれを構成する成分に含まれていない。


僕はオブザーバーであると。すぐに自分に置き換えてしまう。それも悪い癖なのですがそんなことを思いながらも楽しく読めました。


さて思いのほか長くなったので続きは後編で。笑


澤浦



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?