見出し画像

エレガント&おもろい神戸

「次の行き先は神戸や」

男性講師の決定に、教室内は微妙にギスッとした空気が漂いました。講師が眼鏡をかけていて髪型がリーゼント風ゆえにお山の大将ぽく見えて生徒たちの怒りを煽っている、というわけではありません。

今から17年ほど前……。私が通っていた某専門学校のゲーム科では、学外授業はどこへ行くか生徒が企画書を作ってプレゼンし、生徒同士が点数をつけて評価し合い、講師が最終決定をくだす、ということをやっていました。チーム制作ではありますが、負けたら個人制作と同じくらいか、それ以上に悔しいんですよねぇ^^

私はそんな悔しさより……


(神戸、行ったことない)←思考が停止

(ひとり行動。不安)←思考がロボット化


前回の学外授業は、大阪の万博でした。万博では決められた敷地内で自由行動でしたが、今度行く神戸はどの地区へ行くか「おまえら好きにしろ」。先生、非情です。

冒険心皆無の私は企画書に載っているおすすめの観光地を見ても、一体どこへ行けばいいか、何をしていいか想像できません。
私の神戸に関する知識&先入観では、雑誌やテレビの情報番組内で煌びやかなポジションにあり、おしゃれな人が街を歩いているエレガントな場所……。

(うう~~ん、困った)

休憩時間に入ると、先ほどまでの険悪な空気が落ち着き、生徒たちは神戸で一日どう過ごすか、話題に華を咲かせます。
私は同じチームのリーダー・Kさんに尋ねてみました。

「Kさんは神戸のどこへ行くんですか?」

「上の森ちゃんも一緒に行く?Pさんたちと、三宮にあるMさんの家に行って遊ぶんや。絶対おもろいで」

(おもろいを通り越えてマズイでしょう……!!)

学外授業は一見遊びのようで、レポートを提出しなければいけません。
普段から頻繁につるんでいる仲の良いKさんたちのグループに私も混ざることがあるので大変気安いですが、

このグループに付いて行くのは危険だと察知しました。



「Sさんは神戸、どこへ行くんですか?」

チームが別々になってからも仲良くしてくれるSさん。私は内心、誘ってくれないかな、と期待しながら質問しました。

「俺はWと一緒に、異人館のほうへ行く予定」

(異人館か。エレガントだ……)

「ここと、ここと、それから」

どこを回るか、配られた企画書のコピーに載っている異人館コースを見ながら説明してくれます。
私は予算に視線を向けました。リッチな1日を過ごせそうな予感です。**気分も、金銭的な意味でも……!
**

…………異人館。異人館ね。
海外の文化に触れる楽しみを共有できる恋人と一緒に行けたら、いやはや、楽しいでしょうね~♪

と、今妄想しました(笑)

「上の森はどこへ行く予定?」

「まだ決まっていなくて」

「誰と行くん?」

「それも決まってないです」

「ほな、一緒に行動する?^^」

(出た!最強スマイル!!)

同期生が口を揃えて「Sさんに笑顔を向けられると、つられてこっちまで笑顔になるんだよな」と言うほどの最強武器。まぶしいです。

期待通り誘って貰えたのは嬉しいですが、

(頭が痛い……、痛いです……。あなたは20代後半、対する私は10代後半!ふ、懐が…………)

(そうだ!)

まだ"あの人"が残っています。優しくて温厚なお兄さんタイプのNさんです。※同期生は私を除き、全員が異性でした。同性が居ないってツラい


「Nさんはどうするんですか?」

「僕はYと一緒に行くよ。駅の近くをぶらぶら歩いて終わり。お金を使うと言っても、朝ごはんと昼ごはんを食べるだけかな」

(こ、これだ!)

「私も一緒していいですか?」

「いいよ」

(やったーー!)


**☆ 当日 ☆

**

大阪で待ち合わせをして電車に乗り、兵庫の神戸三宮まで行きました。兵庫県のほかの市へ行ったことがあっても、神戸市はその日が初めて。
ときめきました。電車の窓から見える外の景色に、Cカップの胸がときめきました。

「僕は大学生時代、こっちに住んでたんだ」と、Nさんにこやか。

(頼もしい!!)

