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『幻水』を好きになったおかげで、わたしは人生を再スタートできた

「ボスが強くてストーリーが進まないの!シハ、代わりにやって!」

当時、高校生。仲良しのYさんに頼まれて、過去に3回ゲームで徹夜したことがあります。翌日が登校日だろうがお構いなく。

彼女が持ってきたソフトのうち1本はこれ、『幻想水滸伝Ⅱ』。略して幻水2。タイトルを初めて見る人にいきなり2作目を持って来るとか、正気の沙汰ではありません。

システムもストーリーも何もわからない状態で、いきなり中盤のボス戦。ゲームを愛する人間全員、ゲームの達人だと思ったら大間違いです(しかし、任されたからには全力で頑張ります…!)

【豆知識】幻想水滸伝とは?

現在もKONAMIがファンの心を 弄 ん で い る 、じゃないや、捕えて飼い殺しにしている大人気シリーズ。の、ひとつ。
中国の四大奇書『水滸伝』のファンタジー版。仲間にできる数は108。
主人公が任される軍の名前や本拠地の名前を自由に決めれる部分も、話を進める上でのお楽しみ要素となっている。

ナンバリングは1~5まで発売済み。『ティアクライス』と『紡がれし』以外、歴史は繋がっているが、どのナンバリングから遊んでも1本で話は完結するため、どの順番から遊んでもストーリーへの理解に支障がない。

RPGにしては、幻水2はかなり初心者向きで易しい。


最初は、幻水2に不満がなかったわけではありません。『ファイナルファンタジー7』より見た目が子どもっぽいザコ敵がちょこちょこ登場し、ポリゴンで動くのが流行っている時代にドットは古いと感じたからです。

けれど、頼まれたボス戦攻略のために一晩だけ触ってみて、まぁ悪くはないなと感じ(何様)、ストーリーの前後が気になってBEST版を買いました。


やがて、色眼鏡でゲームを見ていたことに気づきます。
子どもっぽいから、古いから、バトルシステムもシナリオも何もかも悪いのかと言ったら、全然そんなことはありませんでした。
キャラクターの感情表現や体の動き、あたたかみの点では、現在もドットは優れています。


幻水2は、私のゲームへの見方を変えた、初めての作品になりました。
1番影響を受けたのはシナリオと演出です。どれだけ素晴らしいかを語り始めたら長文になるので、今回は割愛致しますね。



【その後】

クリア後は初代の無印を買いました。キャラクターデザインは別の人です。そこも幻水の魅力。

下記はセガサターン版のOP映像。プレステ版とではOP映像の内容が違うんです。
セガサターンを持っていなかった私はゲーム雑誌の付録で初めて観た、こちらのバージョンが大好きです♪


初代はレベル上げと戦争イベントの判断で苦労しましたので、10周もクリアしていません。2は余裕で10周超えてます。クリアにかかる時間が、最短で20時間あるなし。仲間を全員集めなかったら、もっと早いかもしれません。

(短時間でクリアできるゲームが面白い?)
私には意外でした。

良く言えば、昔のゲームは

長時間遊べる=やり込み要素が多い=面白いゲーム

だったのではないかと思います。印象としては。
実際に魅力的なゲームは多かったですから、否定はしません。

近年のゲームは時間を作り難い人や飽きやすい人も遊べるよう、短時間設定が多い気がします。現代の若い世代では当たり前でも、昔はやり込み要素を含めて1周クリアに70時間かかるのはザラだったんですよ(^^)



【そして、ついにやっちゃいます】


幻水にハマり過ぎて同人誌に手が伸び、友達から地元で開催している即売会なるものを教わってからが、まぁ大変。

当時、分厚い同人雑誌のジュニアに載っていた文通友達募集の欄を見て手紙を送り、県外の人をメインに趣味友を作りました。即売会で配布しているペーパーの中にも気が合いそうな人がいたら、それまた送るという。


いつしか自分もサークル活動してみたい!と思い、個人サークルを作ってコピー本を販売。スケブを受付(※お客様からスケッチブックを受け取り、直筆でイラストを描く)。
コスプレして参加したときは、ほかのコスプレイヤーさんが集合記念撮影に誘ってくださったりと、楽しかったですねぇ~~。

県内外にお友達ができ、高校生活は幻水の同人によって、バラ色へと生まれ変わったのです。何時間、電話で萌えを語り合ったことかw


あっ、そうそう!
RPGではない外伝も最高でした!

