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【D】新たな竜戦士

 今季は支配下枠、育成枠合計で10人もの新星が我が中日に入ることとなった。厳密に言えばまだ入ってはいないが、せっかくのチャンスを手放すような真似はしないはずだ。今回は、中日の指名選手について書いていくこととしよう。

1位・草加勝は…

 立浪和義監督が度会隆輝のクジを外した時、本当はいけないことだが心の中で「これでいい投手を指名できるな」という気持ちが湧いてしまった。度会もいい選手ではあるが、似たようなタイプの岡林勇希が1学年上で、かつチームの顔となっていることから、少し同じ選手を集めすぎなのではないかと感じたからだ。ハッキリと言うと、本塁打があまりなく率を残すタイプの選手が外野に2人いて強打のチームは見たことがないのだ。内野手の打力が課題なことと、長打のある外野手である鵜飼航丞やブライト健太が二軍に控えていることを考えると尚更そう言った結論となるのだ。従って、1位の草加指名は素晴らしいと感じた。

 彼の持ち味はやはり、投げっぷりだろう。鬼気迫る表情で快速球を投げ、時には人を食ったようなスローカーブをド真ん中に投げる。これが出来なくてプロで苦しんでいる選手もいる中、こうした組み立てができることは強みである。緩急という魔術を自分のものにしているなと言う感想を抱いた。フォームを見ても肘のしなりが素晴らしい。少し懐かしい選手を例に出すと、元中日の朝倉健太氏のような投げ方である。この投手がハズレ1位で取れたのも、豊作と言われる状況のおかげである。

2位、3位で二遊間

 2位はウェーバー順1位の中日、今季の「13人目の男」は津田啓史となった。攻守走の三拍子が揃ったアマチュアトップクラスの遊撃手である。特に彼の強みは「走」と感じた。盗塁技術、ベースランニング共に素晴らしく、中日の若手選手にはないものを感じた。とにかく次の塁、次の塁と行くタイプである。守備でも身体能力を活かしたダイナミックなプレーが多く、既に一軍即戦力では無いかと感じる。ただ、打撃は少し課題になるのではないか。逆方向の打球は素晴らしいが引っ張った打球が少ない。ここを克服するか、ここが通用した時には3割30盗塁というのも夢ではないだろう。

 3位では仙台大の辻本倫太郎。津田とおなじ三遊間を守れる選手ではあるが、堅実さは辻本の方が上なのではないか。小柄な身体を惜しみなく使って気合いのあるプレーをする姿はMLBのアルトゥーベと被る。中日の選手で例えるならば、こちらは昨季まで在籍していた三ツ俣大樹のそれだろう。

よくTwitterで、何とかの一つ覚えのように編成編成と連呼している人達が「二遊間に集中しすぎだ」と言っているが、やはりセンターラインを守る選手が1番上手いというのがセオリー。従って、素晴らしい野手はセンターライン、特に内野手は二遊間に集まりやすいのだ。一丁前に編成という前に、こうした「野球のセオリー」を勉強して欲しいものである。

4位以下、育成で投手4人

 4位以下では二軍が壊滅状態となっている投手を大量指名。1位の草加を合わせると、5人の投手が新たに加わることとなった。名城大の岩井俊介や松本凌人など、素晴らしい地元の選手たちを指名して欲しかったものだが、「上位でしか取れない投手」よりも「中位では取れない内野手」の方を優先したのではないかと考える。

 これには正解や不正解はないが、昨季から続く二遊間の課題を解消したい狙いがあったのだろう。投手陣は3人が規定投球回を達成するなど、ローテーションは堅実。あくまで二軍で育てたい素材を取りに行ったという形だろう。特にドラフト4位の福田幸之介は素晴らしい直球を持っている。しっかりと育ったら大野雄大のような本格派の左腕となるのではないかと期待しよう。

目立った「独立リーガー」

 今回の指名で目立ったのが独立リーグの選手たち。中日に限らず阪神2位の椎葉剛や、ロッテ2位の大谷輝龍ら、育成を含めると20人以上の選手を輩出した。昨年からみると育成指名は倍弱、本指名ではなんと6倍の選手がプロの世界へと羽ばたいたのだ。

 これはひとえに、独立リーグのレベルアップが要因と言えるだろう。「夢を諦める場所」とまで言われたこともあったが、今ではNPBのマイナーリーグになりつつあるとまで言われているのだ。社会人野球や大学野球のように、安定性はない。ただ、プロを目指すには最短かつ最善の進路と言える時代がすぐそこまで来ているということは断言できるのではないか。

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