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【YB-D】青く光る新星

 前半戦のラストスパート、横浜球場で行われている横浜中日戦は2試合続けてドラフト1位と下位が投げ合うこととなった。1戦目は小笠原慎之介と石田裕太郎、2戦目は東克樹と松木平優太の投げ合い。こういった試合は、判官贔屓で下位のほうを応援したくなるものだ。今回は、そんな石田裕と松木平について書いていこう。

平凡な石田裕、確かな武器

 石田裕の武器は何なのか。大学時代は巨人のドラ1・西舘勇陽の2番手投手。驚くような速さも、捕手のミットにビタっと行くような制球力もない。変化球はスライダーと落ちる球のコンビネーションで打ち取るような形で、決め球と言えるほどではないだろう。いい意味で「小さく纏まっている投手」と言った感じだ。

 ではなぜ、彼がデビューから三連勝と結果を残しているのだろうか。その理由は「投げっぷり」という大きな武器を持っているからだろう。普通、新人投手というものは内角に投げられないものだ。前述した西舘が155キロを超える快速球を持っているのに打ち込まれる場面があるのは、なかなか内角に投げられないことが原因の1つとしてあるだろう。対照的に石田裕は、相手が若手だろうがベテランだろうが臆することなく内角にズバズバと投げ込むことができる。彼の直球はシュートする弱点があるが、打者にとっては自分に向かって来るような軌道になるので余計に怖いだろう。こうした球に恐れていたら、外角のスライダーで抑えられてしまうというのがお決まりのパターンになりつつある。

松木平、並々ならぬ気迫

 補強凍結まで1ヶ月、松木平は滑り込みで2桁の背番号を手に入れた。この日のために新調された真新しいユニフォームを着て、4年目にしてプロ初登板。結果は黒星がついてしまったものの、セ・リーグを代表する投手である東と互角に渡り合った。

 彼の球は1級品と言っていいだろう。前述の石田裕と球速こそ変わらないが、直球はシュートすることなくホップし、ブレーキのかかったカーブとそれとは対照的にパームボールのようにゆったりと落ちていく球。とてもプロ初登板とは思えないような、素晴らしい投球であった。

 フォームもかなりいい。肩肘をバランスよく使っているので、故障への耐性はかなり強いのではないか。楽天の岸孝之や日ハムの伊藤大海のような、誰が見ても「綺麗」と言われるようなフォームである。今季は後半戦で離脱することなくローテーションを守り、来季の大ブレークを期待しよう。

最後に

 髙橋宏斗や東克樹のように、ドラフト1位で入団した投手がスターロードを歩むのもいいが、この2人のように下馬評を覆して這い上がるのもまた素晴らしい。プロスポーツはこうした「嬉しい誤算」が醍醐味なのだ。

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