幻水初、OPがアニメ映像。外伝2は入手困難につき、買えませんでした。

このときの主人公が、3に仲間として登場するんです!ハシャぎました。

買ったといえば、幻水のために攻略本を買い、

小説版を買い、

カレンダーも買い、

ファンブックの幻想真書も買い。

ファイナルファンタジー7以来の散財でした。オタク街道まっしぐら!


ーーここで終わる私ではありません。


次に、ネットでなりきりチャットの存在を知って参加しました。キャラクターになりきり、チャットや掲示板で言葉を交わし合うのです。


やがて、大きな転機がやってきました。

"高校卒業後の進路"です。

高校3年目に突入しても、相変わらず幻水が大好き。しかし、進路次第では同人活動もなりきりもいずれは卒業だな、と思いました。小さい頃から、やりたい仕事をすることが夢だったのです。

(中学生時代に憧れた声優への夢を、今こそ叶えるチャンス!)

選ばれた人のみ東京ゲームショーに生徒作品として出せる日本電子専門学校のゲーム科も魅力的でしたが、これを逃すと次がないのでは?と迷った私は、代々木アニメーション学院を希望欄に書きました。


高校3年目の夏は予定通り、大阪の代アニで体験入学を終え、翌々日は梅田で開催する、なりきりチャットのメンバーが数名集うオフ会に参加。

未来は明るい♪

と、思っていました。るんるん気分で。



某日。祖母の知り合いからこんな言葉が。

「本当にそれでいいの?」

私は「はい!バッチリです!」と、なぜか自信を持って返事をすることができず、その日のうちに代アニへの進路を急遽変更し、大阪にある別の専門学校のゲーム科に決めました。とんだ親泣かせです。

(通い始めてから知った話、その学校、代アニの近所でした。学校の前を通るとき、めちゃくちゃ気まずい思いをしたです笑)


そして、いよいよ始まったひとり暮らし。

遊びました、幻水3!(^^*)←ゲームだけは卒業できなかった

時間は決めて遊びました。学業が1番ですからね。

平日の朝は早めに起きてゲームを遊び、同期生よりなるべく早めに登校。放課後は学校の門が閉じるまで自主的に勉強を頑張った結果、講師からどこの会社に就職したい?と訊かれた際に「アトラスかKONAMI」と答えたところ、中小企業は確実、頑張ればスクウェアや任天堂にも入れるよとお墨付きをいただけました。※今は絶対ムリ。


今度こそ未来は明るい♪
と思っていました。誤算が生じます。


鬱です。躁鬱。

・評価されても満足ができない。

・チームのメンバーや講師の期待に応えたい。でも、とある事情で応えられないと分かり、人に言えず、悩み続けた。

・同期生の中でひとりだけ女というコンプレックス。

・入学後、初っ端から受けた嫌味。妬み。

・街中を歩いてると知らない男性に声をかけられ、断るも知らない人に対して怖くなる。

・人にどう思われているかプレッシャーだった。

真面目すぎたのです。
水曜日は残れず、ほかの平日は夜の20時まで学校で勉強。帰りにスーパーへ寄り、家に着くのが21時。それも徒歩。
ごはんを作ってたべたあとはシャワーをしたり、課題をしたり、ゲームをしたり。就寝時刻は24時でした。起きるのは朝の4時です。