「まずは、朝ごはんだね」

Nさんに案内されたお店は……


サンマルク!

(サンマルク初デビュー!)


中に入ってみると、ラフな格好で入っていいのか躊躇うエレガントな雰囲気が漂っているではありませんか。純喫茶でもカフェでもない、例えるならバーのようなオレンジ色の薄明かりが店内に広がっています。

「あそこの席にしよう」と、Nさん。

(!!!)

ななななんと!

ピアノが置いてあります!!

人生初、ピアノの生演奏を聴きながらの朝食でした。と言っても、チョコクロですが。生地を折り畳んでチョコレートを挟んだクロワッサンです(※現在の価格は1個170円+税)


チョコはビターです。大人の味……、すなわちエレガント。流石は神戸。

ネットで調べてみたところ、神戸阪急ビル東館で間違いないと思いました。検索にヒットした画像付きの記事は過去のモノで、現在はピアノを置いていない様子。残念。

徳島のイオンモールにもサンマルクは入っていますが、私が知っている神戸で感じたエレガントさは無く、文理大学の近所にあったサンマルク・レストランにも行ってみるも及ばず。

ほかのサンマルクが「サンマルク」だよ~~。

と言われることがあっても、私は認めん!認めんぞ!!!
私の中でサンマルクと言えば、あのとき行った神戸のサンマルクなのです。


**★ 衝撃のギャップ ★

**

初めての神戸から5年が経ち、記念すべき2回目の来訪日がやって参りました。
プライベートです。当時お付き合いしていた彼氏さんが、神戸出身の人だったのです。


↓「あの人、なんで夜に連れて来てくれなかったんだろうね」と、リンク先の写真を見て、今しがた心の中でツッコみました。本人には届かない。届いても困る。

半袖でも十分快適な秋に行きました。海沿いの景色がとっても素敵なんですよ~~♪

(やっぱり、神戸はエレガントだ)


しかし、ここで衝撃にぶつかります。

コムサへ入ると、↓この曲が流れてきました。




「あなたの、態度が、きーにいーらないっ!」


(ぇーー)


待ってください。

(ここは神戸ぇぇ、、、ですよね?)

店内で流す曲がこれで良いのですか?
店内、どこ見てもおしゃれですよね?
ギャップありすぎやしませんか。笑

…………メロディが

昭和すぎます。バカウケです。※フルバージョンも検索すれば視聴可能です。

哀愁、出まくりです。

私の知るエレガント神戸とは反対の『おもろい神戸』。神戸が面白いのか、神戸の人が面白いのか。


あぁでも振り返ると、彼氏さんも私生活においてはユーモアな一面がありました。
ニトリで一緒に家具を見てるとき、棚の扉を開けて「いらっしゃーい!」って桂三枝さんのように言いながら突然前触れなくやったことありましたし。
向こうのほうを歩く、彼氏さん連れの綺麗なお姉さんがウケてめちゃくちゃ笑っていたの、私見てましたよ。

あのとき、「お笑いって大阪だけのモノじゃないんだ……」って、初めて知りました。


あれから12年が経過。

noteとtwitterで神戸出身の人たちの記事やつぶやきを拝読する機会に恵まれ、神戸は景色も精神もエレガントな所があって、お人柄にはおもろい所もある。との結論に至った次第です。

今度はどんな形で行き、どんな人と行くのか。神戸で何に出会えるのか、とても楽しみです^^*


(あ。数年前に、神戸動物王国に行った話も……、まぁいっか★3000字超えになってしまう汗)


---


今回の記事は、タダノヒトミさんが企画した「あなたの神戸をおしえて」に応募すべく書いたものです♪

字数を削って3000字手前とか、タダノさん、長文になってしまいすみません。
このあとがきを含めると、3000字超えてます。肥えとも言う。本文の字数をダイエットさせておきながらこの不始末。


短歌やイラストなど、形式を問わないとありますので!興味をお持ちの方、応募してみては如何でしょう?

※追記
私が行ったサンマルクは、タダノさんの情報によりますと、現在は閉店しているとのことです。

(TOP画像は、フリー素材の「ぱくたそ」さんからお借りしました)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?