新ユニフォームのおさらい【西武篇】

 ミスターライオンズの松井稼頭央新監督の下で、新たなスタートとなった西武もユニフォームを一新した。今回は、そんな青年監督が身に纏う新戦闘服にハイライトを当てよう。

15年振りに揃った「西武の象徴」

 今回の新ユニフォームで1番の見所は俗に言う「ライオンズブルー」と手塚治虫作品の「レオマーク」が復活したことだろう。この2つは球団創設時から平成20年シーズンまで使われた「西武の象徴」とも言うべき存在のもの。中日が立浪和義監督の下でロサンゼルス・ドジャース風のユニフォームを復活させたのと同じように、西武もまた松井稼頭央監督が活躍した「あの時代」を思い起こさせるようなデザインとしたわけである。

 ただ、ただ単に昔のものへ回帰する訳ではなく、近年のデザインをきちんと残し、濃紺との違いはほとんど分からないものの西鉄ライオンズのチームカラーであった黒も残してあるのだ。親会社が著しく変わってきたパ・リーグの球団で、ここまで伝統を大切にする球団は珍しい。これだけでも今回の変更は成功と言えるだろう。

機能性を充実させながらも

 今回のユニフォーム変更で最も個人的に「いいな」と思ったことはユニフォームが非常に動きやすそうな生地を使用し、昇華プリントを採り入れながらも非常にシンプルでスタイリッシュなデザインとなっている点である。昨季まで使用していたものよりもシャドーストライプが強く入っているように見えるので、売り出し中の滝澤夏央や水上由伸といったスピード感に溢れた若手選手は非常に似合うのではないか。

 昇華プリントのユニフォームに関しては、賛否両論あるが僕は西武のように気候の変動が激しい球場をフランチャイズとしている球団は採用してもいいと思っている。生地を重ねて縫わないために、機能性を気にせずにマーキングができる点が昇華プリントの強みである。従って、今回西武が新調した胸マークが非常に大きく、背番号も力強いフォントを採用したこのユニフォームは昇華プリントの利点を「常識の範疇」で最大限に活用したものと言えるだろう。

ひとつだけ、惜しかった点

 今回のユニフォーム変更でひとつだけ「残念だな」と思ってしまったことがある。それはビジター・ユニフォームを変更しなかった点だ。やはりホーム・ユニフォームと共に足並みを揃えて欲しかった。

 現在の西武のビジター・ユニフォームは超ド級の派手ユニフォームと言っていいだろう。黒、ライオンズブルー、そして現在の濃紺とライオンズ史を1着で表したようなデザインではあるものの、こちらは前述したホーム・ユニフォームと対照的にグラデーションを多用したユニフォームとなっているのだ。最新鋭の技術を使うことは素晴らしいことではあるが、このユニフォームに関しては度が過ぎている。以前、阪神もグレーと白のグラデーション生地を採用したことがあったが、大バッシングを受けて2年で伝統的なスタイルへ戻されてしまったことは記憶に新しいだろう。

 西武は阪神ほどの伝統はないが、パ・リーグの中では古参にあたる球団。デザイナーの方には大変に失礼なことを言うが、「色」以外にも伝統や重みを感じられるような早めの変更を希望する。それが出来て初めて、今回のコンセプトである「正統を、まとう」ということになるのではないか。

最後に

 今まで合間見れなかった濃紺とライオンズブルーが共存した新しいユニフォームとなった。個人的には好みのユニフォームだ。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

527,181件

#野球が好き

11,173件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?