日によっては同期生に誘われて放課後はカラオケに食事に、電車に乗って泊まりに行ってました。逆に来た日もあります。ゲーム会社に就職したらコミュニケーション能力も大事ですけん、今のうちから合わせておけるようにと思ったんです。未成年でありながらお酒の付き合いもしました。無理してたんですね。


上記の悩みとは別に、ひとり暮らしを始めて間もない頃から、住んでいるアパートの玄関のドアを叩かれることがありました。
恐怖で誰なのか確かめることができず、同期生に尋ねるも心当たりはなく。
電話で親に話すと「中退して帰ってくる?」と訊かれ、帰れば惨めだと思って我慢しました。


10月か……11月だったかな、ついに体調を崩し、学校側に治るまで休むと連絡。実家で療養すべく地元へ。
祖母の部屋を借りて眠っていたら電話が鳴り、家族は仕事に出ていていないからと起き上がって受話器を取ったら

学院長でした。「学校へはいつ来れる?」。


ココロはますます、プレッシャーで押し潰されました。


学校に休学届けを提出。大阪へ戻り、バイトの面接を受けようにもドロップアウトしたことで外へ出るのが怖いのと、外見にコンプレックスを感じて引きこもり状態に。加えて、外へ出なくても、ドアを叩く音は度々訪れる日々。

ドアを叩かれる日の間隔が短くなり、命の危険を察知した私は親に連絡。翌日まで待つことができず、自宅へ戻りました。11月の末でした。
アパートから出るときは「大阪駅へ向かっている途中、突然殺されるのではないか」と想像するほどの恐怖だったこと、今も覚えています。

戻って正解でした。母曰く、私が大阪不在のあいだに、アパート内で殺人事件が起きていたとのことでした。


年内のうちにアパートを退去。実家暮らしをするも病気は治らず。母の実家で下宿をしてみましたが、祖父母と仲がこじれて飛び出し、翌日に大阪で見知らぬ男性に絡まれ。色々ありました。


治したくても精神科へ行くことは体裁で許されず、元の自分に戻るための一環として、
外を走る。
励みになる歌詞が特徴の歌を聴く。
セラピストさんのブログを読む。
自己啓発の本を読む。
瞑想する。
他人ともう一度コミュニケーションをとれるようにしたくて、別ジャンルのなりきりチャットに参加する。

名前変換小説(夢小説とも呼ばれる)を扱う個人サイトの運営も始めました。ジャンルは幻水です

過去に好きだったものと触れることで、元気だった頃の自分へ還れるのではないかと思ったのです。



予想通りでした。
立ち直るためのスタートラインに選んだ幻水のおかげで、同じく幻水を好きな人たちに出会い、文字とイラストで交流でき、数年も経たないうちに勇気と元気と自信をたくさん取り戻せました。



助けられました。

現実が順調良く軌道に乗り、完全にサイトを閉鎖。交流があった人とはTwitterで再会しました。今も繋がってくださっていることに感謝しかありません。



私がこうして文章を紡いでいるのは、確かに自分のためではありますが、閉鎖のお知らせを出したとき言葉を寄せてくださった読者さんにまた出会えることを信じている所もあるからです。

「ペンと紙だけになっても、書くことを続けてください」

シハという名前を残しているのも、その人の言葉を覚えているがゆえに。

ゲームを好きで、幻水を好きで良かった。

今はどうしているかわからない、疎遠になったYさんにも感謝です。


そして朗報が!!
この記事の下書きを作成しているときに良いタイミングで、幻水の生みの親であり、私がシナリオライターを目指すキッカケのおひとりである村山さんが、当時のスタッフさんと一緒に別の旗を掲げて還ってくる情報が飛び込んできたのです!!

嬉しくて半分泣きましたっ。ボスって、、、KONA〇Iの社長さんかな(笑)

24時間も経たないうちに希望額が集まりました。ファンは強し!ですね。

新しい幻水にも、いつか村山さんたちのお名前が戻ってくること、祈っています。

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