見出し画像

「病は気から」ってほんと?根拠ってあるの?

昔から「病は気から」という慣用句があります。
最近あまり使われない気がしますが、
皆さん聞いたことありますよね。


ある日患者さんから、
「病は気から」ってほんと?
って聞かれました。

私は、

んー…ほんとです。(?)

って答えた気がします。

実際のところはどうなのか、気になりますよね。

医療従事者としては根拠のないこと
誤った情報は発信したくな…
という事で調べてみました。

ことわざ事典より

語源は中国最古の医学書から来ているようです。
意味は「病気は気持ちの持ちようで良くも悪くもなる」ということですね。


ここでいう、「病」とは


腰が痛くなったり、頭や胸が痛くなったら病院へ行きます。
そして客観的な検査(問診やレントゲン、血液検査、心電図など)を行ない、
「疾患」を診断され治療をしていきます。


私は「疾患 = 病」と捉えていましたが


客観的な面からみているものを「疾患」、
患者本人が(疾患など)どう受け止めて苦しんでいるか、主観的な想いも含めて」と呼んでいるそうです。

主観的なものって
どう捉えればいいか難しいですよね。
特に医療者では嫌がる人も多いのではないでしょうか。(私は抵抗がありました笑)


その人の匙加減(さじかげん)でいくらでも変わってしまいそうで
あまり関わりたくないなって思ってしまっていました。

主観的な要因による病ってあまり根拠がないんじゃないの?


社会や環境による大変さ、苦しみって
身体によくないことなんだろうなって
頭では理解していましたが
根拠に乏しいのかなと、軽視してきた自分がいました。

しかし
主観や心理的要因の重要性を示している客観的なデータがいっぱいあるそうです。
例えば、
「健康状態に対する主観的な評価が低いほど、死亡率が高い」という報告。
要するに自分は健康と感じていないと答えた人の死亡率が高かったという研究です。
まだまだ多くの研究、論文が存在しています。



ある論文では
貧困の人は副腎が肥大し、胸腺は萎縮していたと報告があります。
副腎はストレスホルモン産生の臓器、胸腺は免疫機能を司っています。


社会や家庭などの環境からストレスが溜まり
自律神経の交感神経が優位になり、心拍数や血圧を上昇させ身体に負担をかけたり
免疫機能を低下させ、感染などのリスクが高くなり
不健康、死亡率を上げてしまうことが
研究により明らかになってきています。


それを考えると
社会や家庭など環境のストレスって
医療の立場からも軽視してはいけないものなんだな…

まとめ


話を戻しましょう。


そう考えると「病は気から」というのは

「病」は主観的な要素など、
患者さん自身の苦しみや不安も含まれています。


「気」は気持ち
社会や人間関係、家庭の環境から
ストレスを感じたり、感じやすくなることで
気持ちは下がります。


「気」が下がることで
不健康や死亡率など「病」を引き起こすという
根拠のある研究が報告されてきているため

「病は気から」という考えは
間違ってはいないと解釈いたしました。


参考書籍
近藤克則. 健康格差社会. 医学書院, 2022, 250p.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?